意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「副首都構想」です。
分散することがパワーを生むのか、パワーを生むのか、深い議論が必要
7月24日に「副首都構想」関連法案が成立しました。副首都を設ける一番の理由は、大災害が起きたときに東京の中枢機能を代わりに担えるように、ということ。2つ目は、東京以外の地域に新たな経済の中心を作ること。単なる東京のバックアップ機能ではなく、日本経済のエンジンになるような地域を新たに作ることで、経済力の強化を図りたいという意図がありました。
副首都候補の条件は東京と同時に被災する可能性が低いことや十分な人口と経済規模があること、国の行政機関を受け入れられる体制があることなど。現在、有力候補として大阪府や福岡県、愛知県が挙がっています。
この法案は、もともと日本維新の会(維新)が推し進めており、自民党と連立政権を組むことで一気に現実化しました。元来、維新は「道州制の導入」を掲げており、合衆国や連邦制のように、各地域が自治を行える力をつけていくべきと考えています。本案は、その第一歩として打ち出されました。
副首都に指定されれば、経済や都市機能を強化するために、税制優遇や規制緩和を受けられたり、交通網の整備も進み、国から大きく支援を受けられるようになるでしょう。さまざまなところから投資が集まることも予測されます。つまり、これは形を変えた地方創生政策の一つなんですね。
ただ、首都機能を分散させることが本当にパワーを生むのか。結果的に経済の競争力を低下させ、投資も分散するのでは? などの意見もあり、もっと議論を深める必要があります。とはいえ、富も人も東京に集中し、地方が枯渇して日本全体が衰退していくような現状に、何か手を打たなければいけないのは事実です。
国の形は異なりますが、アメリカのように政治の中心はワシントンD.C.、金融や経済の中心はニューヨーク、文化や技術の中心はロサンゼルスやサンフランシスコというように、地域ごとに棲み分けることで全体のパワーを生むというのは大事なのかもしれません。
副首都を定めても、結局、補助金・支援金頼みでは、中央集権のままです。改めて「首都とは何か」、そこから問う必要があるのではないでしょうか。
五月女ケイ子解読員から一言

いっそ思い切って過疎の町やシャッター街などに分散するのもありなのではと思います。中央線の高架下も開発され、どこも似たような風景になりつまらないです。ハリウッドやNYみたいに、特色ある街を、ある程度計画的に作れたらワクワクしそうです。
解説員
Profile
堀 潤
ほり・じゅん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『堀潤 Live Junction』(TOKYO MX月~金曜20:00~21:00)が放送中。著書『災害とデマ』(集英社)が発売中。
解読員
Profile
五月女ケイ子
そおとめ・けいこ イラストレーター。楽しいグッズが買える、五月女百貨店が好評。10/5~18、外苑前の「ギャラリーハウスMAYA」で個展を開催。近著に『桃太郎、エステへ行く』。
anan 2511号(2026年9月9日発売)より




























