寝苦しい夜の対策法…熱帯夜から解放される快眠方法まとめ

まとめ構成・小田原みみ — 2020.8.10
「暑すぎて眠れない」誰もが一度は夏の寝苦しさを体験したことがあるのではないでしょうか? ただでさえ、暑さで体力低下中なのに、そこへ睡眠不足もプラスされると夏バテや熱中症の原因になってしまうことも。そんな夏の夜に快適な睡眠を導く方法をまとめました。

質の良い眠りを導く4つのコツ

睡眠コンサルタントの友野なおさんにお話を聞きました。

「四季のはっきりした日本では、季節ごとに適切な寝具を選ぶことが快眠の鍵。高温多湿の夏は、熱や湿気を逃がしてくれる肌触りのさらっとした素材を選ぶだけでも、カラダの休まり方が違いますよ」

快眠のポイントは、意外なところにも。それは、寝返り。

「寝返りは質のいい睡眠を担保するために必要なものですが、寝入りばなに大きい寝返りを何度も打つと質が落ちてしまうんです。特に、夏は背中が蒸れて、その湿度は80%以上になるという指摘もあり、寝苦しさを軽減しようと不要な寝返りが増えやすい。シーツを涼やかな麻素材に替えたり、冷感マットを加えるなど、背中の蒸れを軽減させる工夫が大切です」

ここでは、快眠のためにおさえておきたい4つのポイントをご紹介します!

湿度・温度

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正しい室温は“布団の中”から逆算。冷房を正しく使ってコントロールしよう。
個人差はあれど、室温28℃を超えると人は寝苦しく感じる。「基本的に冷房は26~27℃に。湿度は50~60%が理想的。夏は基本的に一晩中エアコンをつけっぱなしにしてOK。機種によって体感が違うので、ベッドまわりに温湿度計を置くといいですね」。人体と寝具の間の空間=寝床内環境に気を配り、温度33±℃、湿度50±5%を一年中キープ。「そのためにも、寝具の衣替えは必要です」

友野なおさん 睡眠コンサルタント。日本睡眠学会正会員、日本睡眠環境学会正会員。“睡眠から日本を元気に!”をテーマに、快眠グッズや空間プロデュースなどを手掛ける。著書に『正しい眠り方』(WAVE出版)など。

『anan』2018年8月29日号より。イラスト・別府麻衣 取材、文・小泉咲子

※2018.8.26作成

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快眠を導く夏の入浴方法

深部体温を下げて、眠りやすくなる

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私たちは、寝る前に内臓などの深部体温が下がり、就寝後さらに体温が下がる仕組みが既に備わっていますが、夜湯船に浸かったほうが深部体温が下がりやすくなるので、眠りやすくなります。

株式会社バスクリンの2010年の研究で、入浴剤を使用し40℃10分間の入浴(以下、入浴グループ)とシャワー浴(以下、シャワー浴グループ)を比較したところ、入浴グループは約-0.6度、シャワー浴は約-0.4度低下したという結果が得られています。つまり、シャワー浴より、お風呂に浸かったほうが、深部体温が低下するということです。

これは、お風呂で表面温度がしっかり上がり、表面血流が促進され、血管が拡張することで、内側の熱い血液が放熱しやすくなるためです。そのため、お風呂に浸かったほうが体の熱を下げ、眠りやすい体勢に整えてくれるのです。

お風呂に入ったほうが、夏の中途覚醒を防げる

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アメリカのスタンフォード大学の研究で、「内臓などの深部体温が急激に低下する時に睡眠を開始すると、より長時間の睡眠がとれる」ことがわかっています。先述の通り、お風呂に入ることで入らないときよりも深部体温が下がりやすくなるので、シャワー浴よりも湯船に入って体を温めたほうが良いと言えます。

もしあなたが、睡眠中に目覚めてしまうならば、湯船に浸かることは必須! 特に女性は月経前の高温期には寝る前に体温が下がりにくく、中途覚醒の頻度が高くなるので、該当する方は、夏でもお風呂に浸かりましょう。

参考文献:Czeisler CA. Human circadian physiology: Internal Organization of Temperature, Sleep- Wake and Neuroendocrine Rhythms Monitored in an Environment Free of Time Cues. Ph.D. Dissertation, Stanford University, 1978.

眠りとお風呂の専門家・小林麻利子さん

生活習慣改善サロンFlura主催。ナイトケアアドバイザー。睡眠改善インストラクター。最新研究を元に睡眠や入浴等の生活習慣指導を行う。予約1年待ちの人気。

著書『あきらめていた「体質」が極上の体に変わる』(ダイヤモンド社)
こちらから!
https://www.amazon.co.jp/dp/4478105081

文・小林麻利子

※2017.7.24作成

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不眠を改善するツボマッサージ

“熟睡”は夏バテの特効薬といえるほど、ダメージを受けた体をラクにする効果が。ベッドに入る前にツボを押して、眠りを誘発しよう。マッサージをする際は、手の滑りをよくするためにオイルやクリームをつけてからはじめよう。

教えてくれたのは、鍼灸あんま指圧マッサージ師の神崎貴子先生です。

1.両手の親指を重ねて「失眠(しつみん)」(※1)におき、残りの指で足の甲を支える。やや強めの圧で、ツボを5秒間押す。

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2.1と同じように親指を重ねて「湧泉(ゆうせん)」(※2)におく。手のひら全体で挟むようにして足を持ち、親指に力を入れて5秒間刺激する。

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※1 足の裏側、かかとの中央にあるツボ。“失った眠りを取り戻す”という名前の通り、不眠の改善に有効。下半身の冷えにも効果が。

※2 足の指をグーにした時にできる、くぼみの中央にあるツボ。“命の泉が湧くツボ”として疲労回復に効く。安眠をもたらす効果も。

神崎貴子先生 鍼灸あんま指圧マッサージ師、(特非)日本スポーツアロマトレーナー協会副理事長。「さくら治療院」の院長を務める。ツボに関する著書やメディア出演も多数。

『anan』2018年8月29日号より。写真・中島慶子 モデル・野口絵里弥(SATORU JAPAN) 取材、文・黒澤祐美

※2018.8.22作成

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一日の疲れは翌日に持ち越さず、その日のうちに解消したいもの。寝苦しさに負けず、質のいい睡眠をとって、暑い夏を乗り越えましょう!