世界が分断されているからこそ、互いを知る好機に。
2025年4月から「日本国際博覧会(大阪・関西万博)」が開催されます。国際博覧会では、世界中から最新の科学技術が持ち込まれ、それぞれの国の文化や風土に触れることができます。大阪・関西万博の開催には賛否両論ありますが、世界が分断されているいま、科学や文化というテーマで皆が集えるのは、平和国家・日本としてもとても大きな意義があると思います。
今回の万博のテーマは“いのち輝く未来社会のデザイン”。展示を見るだけでなく、アイデアを交換し、人類共通の課題解決に向けて技術や知恵を共有、発信する場にしようとしています。
国際博覧会は1851年にロンドンで始まり、最新の機械や薬品、芸術品が展示されました。日本は1867年の2回目のパリ万博に、江戸幕府、薩摩藩、佐賀藩がそれぞれ参加、日本が世界に後れをとっているという危機感を抱き、グローバル国家に変わるきっかけになりました。日本が国として初めて参加したのは1873年のウィーン万博です。
強烈なインパクトを残したのは、1970年の日本万国博覧会(大阪万博)。77の国と4つの国際機関が参加。116の展示館が建てられ、183日間で入場者数は6400万人を超えました。目玉はアメリカの宇宙開発で、「月の石」の展示が注目を浴び、いまでは当たり前になっている、携帯電話や電気自動車なども展示されました。今回の大阪・関西万博では、空飛ぶクルマやiPS細胞で作られた臓器をお披露目することになりそうです。
これまでの万博は、参加人数や経済効果で成功を測られましたが、大阪・関西万博で掲げているのは持続可能な社会、SDGsですから、新しい経済の価値や文化の意味を打ち出せたらいいなと思います。
僕も創設メンバーを担った「国連を支える世界こども未来会議」も開催されます。いまは円安で、気軽に海外に行かれないので、万博で外国の文化に触れられるのは大きな体験になります。税金の無駄遣いと否定するのでなく、「こんな万博にしたら?」と個々に発信したり、考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
ほり・じゅん ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。
※『anan』2023年10月4日号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子
(by anan編集部)