田代 わこ

「エロい」って何語? 実は「エロくない」語源も解説! 意外と知らない雑学

2022.6.5
ふだん何気なく使っている略語やカタカナ語の由来など、意外と知らない外国語の雑学をご紹介。今回は、卑俗なイメージが強いあの言葉に迫ります!

あの言葉の由来は…?

セクシーなことや性的魅力があることなどについて使う言葉「エロい」。こちら、もともと何語でしょう?

この俗語の由来は、英語のerotic(またはeroticismなど)。語頭にある「ero-」の部分を形容詞化したものです。

英和辞典に載っているeroticのおもな意味は、「性欲をかきたてる、好色の、性愛の」。ほぼ、日本で使われているのと同じです。

語源は、キューピッド!?

さらにeroticの語源を調べていくと、ギリシャ語のErōs(エロス)にたどりつきます。

Erōsといえば、ギリシャ神話に登場する愛の神で、女神Aphroditē(アフロディテ)の息子。恋の弓矢で神々や人の心を射るいたずら好きの男の子です。背中に羽をつけたスタイルで、美術作品にも登場しています。

この恋の弓矢の話、どこかで聞いたことがありませんか? そう、Erōsはローマ神話のクピド(キューピッド)のこと。Erōsの母親アフロディテは、ローマ神話ではヴィーナスになります。(※ローマ神話は、ギリシャ神話をもとにローマ人が構成。登場する神々も同一視されています。)

ギリシャ神話の誕生は、紀元前二千年紀ともいわれています。愛の神Erōsの原形は、今から3000〜4000年前にできていたのですね。

語源はギリシャ神話!

ギリシャ神話までさかのぼることができた言葉「エロい」。卑俗なイメージがあり、きちんとしたオトナの社会では使用しづらい俗語ですが、語源は愛の神。人間の営みと深く関わりのある言葉だったからこそ、数千年も残ってきたのだと思います。

以上、erotic関連語のご紹介でした!

参考資料:
『現代用語の基礎知識』(自由国民社)
『日本国語大辞典』(小学館)
『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)
『広辞苑』(岩波書店)
『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)
『世界大百科事典』(平凡社)