僕はヒトよりお利口です…乗り物移動が多い猫さまの賢い行動とは

取材、文・Manabu Matsunaga — 2022.12.10
フランス在住のカメラマン、松永学さんによる、フランスの猫さま紹介! 第86回目は茶トラのジャンジャック(JJ)さま。

憔悴した飼い主に寄り添う優しい猫さまの物語

【フレンチ猫さま】vol.86
猫さまの話をもっと聞かせて! 

ジャンジャック(通称JJ)さまは4歳の男性猫さま。


猫 保護猫 フランス

僕は、パリ1区のセーヌ川の近くにある築150年のアパルトマンに住んでいます。メザニン(中2階構造)になっていて、寝室が2つとバスルーム、暖炉があります。実は僕、日本の生まれの保護猫なのです。
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飼い主の高校の同級生がSNSで「猫を保護し、3日経っても保護する人が見つからない場合は保健所に連れて行かなければならない」と投稿していました。飼い主は、「取り急ぎ保護する」と生後1か月の僕を引き取りにやってきました。先住猫のパスカルとは、たった1日で本当の兄弟のように仲良くなりました。
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起床は飼い主と同じ時間です。起きたら、まずアパルトマンのパトロール。1日何度も行きます。ご飯にがっつくことはなく、ちょびちょび食べます。その都度、飼い主は気づいてくれて、新しい食べ物を入れてくれます。最近は時間があると眠たくなっちゃいます。
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飼い主から見たジャンジャックさまとは?

この夏交通事故で亡くなったパスカル(白黒ハチワレ)は、沖縄の保護猫で、私の夫の知り合いが面倒を見きれなかったため譲り受けました。JJは豊橋の保護猫です。
元々、私達カップルは別居婚で、私が東京にいて、彼の職場がある香港や沖縄に毎月半分滞在する形を取っていました。今回は、彼の職場がフランスのパリになったので、まず沖縄にいたパスカルを東京に連れてきて、そこから私と二人でパリに。 毎月一緒に移動していたJJは、今度は夫とともにパリに移住してきました。


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私は猫の生態を知らなかったので、仕事柄移動が多く、出張でもどこへでもJJを自分の肩掛けカバンの中に入れて移動しました。本当に常に一緒。そんな訳でJJは自分を猫と認識していないと思います。爪切りも、歯磨きも、お耳の掃除も病院も一度も嫌がったことがありません。パリへ移動するフライトでも、一度も鳴くことすらありませんでした。
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この夏、パスカルを交通事故で亡くし、私は憔悴しきっていました。JJは、普段は家の外に必ず偵察に出るのですが、この期間、彼は外に一度も出たがることなく、泣き続ける私の側にずっと“ごろごろ”と慰めるように居てくれました。彼はとことん優しく、賢く、今は新しく家族に加わった赤ちゃんも守るように接してくれています。私にとって大切な息子です。
JJと接するたびに、パスカルとの楽しい生活を思い出します。パスカルと出会ったお陰で、私は“保護猫”という存在を知り、知識を得て今のJJと出会う事ができたから…。ふたりが寄り添ってくれたお陰で今の私があるのです。
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――愛する猫さまを失うことはとても悲しいことです。でも猫さまという存在が人々に勇気を与えてくれる面もたくさんありますね。これからは悲しさを乗り越えてJJ と赤ちゃんとの楽しい生活をしていってください。

取材、文・松永学