最近は、“不調も含めて自分の体を受け入れよう”と思うように。
タレントとして活躍する一方、アイドルグループやコスメのプロデュースも手掛ける指原莉乃さん。アイドル時代から多忙を極めてきた彼女は、自身のYouTubeチャンネルで生理事情を語るなど、フェムケアへの関心の高さでも知られている。
「生理もホルモンバランスも本当に厄介。でも最近は女性に生まれたからには、この体を受け入れて好きにならないとな…というフェーズに入りつつあります」と語る彼女に、体との向き合い方や、自分らしい時間の過ごし方について伺います。
「昔から生理痛は特になかったのですが、PMSがとにかくひどくて。その時期が来ると気持ちの浮き沈みが激しくなって、ずっと泣いてずっと怒っている感じ。グループ在籍時はそれを理由に舞台をお休みさせてもらったこともありました。当初は体の知識がなかったので感情が不安定になる理由がわからず不安でしたが、PMSという症状があることを知って“じゃあ仕方ないか…”と思えるように。自分なりに対処法を調べて『命の母ホワイト』を飲み始めたのもその頃かな。飲み始めたら症状が軽くなって、本当に救われました。その後ピルも飲むようになったことで、今ではPMSなんて最初からなかったかのように。“あの頃のしんどさはなんだったの…”って思っちゃうほどです」
30歳前後からは、婦人科にも定期的に通うようになったという。
「誕生日に人間ドックに行って以来、検診の大切さに目覚めました。また、デリケートゾーンの乾きだとかふとした悩みを相談できる、かかりつけ医のようなクリニックも。すごく優しい女性の先生なので、気になることがあるとまめに相談しに行っちゃいます」
フェムケアに対する意識が高まった理由について「年齢的なものもあるのかも」と、指原さん。
「若い頃は自分の体をいたわることができていなかったけれど、“全身の中で、何もケアしてないのってデリケートゾーンだけじゃない!?”とあるとき気づいて。専用ソープは前から使っていましたが、保湿オイルや乳酸菌が入った洗浄剤なども使うように。大きな変化は正直まだ実感はしていないけれど、自分のことを大切にできているっていう気持ちになることが重要なんじゃないかなって」
もともと探究心が旺盛で、いいものがあると聞けば試したい性格。
「最近はプロダクトも増えてきたから、探すのも楽しいんですよね。月経カップも試しましたし、シンクロフィットも出始めからガンガン使っています。今は吸水ショーツとシンクロフィットが私の鉄板。以前は生理が始まると、漏れが心配で暗い色の衣装ばかり着ていたけれど、好きな服を着られるようになったのが嬉しい。現代の進歩に本当に助けられています(笑)」
婦人科通いやフェムケア商品のチェックは、時間も費用もかかるはず。忙しい中でもそこにリソースを割く背景には、ある想いも。
「ライフステージも体のことも将来何があるかわからないけれど、準備や心構えがあるだけで気持ちが全然違うはず。何に対しても後悔はしたくないので、自分なりに勉強を進めたいなって。数年後の自分に、ちょっとでも感謝してもらえるような行動をしようと常に心がけていますね。それに、昔に比べて今はだいぶ女性が生きやすくなったと思うんですよ。それは先輩方のおかげだと思うので、後からくる子たちがさらに生きやすくなるように私たちも頑張らないと。今の自分はわりと時間に余裕があるので、プロダクトでも施術でも『みんな任せて! 私が全部試して、いいものがあったら伝えるね』という気持ちでいます」
プロデュースするアイドルに対しても、心身の健康のために休みがとりやすい環境を用意するなど、こまやかな心遣いを見せる。さらに“メンバーの福利厚生として婦人科検診を取り入れる予定は?”と尋ねてみると、「それ、めっちゃいいですね。検診を勧めるだけだと、多分みんな行かないんですよ。さっそく動きます」と即行動。自分だけでなく、周りの女性の心身のケアにも気を配る指原さんは、フェムケアの現状についてどう感じているのだろうか?
「女性の体や不調について、やっとオープンに話せるようになってきたな…という感覚があります。私がテレビで生理の話をすることに抵抗を感じる女性もいると思うけれど、話せずに苦しんでいる人も多いと思うんです。私自身も、若い頃は自分に生理痛がないから人の痛みに鈍感だったと反省する部分が多くて。体の悩みや症状はさまざまなので、みんなが当たり前にそれを話せるようになって、人の痛みに気づける人がさらに増えたらいいのになって思います」
現在、31歳。がむしゃらに走り続けた20代が過ぎ、いま改めて気づいたことがあるのだそう。
「若い頃は全く休んでいなかったけれど、あるときふと“自分は休まないとダメな人なんだな”と気づいて。反動なのか、今はめっちゃぐうたら(笑)。私がいちばん好きな時間の過ごし方って、人とおしゃべりすることなんですよね。自分の本心を話せる相手と心の底からリラックスして過ごす時間はすごく幸せ。それと、歩くことも大好き。人けの少ない道をひたすら歩いて、誰もいなかったらでかい声で歌って(笑)。そういう時間があるからこそ、仕事の時に集中できている気がします。やっぱりね、自分を見つめる時間ってすごく大切なんですよ。人間は気づくとストレスを溜めがちだけど、その原因が何か向き合う必要があると思う。苦手な相手やストレスを感じる場がわかったら、それを避(さ)ければいい。自分に厳しい人はすごいと思うけれど、みんなもっとラクに生きていいんじゃないかな。忙しくて不調を見逃したり、ストレスで体を壊してしまったりしたら元も子もないですから」
年齢とともに訪れる変化を見据えつつ、自身の体やマインドとの上手な向き合い方を模索し続けている指原さん。最後に、anan読者の女性たちに向けてメッセージを送ってくれた。
「人それぞれ、不調があったりストレスがあったりすると思うんですよ。私自身も“なんでこんなにホルモンに振り回されなきゃいけないんだよ!”っていまだにムカつくことがあります。でも、与えられた体で生きていくしかない以上、なるべくラクに過ごしたいですよね。そのために大切なのは、生理やPMSで体調が悪くなっても申し訳なく思わないこと。自分がそう感じてしまうと、他の人も申し訳ないと思わなきゃいけないムードができちゃう。最近はフェムケア意識の高まりもあって、女性を取り巻く環境は少しずつ変化していますよね。これから先もみんなで問題を解決していきながら、人生を楽しんでいきましょう!」
さしはら・りの 1992年11月21日生まれ、大分県出身。2008年にデビュー。タレントとして活動するほか、「=LOVE」をはじめとするアイドルグループのプロデューサーの顔も持つ。
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※『anan』2024年10月16日号より。写真・東 京祐 スタイリスト・松島 茜(io) ヘア&メイク・辻村友貴恵(ende) 取材、文・真島絵麻里
(by anan編集部)