「論う」は「ろんう」ではありません!【漢字クイズ】意外と読めない漢字3選

文・田代わこ — 2024.3.2
見慣れた文字なのに意外と読めない漢字をご紹介する漢字クイズ。今回は、「論う」、「焦らす」、「阿る」の読み方に迫ります!

【漢字クイズ】vol. 26

正しく読めたらスゴイ!

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「論文」や「論争」、「反論」など、よく知っている漢字「論」。「ろん」という読み方はみなさんご存じかと思いますが、では「論う」は正しく読めますか?

「論う」は「ろんう」ではありません!

正解は、


「あげつらう」でした! 

国語辞典によると、「論う」の意味は、「物事のよしあしを議論する、ささいな非などをとりたてて言う」など。

例えば、「今後の方針について論う」、「あの記者は有名人の発言をいちいち論う」などと使います。ふつうに議論するというよりは、非難をこめて意見を言うような状況で使用されることが多い言葉です。

ちなみに、「あげつらう」の「あげ」は「挙げ」、「つらう(つらふ)」は状態などが長く続くことを表し、もともとはネガティブな意味を含む言葉ではなかったそうです。

「焦らす」の読み方は…?

正解は、


「じらす」でした! 

「焦」にはいくつか読み方があるので、一瞬どれが正しいのか迷いますよね。サッと読めたかたはスゴイです!

「焦らす」の意味は、「相手の望むことを妨げて、相手の気持ちをいらいらさせる」など。

使用例は、「焦らしてなかなか教えてくれない」、「エサをあげるふりをして飼い犬を焦らした」などです。

思い通りにならずいらいらするときに使う「じれったい」も、漢字で書くと「焦れったい」となります。

「焦」には、ほかにもいくつか読み方があるのでご紹介。

・「焦らる」……「いらる」
意味は「いらいらする」で、「苛る」とも書きます。

・「焦る」……「あせる」
意味は「気がいらだってあばれる、じりじりする」など。「焦るとミスが増える」、「焦って結婚したら後悔する」などと使います。

・「焦がれる」……「こがれる」
意味は「焼けて焦(こ)げる、人を恋い慕う」など。後者の意味では、「思い焦がれる、恋い焦がれる」など恋バナで使えます。

・「焦」……「しょう」(音読み)
使用例は、焦土(しょうど、焼け野原の意味)や焦燥(しょうそう、あせっていらいらするの意味)など。

漢和辞典を見ると、「焦」という文字は、「鳥」を意味する「隹」と「火」を組み合わせたもの。鳥を火であぶる、こがすというのがもともとの意味です。

「阿る」の読み方は…

正解は、


「おもねる」でした!

意味は、「相手の機嫌をとって気に入られようとする」など。例えば、「上司に阿る」、「世間に阿る記事を書く」などと使います。

「阿」という漢字は、人名の「阿部」や地名の「阿波」など「あ」という読み方にはなじみがありますが、「おもねる」の読み方を知っているかたは少ないかもしれません。

そもそも、「おもねる」という言葉自体、ふだんの会話ではあまり使わないと思いますが、この機会に覚えておくと、何かの役に立つかもしれません。

以上、意外な読み方をする漢字3選でした。次回もお楽しみに!


参考資料:
『広辞苑』(岩波書店)
『日本国語大辞典』(小学館)
『新選漢和辞典』(小学館)