囲碁将棋、ホテルニューアカオで絶景漫才を披露! インタビュー&ライブレポート

お笑い芸人、囲碁将棋が絶景を舞台に漫才をする企画「ZEKKEI MANZAI」。今回、4月25日に熱海のホテルニューアカオで行われた「ZEKKEI MANZAI」のライブの模様を絶景写真とともにお届けします。

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    「ZEKKEI MANZAI」とは、囲碁将棋が全国各地の絶景を舞台に漫才を行うライブシリーズ。2021年にYouTubeのコンテンツとして始まり、22年には北海道を舞台にした番組『ZEKKEI NETA CLUB』(UHB北海道文化放送)も放送され、やがて観客を動員したライブ形式に。24年に日比谷野音(日比谷公園大音楽堂)をはじめ、宮城、栃木、新潟、広島、大阪、25年に徳島と、全国各地の絶景を巡り漫才を行っている。

    その新たな会場に選ばれたのが『ホテルニューアカオ』。1954年開業の赤尾旅館を前身に73年に開業した老舗リゾートホテルだ。日本ジオパークにも認定される景勝地・錦ヶ浦に佇み、350室全ての客室からオーシャンビューの絶景が。昭和レトロな雰囲気のなかで、インフィニティ温泉やビュッフェを堪能できる。

    ライブは館内のダンスホール「サロン・ド・錦鱗」で行われた。ライブまであと数時間という準備の合間、囲碁将棋に話を聞いた。

    囲碁将棋インタビュー|遊びの枠からはみ出さず、無理なく続ける

    ── 昨日は『ホテルニューアカオ』に1泊されて、今日は午前中からYouTube撮影、夕方から「ZEKKEI MANZAI」のライブというスケジュールだと伺いましたが、ひと晩過ごされてみていかがでしたか?

    根建 めっちゃすごいホテルで、歴史を感じました。

    文田 懐かしい雰囲気だけど設備とかはちゃんと新しくてね。

    ──これまで熱海に遊びに来たことはありました?

    文田 来たことはあるけど、泊まったことはないかもしれないです。

    根建 僕は大学時代に結構来てましたね。その頃は旅行って言ったら熱海で、友達がよく行くホテルに泊まってました。

    ── 神奈川からだとちょうどいい距離ですもんね。昨日はどう過ごされたんですか?

    文田 僕はちょっと早めに来て熱海秘宝館に行きました。ちょうどホテルの裏にあるんですよ。

    ── 昭和のレトロなエロがテーマになっているという。いかがでした?

    文田 なんか昔見た時よりテコ入れが入ってました。フォトスポットがあったり、グッズがやたらおしゃれだったりして。色味とか完全に「うんこミュージアム」じゃん、みたいな。エロをおしゃれに見せてましたね。

    根建 映えを意識してんだ。

    文田 そう。途中までは昭和のエグみがちゃんとあるんだけど。

    ── 根建さんは行かなかったんですか?

    根建 僕は別件あって行けなくて、夜に合流しました。

    文田 彼、童貞なんでそういうのはちょっと。照れちゃうんで。

    根建 そうですね、ちょっと恥ずかしいんで。

    ──(笑)。合流したあとはどんなふうに?

    文田 ほとんど外に出なかったです。ホテルの中を楽しんで。

    根建 食事がバイキングだったんですよ。料理が100種類くらいあったんですけど、僕2種類しか食べてないです。肉とサラダだけ。肉はステーキを15人前ぐらい食べました。

    ── えっ。肉を?

    根建 はい。肉です。バイキングってシェフが直接焼いてくれるじゃないですか。あそこしか行ってないです。

    文田 レスラーみたいな食べ方してる。

    ── どうして肉をそんなに?

    根建 なんか痩せたんですよ、今年に入って6キロぐらい。それで戻したくて。

    ── 確かに、元々細いですけどさらにホッソリされて。文田さんも痩せましたよね?

    文田 僕はこの数か月で13キロぐらい痩せちゃって。

    ── おふたりともなぜか痩せていく…。

    根建 そうです。でも食べたんでもう戻りました。

    ── えっ。

    根建 6キロ分。相当体でかくなってます。パンパンになりました。やばいです。

    ── 全然細いですよ(笑)。このあと「ZEKKEI MANZAI」が行われますが、元々は2021年のYouTube開設時にスタートした企画ですよね。ネタ動画は笑い声がないと面白くなさそうに見えるけど、絶景で撮ったらお客さんがいなくても成立するのでは、という文田さんの発想から始まったと。

    文田 そうです。

    ── ネタと絶景の組み合わせはどういう風に決めてらっしゃるんですか?

    文田 そんなに考えてないです。その時やれるネタ、やりたいネタやろうみたいな。

    ── 今日の熱海では何のネタを撮ったんでしょう。

    文田 今年の『THE SECOND』のノックアウトステージでやった電車に乗るネタがあるんですけど、それをそのままやりました。公開日は未定です。1年後になるかも。

    根建 僕らにもゲリラで急に発表してくれるんですよ、スタッフさんが。

    ── そもそも絶景に対して、おふたりはどんな思いをお持ちなんですか?

    文田 最近は意識して見るようにはなりましたね。「ここで絶景漫才撮りたいな」とか。それでスタッフさんに「これどうですか?」「ここで撮りたいです」とか提案して。でも割とボツになります。

    ── ボツに。

    文田 今回、この場所を選んでくれたのは映像担当のタケカワくんなんですけど、スタッフさんの意見は通るのに、僕の「ここで撮りたい」は1回も通ったことがないです。1回もないかもしれない。

    根建 厳しいな。

    ── 差し支えなければ、例えばどこですか?

    文田 足利銅山とか、廃墟みたいなとこ撮りたかったけどボツで。あとあそこどこだっけ、神奈川のあのあれ、あの湖。

    根建 えーと、丹沢?

    文田 そう丹沢! 3年前くらいに初めて意見が通って撮りに行ったんですけど、それだけお蔵入りになりました(笑)。せっかく意見通ったのに、通った上でボツ。なんか見たことあるような画になっちゃったみたいで「違いました」って言われて。

    ── 皆さんで意見を出し合って場所を決めてるんですね。「年齢確認」の動画は巨大な彫刻の前で漫才をするのがカッコ良かったです。

    文田 あれは飯能ですね。

    根建 いつも場所が場所なんで、山道を抜けて行ったりするんで、機材を運ぶカメラマンチームは大変だと思います。

    ── いつも目の前にお客さんがいるような雰囲気でやってらっしゃいますよね?

    文田 そうですね、一応寄席が続いてるっていう設定です。僕たちの前に誰かがが漫才をしていてその後に出てきてるから、マイクの高さも直すようにして。景色について触れたりも一切してないんですよ。「ここ綺麗ですよね」とか言わない。その寄席にいつも出てる芸人っていう謎設定があって。

    ── これまで大変だったことはありますか?

    根建 あー、いつも文田がマイクを持ってきてくれるんですけど、前に忘れたことがあって。

    文田 サンパチマイク、あれ自前なんです。動作未確認のジャンク品で、それでも6万円くらいしたんですけど、動かないのかなと思ったら意外と音が入ったんで使っていて。

    根建 富士山の麓まで行って、そこで「忘れた!」って。どうする? で、急遽漫才やめて、ふたりでベンチに座ってトークしたんです。

    文田 去年も徳島で「ZEKKEI MANZAI」ライブがあったんですけど、結構久しぶりだったんで、またマイク忘れちゃって。

    根建 マネージャーがめちゃくちゃ探してくれて、徳島にいる社員さんが機材会社に連絡してくれて、「あります!」って。みんなで取りに行きました。なんとか間に合った。

    文田 めちゃくちゃ忘れるんですよ。あとサンパチ用のケースなんかどこにも売ってないから、いつもギターケースに入れて持って行くんですけど、それがすごい嫌で。なんか音楽の人みたいで。

    ── まさかギターケースにサンパチマイクが入ってると思わないですもんね。YouTubeに上がっている動画を見ると、めちゃくちゃ寒そうだったり風が強かったり、しんどい部分も多そうな気がするんですが…。

    文田 今はスタッフさんが連絡してくれたりして段取りできてますけど、初期の頃は自分たちで誰もいない時間帯にパッと行ってやってたから、早朝にやることが多くて。

    根建 北海道の極寒の地でやったこともあるんですけど、箱根の仙石原すすき草原が真冬で風も強くて、いちばん寒かったです。

    文田 寒かったねえ。あの日は予報ではマイナス1度とか2度だったから、スーツで行ってもまあ平気かなと思ったら風が強くて、体感温度がマイナス10度くらいになってて。サンパチの鉄の部分が冷えに冷えて、手もビリッてなるから触れなくて。

    根建 全然防寒してなかったんだよな。漫才1本とはいえ何回か撮り直しするから、そこに1時間以上は滞在していて、本当に生まれて初めてなんですけど、太陽の暖かさマジで知りました。こんなに暖かかったんだ! って。

    ── かなりギリギリの状態だったんですね。それでも撮り直しはしないという。

    文田 そうですね、というか、みんな無理なくやろうっていうコンセプトなんで、急いで動画を作ってほしいとかもないですし、例えば現地に行って「30分登らないといけません」ってなった時に半分ぐらいが「やめようか」って言ったら他の場所にする。それくらい緩いんです。

    ── 無理なくやろうというのは最初から?

    文田 そうですね、誰も儲かってないんで(笑)。遊びの枠をはみ出したらいけないと思って。

    根建 いや、ほんとそう。

    文田 前は一旦僕がギャラをみんなに出して、グッズ売って回収してって形にしてたんです。でもなんかね、なんで自転車操業してんだっていう(笑)。でも最近は社員さんが撮影と一緒にライブをくっつけてくれたから、ちゃんとギャラが出るようになって。

    ── 最近ではライブも開催されていますが、お客さんの反応はいかがですか?

    文田 思いのほかいつも笑ってくれるよね。

    根建 うん。場所が地方なので東京から来る人もいますし、仙台とか地元の人でもあんまり行かないようなとこなんで、みんな絶景にテンション上がってるんですよ。だから漫才は付属品みたいな感じ(笑)。

    文田 絶景を軸に会場を選んじゃうから、宮城とかちょっと申し訳ないことしたよね。仙台駅からバスで40〜50分かかって、着いたら車酔いしてるお客さんがいて。

    根建 でも皆さん旅行感覚で来ていただいて。ありがたいです。

    文田 今日の会場はバーッてカーテンが開いた瞬間に周りがぐるっと海になるんで、絶対盛り上がると思うんですよ。仙台もそんな感じだったんです。後ろが全部海みたいな会場で、幕が開いただけでウオーッて。

    根建 絶景に助けられてます、毎回。

    文田 今日もそこで9割終わりです。

    根建 ピークです。

    ── (笑)。お客さんが入る段階ではカーテンは閉まっているんですね。

    文田 はい。ライブが始まって出囃子流れたら、僕らの登場と一緒にカーテンが開きます。それが全てです。

    根建 正直マジでクライマックスです。

    ── おふたりも幕が上がるところは初めて見るわけですか?

    根建 あ、さっきちょっと見ちゃいました。すいません!

    文田 僕はもう何回も。

    ── ですよね。さすがに準備がありますもんね。

    根建 でも一応初見のつもりで「えー!」みたいな感じは出すんで。

    文田 俺もそうしよう。「え、こんなに!?」って。

    ── (笑)。通常の寄席との違いはありますか?

    文田 単発の会場なんで、お客さんにはどう聞こえるのかデータがないじゃないですか。大きい声を出したら音声がハウっちゃう可能性もあるから、それは心配ですね。でも緩くても大丈夫な感じはあります。気持ち的にはめちゃくちゃ楽。

    根建 ドキドキしますけどね。出てみないとわかんないんで。あといつも1時間ぶっ通しでやるんで、ちょっと大目に見てくださいって感じです。

    ── ぶっ通しで漫才をやるのは楽なんですか? 大変なんですか?

    文田 僕は楽です。これ意見合わないんですけど。

    根建 僕はちょっと休みたいです、本当は。

    文田 休むって言っても袖に戻って出てくるだけなんで、あんまり意味ないけどね。

    根建 水飲みたいのよ、途中。

    ── 絶景漫才とは別に、個人的に思い出に残っている絶景はありますか?

    文田 北海道はどこ行ってもヤバいですね。ラジオの仕事とかで結構行くことがあったんですけど、ほとんどの絶景は北海道にあるんじゃないかなってくらい、絶景具合がレベチというか。地球岬とか凄かったです。あと女人禁制の地もあって…。

    ── 根建さんはどこかありますか? 風景じゃない絶景でもいいですよ。

    根建 風景じゃない絶景…?

    文田 精神的な。

    根建 精神的な絶景…?

    文田 巨人が優勝した瞬間とか。あとあれあるじゃん、実家が解体された跡地とか。

    ── 根建さんのご実家、解体されたんですか?

    根建 あ〜、絶景ではないですけど、前住んでたところに久しぶりに行ったら更地になってたんですよ。

    文田 俺笑っちゃった。あんな広い2階建ての家だったのに、更地になるとこんなちっちゃいんだなって。絶景っちゃ絶景でしたね。

    根建 …あ、吉本のライブスタンドみたいな大きな舞台はやっぱり絶景ですね。あと日比谷の野音とか、初めてルミネで単独やった時とか、なんばグランド花月の初めての単独ライブとか、毎回絶景です。あのお客さんの感じはいつもすごいなと思います。

    ── なるほど。幕が開いた時に一斉にお客さんの顔が見えるわけですもんね。

    根建 はい。すごいなあって。あ、それでいうと、2010年の「M-1グランプリ」の予選が両国国技館だったんですよ。さすがに「M-1」なんで余裕はなかったですけど、すごいとこでやってんなあって思いましたね。あれは絶景だったかも。国技館って3階席とかありましたっけ。そのへん全部埋まってて。

    ── 当時の「M-1」の予選って国技館でやってたんですね。

    文田 いや、そのとき始めて国技館でやって、お客さんも5000人ぐらい入ってたんですよ。で、その年に急に「M-1」終わりますって言われて。こんなでっかいとこでやって終わるのかってびっくりしました。

    根建 でもあの景色は凄かったですね。

    ── 漫才がやりやすい絶景とやりにくい絶景ってあるんですか?

    文田 いや、基本ね、全部やりづらいんですよ。やっぱ外なんで。

    根建 ただ、滝の音がうるさくても、風の音で我々の声が聞こえなくても、それはそれでいいっていう設定なんです。だから自然環境は気にせずやってます。

    ── そう聞くと過酷にも感じますが、続けていくモチベーションはどんなところにあるんでしょう。

    文田 何か月に一回やるとか決めてないことですね。だからノンストレスで、誰かが嫌だったらやめようって言ってます。

    根建 僕は単純に旅行気分です。徳島だったり今日の熱海だったり、行ったことがない場所に行けるのが楽しくて。お客さんにはほんと申し訳ないですけど、ライブはちょっとおまけの感じ。

    文田 そうなんすよねえ。朝にYouTube撮り終わってタバコ吸いながら、このまま帰れたら嬉しいなあって。

    ── 普通に熱海を楽しんで1泊して仕事して(笑)。

    文田 そう(笑)。

    根建 でも一応5時半に起きて絶景漫才撮ってますからね、今日も。…まあそんなこと言われてもって感じでしょうけど(笑)。

    文田 あと5時半ってそこまで早くないっていうね。2時起きとかだったらわかるけど。

    根建 確かに。「私も5時半に起きてるし」っていう方、普通にいるよな(笑)。

    ── 今回の「ZEKKEI MANZAI」はビッグイベントだと思うんですが、そのあとはどんな予定が控えているんでしょう。

    文田 今年はもうツアーの1年です。全国10か所くらい周りますね。

    ── おお、すごいですね!

    根建 はい。今度はみんなが来やすい、駅から近いところでやります。

    文田 僕たち結構全国に行くんですよ。予選で負けたのに6月からの『THE SECOND』のライブツアーも全部行くし、マヂカルラブリーと毎年行ってる「ワクワクドキドキツアー」も多分あるんですよ。

    根建 3ツアー控えてます。めちゃくちゃツアー行きます!

    文田 本当は出っぱなしで行きたいんですよ。家出て、みんなで車に乗って、フェリーとかでまず北まで行って、ガーッて南下して2か月後に帰ってくるみたいな。行く先々でスーパー銭湯入りながら。

    ── 車で旅をするという。タモンズさんも昨年47都道府県を車で回ってらっしゃいましたよね。

    文田 あれはあくまで自宅が起点で、その都度帰ってくるじゃないですか。そうじゃなくて出っぱなし。帰らない。

    根建 いやあ、バンドワゴンとか憧れますし理想ですけど、さすがにってところはあるんで。無理です。

    ── 家族と会えなくなりますしね。

    文田 そうですね。10年前ぐらいにやっておけば良かった。

    根建 いつかやってみたいです。

    ── でも、ツアーがあるとお客さんもあちこち行けて楽しいですよね。

    文田 「ZEKKEI MANZAI TOUR」をやると、全公演来てくれる方もいるんですよ。お金がちょっと心配ですけど、嬉しいです。

    ── オンラインサロン(『IGOSHOGI GARAGE』)もやっていらっしゃって、おふたりは自分たちのコミュニティを大事にしている印象があります。

    文田 ずっと漫才をやっていくためには、ホスピタリティも大事かなって。もう若くないし。

    ── ご自身が出演したライブの配信情報を文田さん自らが伝える「今日の配信」とか「お悩み相談ガレージラジオ」とか、密な発信をされていますよね。

    文田 ラジオは、月額もらってるわりにあまりに何もやってなかったんで最近始めたんです。オンラインサロンをやるにあたって、僕は「すぐ退会できるようにしといてくれ」って言ったんですよ。なんか嫌だなと思ったらすぐ辞められる作りにしてもらって。「嫌だから改善して」はちょっと大変かもなんで、一旦抜けていただいて…っていう。でもそれにしては残ってくれてる人が多いから、お布施みたいに思ってくれてるのかなあ。

    ── でも定期的に「ガレージトーク」という会員限定のライブもありますし、写真撮影もできますし、充実していると思いますよ。

    文田 そう思ってもらえたら嬉しいですね。

    根建 みんな楽しんでくれてたらいいなと思います。

    ── 最後にぜひ、今日の熱海での「ZEKKEI MANZAI」の意気込みを聞かせてください。

    文田 意外と「今日初めて見ます」とか「地元だから来ました」っていうお客さんが今までよりもいらっしゃるようになったんですよ。それゆえの緊張感がちょっとあるんで、今までみたいに緩くできない。自分自身への戒めというか、滑るときとことん滑るぞっていう危機感を持って舞台に立ちたいなと思います。

    ── いろんな層の方々が来るわけですもんね。囲碁将棋が地元に来るんだったら行こうって。

    文田 そうなんですよ。コアな人しか来なさそうじゃないですか。徳島でライブをやった時に、みんな東京から来てくれてるのかなと思って「地元の方〜」って手を挙げてもらったらすごい手が上がったから、え、じゃあ滑る可能性あるじゃんって緊張しちゃって(笑)。でも徳島の300人ぐらいの会場が満員になったのが、東京で1000人埋めた時よりも嬉しくて。

    根建 そういう方も結構いらっしゃるので、めっちゃ嬉しいです。僕はさっきも言いましたけど、このカーテンが開いたところが間違いなくピークだと思うんで、あとは本当におまけ。なんで、お客さんもおまけのつもりでいてもらって、双方おまけと思っていればどっちもがっかりすることもないと思います。とにかくこの幕が開いた瞬間を楽しんでいただければ!

    ライブレポート|ZEKKEI MANZAI at ホテルニューアカオ

    囲碁将棋の取材を終え、ライブ開始まで『ホテルニューアカオ』を散策してみる。崖に建っているためエントランスは上層階にあり、ロビーのバルコニーからは熱海市内が一望できる。夏は花火大会で盛り上がりそうだ。ホテルニューアカオのオーシャン・ウイングは2023年にリニューアルオープンしたが、昭和のリゾートホテルの趣をあちこちに残しており、令和の今では実現しないであろうダイナミックな造作が随所に見られて飽きることがない。

    日が傾き始めた17時頃、開場にあわせて続々とお客さんがやってくる。入り口に掲示されたライブビジュアルを撮影し、記念にと『ホテルニューアカオ』のグッズも購入しているようだ。「ZEKKEI MANZAI」の限定アクリルスタンドの販売も行われていて、場内がじわじわと活気づいてくる。

    開演時刻の18時30分。場内に囲碁将棋の出囃子であるサザンオールスターズの『爆笑アイランド』が流れると同時にカーテンがゆっくりと上がり、徐々に雄大な相模灘が姿を表した。ステージの周りを水平線がぐるりと取り囲み、まさに絶景。左手には夕方の優しい光に照らされた熱海市街地が見える。歓声のなか「どうもー」と囲碁将棋が登場すると、より一層大きな拍手が響いた。

    文田 みんなカーテン上がって喜んでるけど散々上(ロビー階)で見たでしょう。

    根建 もうほぼほぼこのライブは終了です。

    窓の外だけでなく「サロン・ド・錦鱗」場内の造りも豪華絢爛で、天井には巨大なシャンデリアが煌めき、柱にはブルーオニキスがあしらわれている。まずはそれぞれの金額を競り形式とクイズ形式でお届けし、いかにすごい場所なのかを一同で共有。

    そして文田さんは開催に備え「熱海」という地名の由来について調べてきたという。

    文田 もともと熱い海で「あつうみ」だったんだって。なんで「あたみ」になったかっていうと、「奈良時代に熱い海が転じて熱海」って書いてあって、そこが知りてえんだよ! 当たり前のように転じられてるけど。

    根建 いろんな方言が出回って、あつうみ、あつあつあつあたあたあた、あたみ! みたいな。そこ知りてえよな。

    文田 字も違ったんですけど、漢字3文字で、そこ覚えてないんですけど。

    根建 そこ調べて来いよ。

    文田 阿夫利みたいな字でした。

    のちに調べてみると「阿多美」「安多美」と書かれた時期があったようで、確かに阿夫利っぽい。来場者の中には熱海在住のお客さんもいて、中にはここで結婚式を挙げた方も。「感動的ですけどそれが僕らのライブと直結しない気が」と正論を述べる根建さんだったが、家族全員で囲碁将棋が大好きという理由を聞いて「キャーーー!」と喜びの悲鳴を上げていた。

    トークは緩やかに1本目の漫才へ。ふたりが30年来の友人だという話から、文田さんが人生のピークを迎えた小学生時代、同級生石川くんとの物語へ。戦いと裏切りの波乱万丈な物語が幕を開け、文田さんは「隣の小学校を“討った”って言えばいいのかな」などと言い出し、やがて「伝来って何?」「忍者じゃん!」と翻弄されていく根建さん。

    続く2本目は、高校時代に実は大好きな大竹さんに告白をしていた文田さんの独白。屋上で告白という一見ベタにも見える設定だが、細やかな描写とくじけずアタックする文田少年の頑張りが奇想天外な確変を見せる。パチンコが好きな人ほど解像度が上がるはずだが、そうでなくても爆笑。

    3本目の漫才に入る前、文田さんがマイクの後ろを指差した。ネタ順のメモが貼ってあるようで、どうやら予定時間をオーバーしているらしい。「どんだけ石川くん楽しくなってんだよ!」とツッコむ根建さんの言葉で、確かに1本目はいつもと違う要素があったなと再確認する。主催ライブは賞レースや劇場出番のようにネタごとの時間が決められていないから尺調整は自由。囲碁将棋は普段のふたりの掛け合いが面白いのでアドリブで追加された展開も違和感がないし、さらに本筋から大幅に外れず馴染んでいて、生の漫才の醍醐味を感じる。

    3本目は根建さんの「ラーメン屋をやってみたい」から始まるコント漫才。それぞれのボケが炸裂するターンがありながら、文田さんの突然の動きに「熱海で気持ちよくなってる?」と根建さんが冷静に突っ込んだり、文田さんのギャグを「よそでは絶対やるなって言っただろ!」と止めたり、憧れのラーメン屋と普段の囲碁将棋の境界があやふやになる自由さが面白い。

    4本目は「キリンの首が長くなったのは不幸なことではないか」という根建さんの素朴な疑問が、進化をめぐる激論へとブーストしていく漫才。「何万年後なんてどうでもいい」のスタンスを取る冷静な文田さんとの対比が際立ち、囲碁将棋の魅力は「ツッコミ=根建」「ボケ=文田」に留まらないことを改めて実感する。

    こうして、休憩なし60分1本勝負の漫才が終了。一度袖に捌けたふたりは「ホテルニューアカオ」のTシャツに着替えて再登場し、さらに30分ほどのフリートークを繰り広げた。熱海に1泊したふたりの様子をスライドショーで映しながら、熱海駅周辺を散策した話、「熱海秘宝館」での記念写真、ビュッフェでの食事内容、絶景漫才の収録時の様子、近くにあるカフェなどをたっぷり紹介。ロビーの外にあるバルコニーで撮った根建さんのポートレート写真が「昭和のお父さん」に見えるという話になり、そういえばあの頃のお父さんは旅行にスーツで来ていたねと盛り上がる。

    今回のライブには宿泊付きプランがあり、この日「ホテルニューアカオ」に泊まる人も多い。この囲碁将棋による熱海観光プランを参考に、翌日のプランを立てた人も多かったのでは。

    連日、全国各地の劇場に出演しているふたりの漫才を、いつもとは違う場所で、絶景とともに堪能できる「ZEKKEI MANZAI」。インタビューでも「旅行気分」という言葉が出たように、文田さんと根建さんの心持ちも普段とは違うだろうし、きっとここでしか見られない漫才がある。囲碁将棋の絶景の旅はまだまだ続く。

    Profile

    囲碁将棋

    いご・しょうぎ 高校の同級生だった文田大介と根建太一のふたりが2004年に結成したお笑いコンビ。『THE SECOND 〜漫才トーナメント〜2025』準優勝。『囲碁将棋の〇〇はなんでも知っている』シリーズ(テレ朝チャンネル)、『それゆけ!大宮セブン』(テレビ埼玉)、『囲碁将棋・ダイタクの「マジでこんなん見るやついねえって〜言うな〜」』(BSよしもと)、ラジオ『キイテル「神奈川ディス・ラブ」』(FMヨコハマ)などに出演中。全国各地の絶景スポットで漫才を行う「ZEKKEI MANZAI」を公式YouTubeで配信している。

    information

    ホテルニューアカオ

    静岡県熱海市の景勝地・錦ヶ浦断崖に建つ全室オーシャンビューのリゾートホテル。2023年7月に「オーシャン・ウイング」がリニューアルオープンし、浴槽の水面が海と一体化して感じられるインフィニティ風呂や、伊豆の幸を味わうメインダイニング錦などを新設。絶景を一望しながら、心と体を休める癒しのひとときを楽しめる。 https://hotel-new-akao.com/

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    写真・兼下昌典 取材、文・飯田ネオ

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