「灰汁」は「はいじる」ではありません!【漢字クイズ】意外と読めない漢字3選

文・田代わこ — 2024.3.10
知っている文字なのに意外と読めない漢字をご紹介する漢字クイズ。今回は、「灰汁」、「出汁」、「塩梅」の読み方に迫ります!

【漢字クイズ】vol. 27

正しく読めたらスゴイ!

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「灰皿」や「灰かぶり姫」など、誰もが知っている漢字「灰」。「汁」のほうも、「汁物」や「みそ汁」などでおなじみの文字です。

では、この二つを組み合わせた言葉「灰汁」は正しく読めますか?

「灰汁」は「はいじる」ではありません!

正解は、


「あく」でした! 

「灰汁」の意味は、みなさんご存じのとおり、料理で肉などを煮たとき汁の表面にブクブクと浮き出てくる白いもののことを指します。

また、野草などの植物に含まれている渋み成分のことも「灰汁」といいます。

ただ、もともと「灰汁」とは、文字どおり植物の灰を水に浸して得られる上澄み液のことを指しています。この液体はアルカリ性で洗浄力があり、昔から洗剤や染色などに使用。平安時代には、洗濯するときに灰汁を使っていたそうです。

ちなみに、「アクの強い人」などと使うときのアクも漢字にすると「灰汁」。この場合のアクは、人の性質や文章などににじみ出てくる癖や、ちょっと嫌な雰囲気、強すぎる個性のことを表しています。

「出汁」の読み方は…?

正解は、


「だし、だしじる」でした! 

ふだん料理をするかたなら、それほど難しくない読み方だったと思います。ただ、ときどき「でじる」と読んでいる方もいるので、この機会に覚えておくとよさそうです。

国語辞典によると、出汁とは「煮出汁(にだしじる)」の略で、昆布やかつお節などの旨み成分を煮出した汁のこと。書き方は「出汁」のほかに、「だし汁」、「出し汁」、「出し」などもあります。

ちなみに「人をダシに使う」のダシは漢字にすると「出し」。意味は、自分の利益のために人や物事を利用することです。

「塩梅」の読み方は…

正解は、


「あんばい」ですが、「えんばい」でもOKです!

まず、「あんばい」と読む場合、「塩梅」のほかに「安排、按排、按配」とも書きます。

あまり見慣れない漢字ですが、この「安排、按排、按配」の意味は、「ほどよく配置したり、処理したりすること」。

また、「塩梅(えんばい)」のもともとの意味は、「塩味と酸味、料理の調味」です。

国語辞典によると、「あんばい(安排、按排、按配)」と「えんばい(塩梅)」が混同されて使われるようになり、今では「塩梅」を「あんばい」と読むようになったそうです。

このため、「塩梅」の意味も複数存在。おもな意味は次のとおりです。

1. 塩と梅酢で調味すること、料理の味加減を整えること
2. 健康具合
3. 物事のほどあい、ほどよく処理すること

料理だけでなく、どんな場面でも「いい塩梅」に整えるのが理想的ですね。

以上、意外な読み方をする漢字3選でした。次回もお楽しみに!


参考資料:
『広辞苑』(岩波書店)
『日本国語大辞典』(小学館)
『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)
『世界大百科事典』(平凡社)