「異物感があるか」が判断のポイントに。
最近「乳がんかも?」と乳腺科に駆け込む人が増えているそう。でも、その多くが「異常なし」。
「私たちのおっぱいは、生理周期やホルモンバランスの影響を敏感に受け活発に変化しています。ほとんどの方が短期的な痛みで、乳がんとは無関係のものです」(乳腺外科医・尹玲花先生)
とはいえ、一人では判断しにくいからこそ心配になるもの…。
「“異物感”があるかどうかは意外と知られていないセルフチェックのポイントです。乳がんは、体にとって異物なので、明らかな違和感がある場合が多いですよ」
乳がんではなくても、他の感染症や病気の場合もある。よくある疑問を解決し、セルフチェックに役立てて。
Q1 胸が痛いときがあります。
胸の痛みを気にする人は多いけれど、そもそも「乳がんの初期症状に痛みはない」と心得て。「稀に痛い人もいますが、ほとんどがホルモンバランスの変化による一時的な痛みです。とくに30~40代にかけてはホルモンバランスの大きな変化が起こるため、今までに経験したことがないような痛みを感じることも。1~2か月を目安に短期間で治まるなら心配ないでしょう」。また、乳がんではなくても、乳房内の線維組織と乳腺が増殖してできる良性の腫瘍「乳腺線維腫」が原因の痛みもある。我慢できない痛みが続く場合は、まず乳腺科で受診を。
Q2 胸を触ると何となくしこりがあるような。しこりの硬さってどれくらい?
「多くがホルモンバランスの影響で感じるしこり。乳がんの場合は、明らかな異物感を伴うことが多いのも特徴です」。一般的には“梅干しの種が奥に埋まっているような硬さ”といわれる。ただし“おっぱいをなでたときに、脂肪の奥につぶつぶ、ザラザラしたものを感じる”“指先に米粒があたったような硬さ”を感じた人もいるそう。また、しこりを作らない「非触知乳がん」もあるので「硬くないから大丈夫」と安心しないことが大切。乳腺にできる良性のしこりが見つかることもある。この場合、がん化する可能性があれば、しこりを摘出することも。
Q3 乳首が痛いんです。
乳首が痛い場合は、乳がんではなく乳首に炎症が起きていることが多い。例えば、乳首に水疱のような湿疹ができる「乳頭ヘルペス」や、おっぱいの中に膿みがたまる「乳輪下膿瘍」、授乳中に母乳の出口に炎症が起こる「乳口炎」などがある。いずれも、乳腺科での適切な治療が必要。また、生理周期やホルモンバランスの影響により胸が張り、乳首に痛みが出ることも。短期間で自然と治まれば心配なし。乳首近くにできるがんとして「バジェット病」という特殊な乳がんもある。乳頭や乳輪に湿疹のような激しいただれができるが、痛みや痒みはない。
Q4 母が乳がんになりました。私もかかるのでしょうか…?
親や親戚に乳がん経験者がいる場合、発症リスクは上がる。いま見つかっている乳がんに関係する遺伝子は「BRCA1」と「BRCA2」。遺伝性乳がんの患者の多くはどちらかに病的変異(発症に関係する変化)を持つことがわかっている。「血縁関係がある乳がん経験者の方の発症年齢より10~15歳若い年齢から検診をしたほうがいいと思います。例えば母親が40代で乳がんになった場合は25歳くらいが目安。ただし過度な心配がストレスになる場合も。大学病院等に開設されている遺伝カウンセリングに相談し、適切な検診を続ける環境を整えることも大切です」
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