カスタマイズを楽しむ。
ホットチョコレートも、いまやカカオの違いあり、スパイス入りあり、と多種多彩。チョコ、ミルク、トッピングをカスタマイズできる店が増えているので、マイオリジナルにトライしてみては。
SAISON DE SETSUKO KYOTO CHOCOLATERIE(セゾン ド セツコ 京都ショコラトリー)
カフェに入ると、BGMのようにあっちでシャカシャカ、こっちでシャカシャカ。みんな、実に楽しそうだ。それもそのはず、ホットチョコレートを茶筅(ちゃせん)で点(た)てる体験ができるところなんて、世界広しといえど、きっとほかにない。
『セゾン ド セツコ』は、日本の四季や様式美を取り入れた、京都の和紙デザイナーが監修する、京に縁のあるブランド。せっかく、茶道が根付く地でカフェを開くなら、と茶筅ショコラドリンクまで考案してしまった。抹茶とビターの2種があり、抹茶は、宇治の抹茶を混ぜてテンパリングしたホワイトチョコに、きな粉、黒蜜、柚子ピールのトッピング。ビターは、香りの強いエクアドル産カカオのチョコに、ラズベリー、蜂蜜、黒胡椒が付く。砕いたチョコに生クリーム入りのホットミルクを注いでシャカシャカすると、フワッと香りが上ってくるのは、茶筅のなせる業。あとは、作法なんてどこ吹く風。好みに合わせて思いのままに、自分で自分のお点前を楽しむのが、唯一の作法だ。
茶筅ショコラドリンク(抹茶)ドリンクセット¥1,540(税込み)。トッピングは、きな粉、黒蜜、柚子の順に楽しむのが、おすすめ。
舞妓さんや五重塔を描いた、京都限定のボンボンショコラ1個¥300も人気。職人による手描きだから、表情が皆違う。
SAISON DE SETSUKO KYOTO CHOCOLATERIE 京都府京都市中京区麩屋町通三条上る下白山町292‐1 TEL:075・256・8180 10:30(カフェ11:00)~19:00 不定休 老舗旅館が立ち並ぶ一画の、京町家をリノベーションした一軒家のサロン。
お茶とのマリアージュを楽しむ。
チョコにいちばん合うのは日本茶だ、と断言するショコラティエも現れるほど、注目のマリアージュ。シアトル発のオーガニックなチョコと、宇治の有機農園の日本茶で、ぜひ!
FRAN’S CHOCOLATES KYOTO BAL(フランズ チョコレート 京都BAL)
フランズは、アメリカにおける高級ショコラの開拓者。創業者のフラン・ビゲローさんが、米シアトルに小さなショコラトリーを構えたのは、1982年のこと。欧州スタイルの洗練されたトリュフを作り、アメリカでは子供のおやつにすぎなかったチョコレートを、大人の嗜好品に高めた。’98年には、本国ではまだ珍しかった塩キャラメルをショコラにして、これまたヒット。近年では、漆塗りのギフトボックスまで登場させている。
そんなパイオニア精神旺盛なブランドが、和の本丸・京都に本格上陸。スタートさせたのが、日本茶とのマリアージュだ。オーガニックのクーベルチュールを使った繊細なボンボンやトリュフにぶつけたのは、宇治の有機農園の茶葉を使った煎茶、ほうじ茶、玄米茶。なかでも、ウェールズの樫で燻された塩がのるソルトキャラメル、ウーロン茶のトリュフと、燻製にも茶葉が使われるほうじ茶とのマリアージュは至福。ちなみにフランさん、現在は本国のラボで抹茶を使ったボンボンと格闘中だそう。
日本茶とチョコレートのセットは3種で、これはシグネチャーの、ダークチョコレートにブルターニュの海塩がのったグレイソルトキャラメルとオレンジトリュフ、有機煎茶 抹茶ブレンドのセット¥1,200。
アメリカらしい、ナッツ入りのキャラメルなどが入った4種のゴールドバーも、チョコの味がしっかり! 大各¥700。
FRAN’S CHOCOLATES KYOTO BAL 京都府京都市中京区河原町三条下ル山崎町251 京都BAL1F TEL:075・223・0778 11:00~20:00 元日休 イートインは京都産木材のテーブルで。グレイソルト キャラメルは1個¥350。
朝、カカオの果肉を味わう。
ビーントゥバーブームで、カカオそのものへの関心が高まる中、ドリンクなどで楽しめるようになってきたのが、カカオパルプ=果肉。体験すれば、自慢できるかも!?
+Chocolat(+ショコラ)
花街・宮川町筋に佇む町家ののれんをくぐったら、驚きのモーニングが待っていた。主役はなんと、カカオ豆を覆っている白い果肉・パルプ。口にすると、“カカオは果実だったんだなぁ”と実感する。「パルプの存在を知ってほしくて」とは、店主の宮原利衣さん。中学2年の時、甘いだけじゃないチョコレートの魔力に触れ、以来、世界中のありとあらゆるチョコレートを食べ、時にはアマゾン奥地のカカオ農園まで足を運んだ。そして、ひとりでも多くの人にカカオの魅力を伝えたいと、チョコレート専門店を開いたという。だから、もう一種類のモーニングも、甘いチョコペーストではなく、カカオバターを塗ったトーストである。
目の前には産地やカカオ分の違いだけでなく、使うミルクや甘みもさまざまな、世界中からセレクトしたビーントゥバーのタブレットがずらり。その数100種とか。13時からはこうしたタブレットを、お茶やお酒と楽しめる。石畳を進むと、こんな攻めの店があるなんて……京都、恐るべし。
モーニングのBセット、カカオパルプボウル¥1,050。ブラジル産カカオパルプはクセがなくフルーティ。下にヨーグルトが。フルーツ、特製グラノーラ、カカオティーが付く。
メープルシロップやヤギのミルクを使ったものなど、珍しいタブレットも購入できる。
+Chocolat 京都府京都市東山区宮川筋5‐327‐7 TEL:なし 8:30~11:30LO、13:00~17:30LO 水曜休、ほか不定休あり 予約はcoco@pluschocolat.jp 夜は舞妓さんが往来する、京都らしい宮川筋に。
チョコレートを学ぶ。
チョコフリークが辿り着くのは、カカオ農園見学ツアーか研究会!? まずは、胃袋を満たし、知的欲求も刺激してくれる、研究所へ。
京都御所南チョコレート研究所
毎年のように新たな専門店が誕生し、活況を呈する京都のチョコレートシーン。それを牽引するひとり、『アッサンブラージュ カキモト』の垣本晃宏シェフが、店の3軒隣にオープンさせたのが、デザートコースとドリンクのペアリングが楽しめる、完全予約制の『アッサンブラージュ HANARE』。ここに2か月に一回、“京都御所南チョコレート研究所”ののれんが、ひっそりと掛かる。
はて、アトリエではなく、研究所とはいかに!? 実は、垣本シェフと、兵庫県・芦屋発の洋菓子ブランド『アンリ・シャルパンティエ』が、“「京都文化」と「チョコレート」を掛け合わせた新しい京都の味の表現を探る”研究所を始めたのだ。垣本シェフが同ブランドの駒居崇宏シェフと共に作り上げる特別なデセールを味わいながら、チョコにまつわるさまざまなトークを楽しむ趣向。その日限りのデセールが楽しめるというだけでも参加意欲が湧くが、話を聞いて味わえば、おいしさもいっそう増すはず。
昨年12月に行われた研究会の様子。ナビゲーターとして、関西食業界の重鎮、門上武司さんも登場。
[gunosy]
→フルーツ×チョコで幸せ気分UP! 「モーニングチョコ」のススメもチェック!![/gunosy]
研究所から生まれた、2人のシェフによる、京都さんかくショコラサンド(4個入り¥650~)は、アンリ・シャルパンティエ京都伊勢丹店ほかで販売。2/26に京都伊勢丹店内に常設店も。
京都御所南チョコレート研究所 京都府京都市中京区甘露町664‐1‐1F アッサンブラージュ HANARE内 次回は2/18に開催予定。
詳細はhttp://www.henri-charpentier.com/special/kyotogosyominami/にて。
※『anan』2020年1月22日号より。写真・石渡 朋 東谷幸一 取材、文・齋藤優子
(by anan編集部)