【ビジネスマナー】リスケのメール失礼じゃない?「リスケ、キャンセル時の注意点」【実用編】

文・能美黎子 — 2023.11.11 — Page 1/2
カジュアルな場面や親しい間柄で、予定を変更したい場合などに使う「リスケ」。では、実際にどのように使えばいいのでしょうか。今回は「リスケ」をする際の注意点、例文などを含めた「実用編」をご紹介。今さら聞けない身近なマナーを、秘書歴15年でマナーに詳しい、能美黎子さんが説明します。

リスケ、キャンセルをする際のビジネスマナー【実用編】

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【元社長秘書のマナー講座】vol. 10


前回は、「リスケ」の意味や使い方についての「基本編」をご紹介しました。リスケは、カジュアルな場面や親しい間柄で予定を変更したい場合などに使うのが基本です。では、実際にどのように使えばいいのでしょうか。今回は、リスケをする際のマナーや注意点、例文などを含めた「実用編」を解説していきます。

1. 実用編 使用する際の注意点

ビジネス用語として使う場合、予定の前倒しではなく、予定が延期になるケースで使われるのが一般的です。では、実際に使用する際の注意点を見ていきましょう。

取引先や目上の人に対して「リスケ」は使用しない

同僚や部下、社内の親しい人に対して、「リスケをお願いします」「リスケさせてください」と使用するのは基本的に問題ありません。しかし、略語である「リスケ」は、軽い印象を持たれてしまう可能性があるため、社外の取引先や上司に対しては使用しないよう注意が必要です。この場合には「日程を再度調整させてください」「日程を変更したく、以下の日程でご検討いただければ幸いです」など、場面や相手に合わせて丁寧に言い換えをして伝えるようにしましょう。

リスケ後の日程は必ず守る

基本的に、リスケはしない方がよいものです。やむを得ず日程変更をする場合、変更後は確実に約束を守れる日程を設定し、必ず守ることが大切です。何度もリスケをお願いすることは相手への配慮に欠け、信頼を失う可能性があります。相手から不信感を抱かれても仕方のない行動となってしまうため、確実に実行できる日程を設定しましょう。

伝える際は、電話が基本

基本的にリスケをする場合には、電話で伝えることがマナーです。メールでは相手がすぐに気づかない場合があることや、誠意を伝えるためにも電話で伝えることが好ましいです。なるべく早めに電話で連絡をすることを心がけましょう。担当者が不在の場合や電話が繋がらなかった場合には、メールで連絡をした上で、合わせて電話で連絡をすると丁寧でしょう。また、最初から電話が繋がった場合でも、リスケの内容を改めてメールで連絡をすることを忘れないようにしましょう。

2. リスケをする際のメールの書き方のポイント

リスケを依頼する際のメールの書き方に関するポイントを解説していきます。

件名

リスケを依頼する際の件名は「日程調整のお願い」「日程変更について」など、一目で内容が分かるようにすることが大切です。
相手が、一日に何通ものメールを受け取っている場合、重要度・緊急度が低いと判断されれば、後回しにされる可能性があります。そのため、件名だけで「日程調整のメールだ」と判断してもらえるように件名の工夫を心がけましょう。

本文

本文では「日程変更の理由」「希望する変更日時はいつなのか」などを漏れなく簡潔に伝えられるようにしましょう。また、「お世話になっております」といった挨拶文の後に、こちらの都合で相手に迷惑をかけるため、挨拶と一緒に「大変申し訳ございませんが」「大変恐縮ではございますが」など、お詫びの言葉を添えるようにしましょう。ビジネスメールの基本となりますが、誰との何の予定なのかがわかるよう、挨拶文の前に「株式会社○○の××でございます」と、自分の名前を忘れず記載するのがマナーです。変更日時に関しては「○月○日 ○時~○時」と時間まで詳細に記載し、3つ以上を目安として複数の候補日時を提示することがマナーです。

3. メールでリスケをお願いする際の例文

では、実際にメールでリスケをお願いする際の例文をみていきましょう。

電話連絡後にメールをする場合

件名:お打ち合わせの日程調整につきまして

△△株式会社
△△様

お世話になっております。
株式会社○○の○○でございます。

先ほどはご多忙のなか、お電話にて日程変更を快諾いただきありがとうございました。

お忙しいところ、お時間を調整していただいたにもかかわらず、申し訳ございません。
つきましては、お打ち合わせの日時につきまして、
以下からご都合のよろしい日程をご連絡いただけますでしょうか。

【変更希望日程】
・○月○日 ○時~○時
・○月○日 ○時~○時
・○月○日 ○時~○時

上記日程が難しい場合には、○○様のご都合のよろしい日程をいく日かお教えいただけますと幸いです。
お忙しいところ恐縮ではございますが、何卒ご検討のほどよろしくお願いいたします。

電話が繋がらずメールでお願いする場合

件名:【日程変更のお願い】お打ち合わせにつきまして

△△株式会社
△△様

お世話になっております。
株式会社○○の○○でございます。

先ほどお電話をさせていただいたのですが、ご不在でしたので、
メールでご連絡をさせていただきます。

○月○日に予定しておりましたお打ち合わせですが、
急な出張が入り、貴社にお伺いすることが難しくなりました。

お忙しい中、ご調整いただいたにもかかわらず、大変申し訳ございません。

こちらの都合にて、恐縮ではございますが、
以下いずれかの日程にご変更していただくことは可能でしょうか。

【変更希望日程】
・○月○日 ○時~○時
・○月○日 ○時~○時
・○月○日 ○時~○時

上記の日程が厳しい場合は、○○様のご都合のよろしい日程をご連絡いただけますと幸いです。
大変お手数をおかけしますが、何卒ご検討のほどよろしくお願いいたします。

おわりに

いかなる理由であってもリスケは、相手に迷惑をかけてしまう行為であることを忘れないようにしましょう。お願いする際は、相手に失礼がないよう配慮することが大切です。
リスケをお願いする場合には、必ずマナーを守り、相手に不快感を与えないようにすることがとても重要です。適切なコミュニケーションによって、ビジネスを円滑に進められるように心がけましょう。

<筆者情報>
ライター:能美黎子
大学卒業後、新卒にて最大手保険会社にて約7年秘書の経験を経て、ITコンサル企業の社長秘書に転職。その後、数社の社長秘書を経験し秘書歴約15年となる。秘書検定準1級を取得。
今までの経験を活かし、接遇や礼儀作法、マナーなど“品格”を大事にした執筆作業を行なっている。


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