別れなきゃダメ? 親から「交際を反対された」カップルの未来
【レスなひとびと】vol. 33
秀昭(32歳)常識レスな彼女を親に紹介するも玉砕
秀昭は30を超えるというのに、渋谷で遊ぶのが好きだ。ケーブルテレビの会社に勤めていて、普段はいたって真面目な好青年。サラサラ栗色ヘアでクルっとした目もと、極細のカラダつき。パーカーの上にブルゾンを羽織り、エメラルドグリーンのスニーカーでブラブラしていると、学生と間違われる。
高校時代の友人、智也が笑いながら言う。
「おまえさ、いつまでセンター街遊びしてんだ? 俺ら大人なんだからせめて奥渋か、代官山で遊ぼうや。サラっとヘアのおねえさんがいっぱいいるぞ」
秀昭は「俺の好みはいわゆるギャル系なんだ」と言い返す。
彼女ができた。名前は結美。「おい、走るな、転ぶぞ」系厚底。前結びのリブニットにショートパンツ。好きなものはタピオカ。話し方もそれとなく…。ツケマをパチクリする笑顔。
智也は反対するけれど、結美の二面性に惹かれた。
エッチのとき極端に恥ずかしがる。暗くして! 見ちゃダメ! 目つむって!の連発。稀に見る暗闇エッチ。そこがまた、ほかの女と差別化できていい。
「ヒデくん、原宿に足伸ばしてタピる? ヒデくん、まじビックラブ。最高の彼ピ♡」
かわいくてたまらない。智也がなんと言おうが結婚するしかない。
そしてまず母親に会わせることに。事前に特訓した。
「清楚な黒の服で。髪型もバラバラさせずにまとめて。TikTokの話はしない。趣味は……洋裁と言っとけ。敬語を使うんだぞ」
訪問の日、駅まで迎えに行き、結美を見てギョっとする!
黒のライダージャケット、黒ミニスカ。パールのテグスネックレスをジャラジャラ。髪はキャバ嬢さんの盛りアップ。ピ、ピ、ピアスの形が12というでかい数字型。
「かわいっしょ。ヒデくんとはじめてエッチした日。12月12日記念」
「うわっ、絶対言うなよ。うちの親にそんなエピソード」
そして
「おかあさま、結美と申しますでございまーす。お土産はしゃぶしゃぶのタレを持ってきたのでございます」
母は目を丸くした。
「タレ? タレ1本?」
「はい。お肉はおかあさまに買っていただきたく! ヒデくんがおかあさまはしゃぶしゃぶが好きと申して。みんなでしゃぶりましょう!」
秀昭は、親を説得する自信がなくなっていった。
どうする結婚。
いるんですよ。意外にたくさん。彼女のことは好きだけど、結婚するとなると親とうまくいくか心配って男性。もちろんその逆でパパが認めた人しか結婚できないって女性もいる。
“はじめて親に合わせる日の心構え”というレクチャーをしていますが、ヒデさんは詰めが甘かったようです。でも、その日をしのいだとしても結婚は一生モンですから、100%ばれます。親はそんな馬鹿じゃない!
素のままの彼女を知ってもらう。そんな彼女を愛した俺を認めてくれ、というのが王道です。そこで嫌な顔をされても、時間をかけて認めてもらう。その姿勢に彼女も胸を打たれ、改善すべきところを自分なりに理解します。
真実の愛を貫く勇気があるなら時間をかけて挑みましょう。「こんな反対されるならやっぱやめとこ」という気持ちが湧いたら、愛がぶれていることになります。ほんとにこいつを好きなのか? 悶々。親の反対は踏み絵になります。
「親が喜ぶ恋人が理想だけど、常識レス彼女を愛したならしかたない。 大人の常識講座を二人で受講しなさい」
文:三松真由美
三松 真由美
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にhanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。日本性科学会会員。ED診療ガイドライン作成委員。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。
恋人・夫婦仲相談所のオフィシャルサイト令和バージョン!!
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