老いを楽しめる、そんな体と心を手に入れたい。
「あれ、年をとった?」と初めて思ったのは、50代に入ったとき。突然体が熱くなり汗が噴き出す、ホットフラッシュという更年期障害が起きたんです。元来知りたがりの私は、そのタイミングで初のアンチエイジングのクリニックに行き、自分の体についていろいろ調べました。そこからの20年は、疲れにくい体を作ることをテーマに、鍛え、サプリを飲むなどのケアをしています。それを経て、昨年70歳になった私の人生の目標は“老いとどう付き合うか”。肉体はもちろん、同時に心や精神も老いていく。その両方をしっかり鍛えていけたらいいですよね。体も心もタフなほうがいくつになっても人生有利でしょう(笑)。
それから最近ちょっと、老いは楽しいのかも…と思い始めているんです。それを理解できたらきっと、これから来るであろう病気すらも楽しめるマインドになれる気がしています。現実をしっかり受け入れ、その上で人生を楽しめる人でありたいです。
今思うと、恋愛は苦手だったかもしれません。
私は若いときから自分をしっかり持とうと思っていましたが、その一方で、私自身のことは他者からは理解されない…というか、理解されなくてもいいとも思っていました。でも、だからこそ今思うと、実は恋愛は苦手だったかも。好きになるというよりは、「この人どういう人なんだろう?」と、ひたすら見つめる、その作業だけで終わっていた気がします。また、私自身が男性に従うような性格でもなかったですしね(笑)。
恋愛って、妄想であり、幻想である部分も大きい。特に若いときは、そのベールに包まれてしまうと、現実が見えなくなる。20~30代の方に伝えるとすると、そこには気をつけて、現実もちゃんと見てくださいね。不倫さえ避ければ、恋愛や結婚もいい経験、時間が経てばどんな苦労も楽しかったと思えるでしょう。いろんな意味で、経験は多いに越したことはないと私は思います。そのほうがきっと、人生は楽しいです。
ふぶき・じゅん 俳優。1952年生まれ、富山県出身。モデルを経て俳優デビュー。引きこもりの息子の母を演じるドラマ『連続ドラマW 0.5の男』(WOWOW)が放送中。公開待機映画に『658km、陽子の旅』が。
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※『anan』2023年6月7日号より。写真・小川朋央 スタイリスト・岡本純子 ヘア&メイク・高松由佳
(by anan編集部)