【ビジネスマナー】正しい使い方を知っていますか?「リスケ、キャンセル時の注意点」【基本編】

文・能美黎子 — 2023.11.11 — Page 1/2
ビジネス上の会話やメールで使われることの多いビジネス用語「リスケ」。なじみのある言葉ですが、業種によって意味が異なるため、正しい使用方法を理解しておくことが必要です。今さら聞けない身近なマナーを、秘書歴15年でマナーに詳しい、能美黎子さんが説明します。

リスケ、キャンセルをする際のビジネスマナー【基本編】

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【元社長秘書のマナー講座】vol. 9


ビジネス上の会話やメールの中で使用されることが多い「リスケ」という言葉。具体的にどのような意味をもつかご存知でしょうか。実はリスケには複数の意味があり、例えば金融業界では独自の意味で使用されています。取引先によっては誤解が生じる可能性があるため、違いについて知っておく必要があります。今回は、リスケの意味や状況に応じた使い方、注意点など、身に着けておくべきマナーを「基本編」と「実用編」の2回に分けて解説していきます。

1. 基本編「リスケ」とは?

リスケの意味

リスケとは英語の「reschedule(リ・スケジュール)」の略語で、「計画を変更する」「予定や日程を組み直す」という意味を持ちます。ビジネスシーンで使われることが多く、打ち合わせや会議の日程変更、締切の延長、プロジェクトの見直しなどの予定を変更する際に使います。ただし、正式な言葉ではないため、場合によってはカジュアルな印象を与える可能性があります。取引先や目上のかたには使わず、ある程度距離の近い社内の相手などに使用するのがいいでしょう。 

金融業界の場合

本来リスケという言葉は金融業界の専門用語で、銀行融資を行う際の「借入条件の変更」という意味で使用されています。銀行融資を受けていた企業が、「当初の返済計画では返済が間に合わないから延期をしたい」「返済額の減額や見直しをしたい」といった場合に、借り入れ条件の変更が行われます。このことを金融業界では「リスケ」と呼びます。日程の再調整という意味では同じですが、他業種で使用されているリスケの意味とは少し異なることを理解しておきましょう。

2. リスケ・ドタキャン・キャンセルの違い

リスケと似た言葉にドタキャンとキャンセルがありますが、それぞれ意味が異なります。

ドタキャン

ドタキャンは、「土壇場でキャンセル」という意味の略語で、予定を直前でキャンセルすることを言います。キャンセル後の予定を組み直すリスケとは意味が異なります。

キャンセル

キャンセルは、「予定を白紙にすること」を意味します。ドタキャンのように直前ではありませんが、この言葉にもリスケのような「予定を組み直す」という意味は含まれていません。新たに日程を変更したい場合には、「ドタキャン」や「キャンセル」という言葉を使うと「予定を再調整する意思はない」と思われる可能性があるため、しっかりと使い分けるように注意をしましょう。

3. リスケの言い換えフレーズ3選

リスケは略語であるため、目上のかたや取引先相手に使うことはおすすめできません。言い換える場合のフレーズをご紹介します。

  • スケジュール調整
  • 日程調整、日時変更
  • 予定(計画・スケジュール)の見直し・組み直し

カジュアルな場面や親しい間柄で、予定を変更したい場合などに使うのが「リスケ」です。ビジネスシーンでは、「スケジュール調整」「予定調整」「予定変更」「日程調整」などと言い換えて使うことがマナーとなります。

おわりに

リスケは相手に少なからず迷惑をかける行為となるため、そのことを認識した上で「早く伝える」など最低限のマナーを心がける必要があります。今回は基本編をお伝えしましたが、次回は使う際の注意点とマナー、連絡する際の例文など、実用編をご紹介をします。相手への配慮が大切となる「リスケ」について、丁寧かつ失礼のないよう正しく意味を理解し、仕事を円滑に進めていきましょう。

<筆者情報>
ライター:能美黎子
大学卒業後、新卒にて最大手保険会社にて約7年秘書の経験を経て、ITコンサル企業の社長秘書に転職。その後、数社の社長秘書を経験し秘書歴約15年となる。秘書検定準1級を取得。
今までの経験を活かし、接遇や礼儀作法、マナーなど“品格”を大事にした執筆作業を行なっている。


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