意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「国連演説②」です。
世界情勢の変化に対応した安保理の再編を訴える声
9月に開かれた第81回国連総会での各国首脳の演説を聴くと、現在の世界情勢がわかります。私たちはどうしても、その国がアメリカやロシア、中国に対して親密なのか、反対の立場なのかと判断しがちです。しかし、現在は単純に類型化できない状況なんですね。
たとえばスロバキア。ウクライナに隣接する小国で、NATOとEUに加盟していますが、ロシアとの友好関係を重視していました。ところが、ペレグリニ大統領は国連演説の中で、「ロシアによるウクライナへの戦争を終わらせ、隣国の安全な未来を築くためのあらゆる真剣な外交努力を支持すべき」と述べました。ロシアはウクライナ侵攻に関して「軍事作戦であり、戦争ではない」というスタンスをとっています。親ロシアのスロバキアが、「ロシアとウクライナの戦争」ではなく、戦争を起こしているのはロシアだと明示し、「武力による国境変更と主権侵害をするべきではない」と主張したのは驚くべきことです。親ロ=反ウクライナ、ではないのです。ロシアとの関係を維持する姿勢を示しつつ、ウクライナ、そしてガザに関しても主権や市民の命を守ろうという原則を堂々と訴えたのは印象に残りました。
感銘を受けたのはフィンランドのストゥブ大統領の演説です。まず、国際秩序を支えるルールに背いて競争する国が増えていることを問題視しました。そして、国連安保理改革の具体案として、「常任理事国の議席をアフリカに少なくとも2つ、アジア太平洋に2つ、中南米に1つ増やすこと」「いかなる単独の国にも拒否権を認めないこと」「安保理の理事国が国連憲章に違反した場合、その国の投票権を停止すること」を提示しました。
1945年の国連創設時、独立国は限られており、アフリカやアジアの国々は参加できませんでした。しかし、今は経済的にも政治的にもグローバルサウスの力は増しています。国連がサンフランシスコ会議で創設されたことになぞらえて、「新たなサンフランシスコの瞬間を」と訴えました。日本で報道される演説は限られていますが、和訳が読めますので、様々な国の提言に耳を傾けてほしいなと思います。
五月女ケイ子解読員から一言

よく学校のクラスになぞらえるのですが、世界を自分ごとにしようと、近頃強い国がジャイアンみたいに自分勝手にやりたい放題な状況で、2か国の演説は、ヒーローみたいにカッコよくて感動しました。たくさんの人、国の心が合わせられたらな。
解説員
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堀 潤
ほり・じゅん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『堀潤 Live Junction』(TOKYO MX月~金曜20:00~21:00)が放送中。著書『災害とデマ』(集英社)が発売中。
解読員
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五月女ケイ子
そおとめ・けいこ イラストレーター。楽しいグッズが買える、五月女百貨店が好評。細川徹との共著、ゆるくておバカな昔ばなし『桃太郎、エステへ行く』(東京ニュース通信社)が発売中。
anan 2518号(2026年11月4日発売)より































