田代 わこ

まさかの感動! 「グロい」の深すぎる語源とは? 意外と知らない外国語雑学

2022.5.29
ふだん何気なく使っている略語やカタカナ語の由来など、外国語の雑学をご紹介。今回は、「グロい」に迫ります!

「グロい」って、もともと何語?

奇妙なものや気味の悪いものに対して使う言葉「グロい」。この「グロ」って、もともと何語でしょう?

「グロい」の由来は…

「グロい」はグロテスクの略「グロ」を形容詞化した言葉。

グロテスクを英語やフランス語で書くとgrotesqueとなります。英和辞典に記載されているおもな意味は、「奇怪な、奇妙な、異様な」。

さらに美術や文学の用語として、「グロテスク様式の、怪奇主義の」などの意味でも使われています。

グロテスクの由来は、皇帝ネロ!?

そもそもグロテスクの語源は、イタリア語の単語grottesco(発音:グロッテスコ)。おもな意味は「奇怪な、奇妙な」です。

また、「グロテスク模様」という意味を表す女性名詞grottesca(グロッテスカ)もあります。

さらに、それらの単語の由来を調べていくと、イタリア語の女性名詞、grotta(グロッタ)にたどりつきます。

grottaのおもな意味は、「洞窟、ほら穴、ワインの地下貯蔵庫」。あの有名なイタリアの観光地、「カプリ島の青の洞窟」は「Grotta Azzurra di Capri」と書きます。

では、なぜ洞窟を表す言葉grottaが、「奇怪な」という意味に変化したのでしょう?

『伊和中辞典』(小学館)にその理由が載っていましたので、一部引用します。

通称 grotte「洞窟」と呼ばれていた皇帝ネロの Domus aurea「金色の館」の遺跡で発掘された、奇想天外な壁面の飾り模様から「怪奇な」という意が生まれた。

(見出し語grottescaの解説より)

「グロい」の由来が、約2000年前のローマ皇帝ネロまでたどりつくなんて、ちょっと感動です。

「グロい」はグロテスク!

皇帝ネロまでさかのぼることができた「グロい」。若い人たちが使う流行語のようなイメージでしたが、歴史の重みも感じられる深い言葉になった気がします。

以上、「グロい」のご紹介でした!

参考資料:
『伊和中辞典』(小学館)
『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)
『デジタル大辞泉』(小学館)