秋になると、レストランの季節メニューにジビエ(鹿、クマ、猪など野生の動物)が登場する。「野生の動物なんて硬くて、味もクセがありそう」と思われるかもしれない。でも、ジビエ料理は、扱いが完璧であれば独特の清らかな風味が味わえる。近年、ジビエ料理で最高峰といわれているのが渋谷の『エレゾハウス』。北海道・十勝にある、料理人が立ち上げた食肉会社が経営する店だ。ただ、紹介制のため紹介者が必要。縁がないと諦めていたら、もう一店、誰でもウェルカムな『エレゾゲート』がオープンしたという。早速、行ってみてうなってしまった。
ここのジビエは明らかに違う。「仕留めてすぐに解体、熟成も一括管理だから素材は常に最高の状態です」と高橋和寛店長。その素材に対して最適な火入れで仕上げる。「フィッシュ&チップス」は、本来魚を素材に作る料理だが、ここでは蝦夷鹿のモモ肉をビールで溶いた衣をつけて揚げる。皮パリッパリ、肉はしっとりとミディアムレア。絶妙の火入れはアートだ。「蝦夷鹿赤ワイン煮込み」はホロホロの肉と、すね肉から溶け出したコラーゲンが一体化。こんな煮込み、初めて!
夜のプリフィクスコースは6800円と8900円(一部追加料金が発生する料理あり)。お値段は極めて良心的。そして繊細な味わいは、ジビエの新潮流!
右・ディナーコースの前菜で選べる自家製ロースハム。ハムがこんなに美味しいなんて。爽やかな味わい。左・ディナーコースのメインで選べるミート&チップス。イギリスのパブでおなじみのメニューを蝦夷鹿で。ビールを使った薄い衣はパリパリ! 中身の蝦夷鹿はしっとり。中・ハートランドの生¥800とご一緒に。
いぬかい・ゆみこ レストランジャーナリスト。東京を中心に、国内外の食文化、レストラン事情をレポート
ELEZO GATE 東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー3F TEL:080・7505・2929 ランチ11:30~14:00(13:30LO)、ディナー17:30~22:00(フード21:00LO、ドリンク21:30LO) 日曜休
※『anan』2020年10月7日号より。写真・清水奈緒 取材、文・犬養裕美子
(by anan編集部)