「ズボン」本当の意味、知ってる? 【意外と知らないカタカナ語雑学】

文・田代わこ — 2024.3.8
昭和時代によく使われていたファッション用語「ズボン」。anan読者のアラサー世代はなじみがないかもしれませんが、昭和生まれのかたはまだ使っている人も多いと思います。そんなレトロな雰囲気が漂う言葉「ズボン」の本当の意味をご紹介!

【意外と知らない雑学】

「ズボン」の由来は…?

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国語辞典によると、ズボンの由来はフランス語のジュポンjupon。

ただjuponの意味は、私たちがイメージするズボンではなく、「女性用ペチコート」です。

なぜ、女性用ペチコートがズボンの意味で使われるようになったのかは不明のようですが、明治初期には「ズボン」が「二股に分かれた西洋の衣服」を表す言葉として定着しました。

別の由来も…!

さらに百科事典を調べてみると、ズボンの由来はフランス語juponのほかに、「擬声語からきた言葉」という説も載っていました。履くときに「ずぼん、すぽん」と足を入れることからズボンと呼ばれるようになった、という説です。

どちらにしても、ズボンは日本独自の言葉なので、外国で「ズボン」は通じません。英語でズボンを表現したいときはpants、またはtrousersを使いましょう!

「スラックス」の本当の意味は…?

では、ズボンと同じく昭和の香りが漂う言葉「スラックス」の本当の意味はご存じですか?

国語辞典に載っている「スラックス」の意味は、「替えズボン」。英語のスラックスslacksからきた言葉で、英和辞典に載っている日本語訳は「普段着のズボン」です。

さらに語源をたどると、slacksはslack(緩い)から派生した言葉で、もともとは「緩みのある軍事用の作業ズボン」を指し、次第に「カジュアルなときに履くズボン」の意味に変わっていったそうです。

ズボンと同じような言葉は、「スラックス」のほかに「パンタロン」などもありましたが、今では「パンツ」という名称が多く使われています。

ズボンいろいろ…

ズボンの歴史を見てみると、日本では太古の時代からズボン風の袴(はかま)を着用。博物館などに展示されている埴輪も袴姿をしたものがあります。

平安期などは男性だけでなく貴族の女性も袴を履いていましたが、鎌倉時代以降になると次第に女性は袴を身につけなくなります。その後、明治時代になると女性の袴が復活。制服として取り入れられ、女学生が袴姿で学校に通うようになりました。

日本の女性が洋装のズボンをファッションに取り入れるようになったのは、第二次世界大戦後から。今では、女性のパンツ・スタイルは定番となり、さらに制服でも女子生徒向けにスラックスを取り入れる学校が増えてきました。好きな服が選べる時代になったのはうれしいですね。

以上、ちょっと意外なズボン雑学でした!

参考資料
『広辞苑』(岩波書店)
『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)
『世界大百科事典 第2版』(平凡社)
『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)