意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「漁業法改正」です。

日本の食を支えた魚がいま、大変な状況になっている。

2136-社会のじかん

昨年12月、70年ぶりに漁業法が改正されました。四方を海に囲まれた日本は、瀬戸内海などの内湾も含め、魚が豊富に獲れていました。魚は日本の食文化を支え、日本人にとって大切なカルシウムやタンパク源。ところが長年の乱獲により、日本近海で魚が獲れなくなってしまいました。昨年開設した豊洲新市場も、最新設備の整った広大な市場にもかかわらず、取扱量は、築地市場と変わりません。漁獲量の減少は、深刻な問題になっているのです。

たとえば居酒屋の定番メニューのホッケは、この20年で激減。紋別で、かつては1kg約70円で取引されていたものが、いまでは2500円にまで跳ね上がっています。そのためホッケの代わりに、ロシアやアラスカ産のマホッケが使われるようになりました。このように、日本で獲れなくなった魚の代わりに、似たような魚を他の海から獲ってきて「代用魚」にするということは実は数多くなされているんです。寿司ネタのエンガワは、ヒラメやカレイの代わりにオヒョウという1mを超える巨大な魚。マグロやカツオのたたきにはアロツナス(細ガツオ)、アナゴの代わりにクロアナゴ、アワビの代用はチリ産のアワビモドキ(ロコ貝)が食されています。

日本近海で魚が獲れなくなった理由の一つに、成長前の小魚まで獲っていたことが挙げられます。そのくらいこれまでは漁業に関して規制が緩かったんですね。日本国内で取引される魚は約500種類ほどありますが、獲りすぎていないか、魚の生態を観測しているのは84魚種。魚の乱獲を制御し、持続可能な漁場を作るために、今回の漁業法改正に至りました。

資源としての魚をどれだけ守るかということには、世界的に注目が集まっており、養殖業の技術も向上しています。オーストラリアなどでは天然マグロよりも養殖マグロのほうが、脂ののったトロがとれるようになりました。

日本は、魚の価格高騰とともに、消費量も落ち込み、平成18年ごろからは肉が魚を上回っています。漁業従事者の人数も減る一方。彼らの生活を守りつつ、食卓から魚が消えないよう、長期的な対策を練る必要があるでしょう。

堀潤

堀 潤 ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN

※『anan』2019年1月30日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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