『犬神家の一族』が新たにドラマ化! 脚本・小林靖子が明かす、ストーリー作りのこだわり

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2023.04.11
横溝正史の推理小説・金田一耕助シリーズの人気作品であり、昭和25年の発表以来何度も映像化されてきた『犬神家の一族』。遺産を巡る一族の争いを描く本作を、新たにドラマ化。脚本は仮面ライダーシリーズや人気アニメを手がけてきた小林靖子さんが担当する。
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「原作には、舞台設定の面白さやインパクトのある出来事、小説ながら映像的な部分が多く、見る者を飽きさせないエンターテインメント性があります。また、心情をあまり事細かに描きすぎないので、いろいろな想像ができる。これだけ何度も映像化されている有名な作品なので、ミステリーとしてびっくりさせる要素はすでに搾り取られていますが、スポットライトを当てる場所によって見え方が変わる、懐の深さがある作品だと思います。市川崑さんの『犬神家の一族』が大好きで、それが根底にあるのですが、今回は原作から映像化するということに意識を集中。とにかく市川監督版を忘れようとしながら頑張りました」

スポットライトを当てたのは、遺言を残し他界した犬神佐兵衛の長女・松子の心情。

「市川監督版を何回も観る中で、松子の心情だけが読めないと思っていたところがあり、そこを描こうという思いが最初からありました。佐清(すけきよ)との関係や、金田一という紛れ込んできた異物に対する態度など、すごく入り組んだ心情の流れを意識しています」

他の作品にも通じるが、キャラクターを描く時に大事にしているのは、「当たり前のことですが心情に沿ったセリフにすること」。

「脚本の都合で“これを言ってくれないと先に進めない”“説明をしてほしい”という時がありますが、それだけで何かを言わせたり、行動を起こさせるのは自分が気持ち悪いのでしないことが多いです。キャラになりきって、“大丈夫”のような定番のセリフを勢いや反射神経で書かないように注意し、キャラの気持ちで言わせるようにしています」

小林さんの脚本は原作ファンからも支持されることで知られるが、ストーリー作りのこだわりとは。

「自分のやりたいこと、みたいなものがもともとなく、あくまでも原作を映像化するために必要な部分を付け加えるなどテクニカルな部分でやっているんですね。言ってしまえば冷たいくらいの温度感ですが、もしかするとそこが作品にとっていいのかもしれません」

今作が、原作をよく知らない世代にも届いてほしいという。

「小説のファンの方や、犬神家が大好きという人はもちろん、なんとなく知ってるくらいの方など、広く興味を持って見てもらえたら嬉しいです。吉岡(秀隆)さんの金田一は庶民的で優しく、いろいろなところに感情を動かして寄り添う人物で、普通に日常生活をする金田一が見えるのでは。さらに、松子を大竹しのぶさんが演じられるなど、芝居を見る面白さが生まれるでしょうし、そこが映像の強みだとも思うんです。私自身、見るのが楽しみです(笑)」

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『犬神家の一族』 NHK版金田一シリーズ第4弾。横溝正史の傑作が豪華キャスト陣で蘇る。前編:4月22日(土)21:00~22:30、後編:4月29日(土)21:00~22:30(NHK BSプレミアム、BS4K) 脚本/小林靖子 演出/吉田照幸 出演/吉岡秀隆、古川琴音、大竹しのぶほか

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こばやし・やすこ 『ジョジョの奇妙な冒険』『進撃の巨人』など多くのTVアニメや特撮シリーズの脚本、シリーズ構成を担当している。脚本を手がけた映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が5月26日公開。

※『anan』2023年4月12日号より。インタビュー、文・重信 綾

(by anan編集部)

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