鈴木えみ「子どもが自分の身を守るために必要な教育」 性教育の重要性を語る

2024.10.13
凛とした美しさで多くの人を惹きつけてやまないモデル・鈴木えみさんが、いまアクティブに発信しているのは、性教育の重要性。正しい情報を届けたい、そう思うようになったきっかけや、anan世代にとっての向き合い方などを伺いました。

娘を守るためにはじめた幼いうちからの性教育。

鈴木えみ タレント モデル 性教育

10代の頃からモデルとしてカリスマ的人気を誇り、その美貌と圧倒的な存在感で多くの人を魅了し続ける鈴木えみさん。プライベートでは2013年に結婚し、現在11歳の娘を育てる母親に。そんな彼女が関心を寄せているのは、未来を担う子どもたちとその親への“性教育”。親子で学べる性教育イベント「Family Heart Talks~幼少期からの『いのちの授業』」の発起人となり、各地で開催されるイベントに登壇。正しい知識を広めるため積極的に活動している。

「性教育について発信しようとしたきっかけは、私自身の幼少期の性被害経験にあります。小学生の時に何度か嫌な思いをしたことがあったのですが、当時はまだ子どもだったので、自分がどういうことに遭っているかがよくわからなかったんです。誰にも話せないまま、大人になった時に『ああいうことだったんだ』とようやく気づいて。PTSDとまではいかないものの、自分にとって記憶に残るほどショッキングな出来事だったのは確か。その後、私自身も子育てをするなかで、『彼女が同じ思いをしなくていいように』と、娘が幼稚園に通っている頃に性教育をはじめました」

読者の中には、「幼児に性教育は早すぎるのでは?」と思う人もいるかもしれない。けれど、「早めの性教育こそ大切なんです」と鈴木さんは言う。

「性教育といってもいきなり生殖の仕組みや避妊の方法を教えるわけではありません。私の場合は、性教育をテーマにした絵本を読み聞かせることからはじめたのですが、例えば、『自分の気持ちも相手の気持ちも大切にしよう』『イヤな時は“イヤ”と言っていいよ』と伝えられるようになるのも、子どもが自分の身を守るために必要な教育だと思っていて。それにいくら子どもといえども、2~3歳にもなれば、自分の性器の存在には気づきます。それを『触っちゃダメ!』『その話はしない!』と頭ごなしに否定するのではなく、例えば『あなただけが触っていい、清潔にしないといけない場所だよ』と教えるだけで、自分の体に対する受け止め方も変わってくるはず。大切なのは、性にまつわる話を幼いうちから親子間でタブーにしないこと。普段からの自然なコミュニケーションの積み重ねが、自分と他人を尊重する性教育の第一歩になると思っています」

時代の変化に伴って性意識もアップデートを。

親子向け性教育イベント「いのちの授業」では、鈴木さんがナビゲーター役となり、助産師や産婦人科医など、毎回さまざまな専門家をゲストに迎えて対談形式でトークを進めていく。

「プライベートゾーンや性的同意、実際に性被害に遭ったらどうするかなど、テーマは多岐にわたります。ただでさえデリケートな内容なので、言い回しには特に気をつけていて、伝えたい内容に漏れがないように、事前に自分で書いた台本をイベントごとに用意しています。参加してくださった親御さんから多く聞かれるのは、やっぱり『どう教えていいかわからない』というお悩み。私自身も昭和生まれなのでよくわかるのですが、自分がきちんと学校で性教育を受けてこなかったので、いざ子どもに切り出す時にどうしていいかわからない、という人が多い印象です。そういう方のためにも、このイベントが親子の会話が生まれるきっかけになればいいなと願っています」

性教育は、子どもを持つ親にとっては避けて通れないトピックの一つだけれど、“自分や他者を大切にするために必要な教育”という意味で、すべての大人に学ぶ価値があるはず。

「例えば、ひと昔前の日本には“イヤよイヤよも好きのうち”という感覚があって、束縛を愛情表現と捉えたり、いわゆる“壁ドン”や“顎クイ”のような、急なスキンシップが良しとされてきました。けれど、今は人権への意識も高まって、法的にも同意が必要になったり、時代も変化しているので、感覚は常にアップデートしていかないといけないと思います。私自身も『いのちの授業』の活動を通して毎回たくさんの学びがありますし、今まで性教育を“なんとなく”しか学んでこなかった大人にこそ、興味を持っていただきたいです」

教育に熱心な一部の大人だけでなく、すべての人が正しい知識を身につけることが、子どもを性犯罪や性被害から守ることにつながる、と鈴木さん。性教育を広めるための活動について、これから叶えたいこととは?

「今後は地方での活動や、企業、保育園などでもイベントを予定しています。それから性教育のきっかけになるようなグッズも制作したいなと考えていて。例えば0歳から月齢に応じて、定期的にグッズが届いたら自然な流れで性について学ぶことができるだろうな、と思うんです。あとは、学校の先生に向けた性教育の教材を作ったり、学生さんのチームを作っていろんな場所で特別授業をしてもらうことなども考えています。実現したいことは山ほどあるので、少しでも効果的な方法をこれからも探っていきたいです」

すずき・えみ 1985年9月13日生まれ、京都府出身。モデル、クリエイター。数々のファッション誌で活躍。2017年には自身のブランド『Lautashi』を立ち上げ、抜群のセンスと感度の高さで幅広い世代から支持を集める。

シアートップス¥60,500(メトロピエール) ネックレス¥36,300(ガルブ) 共にカーブストア TEL:03・4363・8569 2ウェイパンツ¥25,300(ダン https://dawn1821.theshop.jp/) トゥシューズ¥75,900(トーガ プルラ/TOGA 原宿店 TEL:03・6419・8136) その他はスタイリスト私物

Family Heart Talks~幼少期からの「いのちの授業」
親子で楽しく学ぶ! 新感覚の性教育イベント。

鈴木えみ タレント モデル 性教育

2024年1月に始動した鈴木さんが発起人のプロジェクト。保護者向けと、親子で参加できる講演会の二部制になっており、保護者向けの講演中には子どもたちを集めたワークショップも開催される。Instagram:family_heart_talks

※『anan』2024年10月16日号より。写真・Nae.Jay スタイリスト・二宮ちえ ヘア&メイク・小澤麻衣(mod’s hair) 取材、文・瀬尾麻美

(by anan編集部)