不動産会社の経営者が教える! 絶対に見逃してはいけない「諸費用節約の裏ワザ」

取材、文・高倉優子 — 2023.6.25 — Page 1/2
マンションを買う際、購入価格の他にもさまざまな諸費用がかかることをご存じでしょうか? どのようなものに、どのくらいかかるのかをきちんと把握し、準備しておかないと資金調達の面で苦労することになってしまいます。そこで今回は、マンション購入時の諸費用にはどのようなものがあるのかをご紹介しつつ、それらを節約する裏ワザについて、『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)の著書であり、5000人超の女性たちの「幸せになれる家選び」をサポートしてきた「ことり不動産」代表の石岡茜さんにお聞きしました。ぜひ家選びの参考にしてください!

不動産会社の経営者が教える「諸費用節約の裏ワザ」

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――まず、マンション購入時の諸費用にはどのようなものがあり、どのくらいの金額が必要なのか教えてください。

石岡 諸費用の内容を大きく分けると、1.住宅ローンを組むために金融機関に支払う手数料、2.保険料、3.司法書士に支払う手数料、4.税金、5.不動産会社に支払う手数料となります。下記に項目ごとの大まかな内容をまとめてみました。

1. 金融機関に支払う料金

ローン事務手数料 / ローン保証料 
住宅ローンを借りる際に、金融機関や保証会社に対して支払う料金で、銀行によって名目が異なります。融資金額の2%+消費税が一般的です。初期費用を抑えたい方は、金利を0.2%上乗せして、契約時の支払いを無しにするプランも選べます。

団体信用生命保険料(団信)
住宅ローンの返済期間中に契約者が亡くなられたり、障害を負うなどした場合に、ローンの返済をする必要がなくなる保険のための料金です。大手金融機関で住宅ローンを組むときは、提示された金利に含まれています。

2. 保険料

火災保険料
住宅ローンを借りる場合、火災保険が必須になることがあります。最近は自然災害が増えているため、保険も値上がり傾向にあり、マンションよりも戸建の方が保険料は高くなりやすいところがあります。新耐震基準の物件や、耐震等級を取得している物件、住宅性能評価を取得している物件等は、保険料が安くなることがあります。

3. 司法書士に支払う料金

登記手数料
抵当権や土地・建物の登記手続きを司法書士に代行してもらう手数料です。10~15万円前後が一般的です。

4. 税金

印紙税
不動産売買契約書を締結する際に契約書に印紙を貼り付ける必要があり、その印紙代は取引額によって異なります。また、住宅ローンを組む際に、金融機関と締結する契約書にも印紙代が必要となります。

登録免許税(抵当権および土地・建物の所有権)
物件を購入して所有権が移転する際に行う「所有権移転登記」、金融機関からお金を借りて抵当権の設定を行う際に行う「抵当権設定登記」など、登記にかかる国税。

土地・建物の固定資産税
保有する土地や建物など固定資産にかかる市町村税。

不動産取得税
不動産を購入する際に一度だけ課税される地方税(都道府県税)。土地や家屋の評価額に税率を掛けて算出されます。

5. 不動産会社に支払う料金

仲介手数料とその消費税
仲介をお願いする不動産会社へ支払う手数料です。料金は、購入する価格により宅建業法で定められていますが、一般的には購入価格の3%+6万円が上限額となります。

石岡 これらを併せると、新築マンションの場合は購入価格の3~7%、中古マンションの場合は6~10%の諸費用が必要といわれています。たとえば6000万円の中古マンションを購入する場合、360万円~600万円になる計算です。またこれらに加え、リフォームが必要な場合はリフォーム代金や、引っ越し費用も必要です。

――けっこう高額になりますね。少しでも節約するために購入者ができることはありますか? また、知らないと損する諸費用を節約する裏ワザなどがあれば教えてください。

石岡 それでは節約ポイントや知っておくと得することを項目ごとにご紹介します。

知ってると得する! 諸費用の節約ポイント

ローン事務手数料 / ローン保証料

金融機関からローンを借り入れる際には、融資金額の2%+消費税(6,000万円のローンを組む場合、約132万円)を事務手数料、もしくは保証料として支払うことが多いです。ただし、初期費用を押さえたいという場合は、金利に0.2%上乗せして(分割で)支払うプランが利用できる場合もあります。

手数料が一律33万円など安く設定されたネット銀行もあるので検討してみてもいいでしょう。ただし、さまざまな名目で細々とした費用を請求してくる金融機関もあるので注意が必要です。請求される金額を合算し、トータルでいくらかかるか調べておきましょう。

諸費用と金利条件などについて、最低でも3~4以上の金融機関を比較検討して決めるのがおすすめです。

住宅ローン代行手数料

ローンを組む際に、仲介を依頼する不動産会社から金融機関を勧められることがあります。その際、「住宅ローン代行手数料」「住宅ローン斡旋手数料」といった名目で、金融機関を紹介する手数料を請求されることがあります。

不動産会社から勧められるまま即決してしまう方も多いですが、契約する前に手数料がかかるか確認してください。また、ご自身で各金融機関の費用を確認の上、決定するのがおすすめです。

団体信用生命保険料(団信)

金融機関の多くはローンを組む際に、団信への加入を義務づけています。がん・脳卒中・急性心筋梗塞の3大疾病をはじめ、さらに幅広い8大疾病、また介護や女性の病気に手厚い保障がついたプランなど、保障内容や条件は金融機関や加入プランによってさまざまです。

そのため、できるだけ手厚い保障内容の団信を取り扱う金融機関をリサーチして探しておいたほうがいいでしょう。各社のホームページでチェックして、最終的に窓口で詳細を確認してください。

また、こちらの保険料も各金融機関により異なります。たとえばがん保険をつけたいとき、金利に0.2%プラスのところもあれば、ネット系の銀行だと0.1%プラスでOKなど。保険料と保障内容を照らし合わせ、総合的に判断してください。

火災保険

新耐震基準の物件や、耐震等級を取得している物件、住宅性能評価を取得している物件等は、保険料が安くなることがあります。購入される物件が火災保険の減額対象になるか、不動産会社に確かめてみてください。

なお、保険会社についても、3~4軒ほど見積りを取り、比較検討するのがおすすめです。

減税制度

金銭的に大きな負担となる住宅購入時の費用を軽減するために、国や自治体ではさまざまな減税措置や補助金制度を設けています。ぜひ有効に活用していただきたいです。

税金を軽減することができるものの代表例を下記にまとめます。

印紙税
印紙税は、紙の契約書を発行する場合にかかってきます。近年は電子取引が進んでおり、金融機関からお金を借りる際の契約書、不動産を売買する際の売買契約書も電子契約で可能なことが増えてきました。とはいえ高額な取引になるため対面を希望される方が多く、電子契約を選ぶ方は少ないのが現状ですが、電子契約で締結をすると印紙税はかかりません。

住宅ローン控除
個人が住宅ローンを利用して住宅を購入する際、一定要件のもと、所得税から控除が受けられる制度です。ただし、適用条件が定められていますので、国土交通省のホームページ等を参考の上、適用条件を満たしている物件か確認してください。適用条件については、最近改訂が続いており、年々変わっています。購入時の最新の情報を取得するようにしてください。

他にも、一定の条件を満たした中古マンションの場合、登録免許税や不動産取得税に関しても軽減措置が受けられます。いずれも利用する際には、床面積や住宅性能証明などの適用条件を満たす必要があるため、国土交通省のホームページ等を参考に確認してください。


国土交通省 
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/zeisei_index2.html

Information

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<教えてくれた人>
石岡茜さん。2013年に「女性のための不動産会社を作りたい」と、東京・学芸大学に「ことり不動産」を設立。女性ならではの細やかな視点と「幸せな家選び」をモットーに、物件選びをサポートしている。宅地建物取引士。著書に『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)がある。
https://www.cotorire.com/

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取材、文・高倉優子


©Tanok911/Getty Images