メンズメイクの動画が話題に! 美男子ヤノ「もっと美容に興味を持つメンズが増えたら嬉しい」
美容好き男子が情報交換できる場所を作りたい。
メンズメイクの動画を発信したTikTokが話題となり、Z世代を中心とした美容好きの間で注目度大。“美男子ヤノ”と名乗る彼は、一体ナニモノ…? 実は、雑誌の取材を受けるのは初めてだそうで、撮影日はやや緊張した様子でスタジオ入りしたヤノさん。カメラの前に立つと「ポージングを教えてください」と初々しい姿を見せつつも、ご覧の通りセルフプロデュースは完璧で、モニターに映る自身の画像を見ては「盛れてる!」と満足げ。
「普段は美容系の会社で、コスメのバイヤーをしています。美容に興味を持ち始めたのは、小学生の頃。アイドルグループの嵐に憧れたり、ドラマ『ごくせん』に出てくる俳優たちを真似して、お父さんのジェルやワックスを使って髪を七三分けにして登校していました。スーパーサイヤ人みたいな髪型にして学校に行った時は、好きな子から『ヤノくんの寝癖やばい』って笑われたことも(笑)。周りにはそんなふうに髪型にこだわる同級生は一人もいなかったけど、僕はそれがカッコいいと思っていたんです」
子供の頃から「マセていた」というヤノさんは、中学生になると薄い自眉を補うために、眉メイクを始めるようになった。
「高校時代からは日焼け止め下地を毎日欠かさず塗るようになって、学校にバレない程度にアイライナーで涙袋を描き始めました。ファンデーションやリップを塗ったり、カラーメイクを始めたのは大学生から。地元は埼玉県なんですが、その頃、川口にある『アインズ&トルペ』のコスメ売り場によく通っていました。メンズがそこにいるのは珍しかったから、周りから変な目で見られていたと思います。それが嫌だったし、僕みたいなメイク好き男子たちが、そういう目で見られずにコスメに触れられたり、メイクについて話し合えるコミュニティはまだまだないんだと思って、少し悲しかったですね」
転機が訪れたのは、大学3年生の時。世の中はコロナ禍だった。
「ちょうど就活の時期でした。それまでは毎日、友達と遊んでばかりいたのですが、外に出られなくなり、自分は何がしたいんだろうと考えるようになりました。もちろん美容全般が好きだったけど、その中でも特にメイクが好きだと再認識したのもこの時期。メイクによって見た目が変わると、周りの反応や扱いまでもが変わるのを実感していたし、僕自身も鏡を見るたびにモチベーションが上がっていたんですよね。さらに、自分の好きなことでしか頑張れない性格だというのもあり、美容系の会社に就職しようと決めて、メイクブランドのSNSの運用を代行する会社にインターンで入ったんです。そこで得た知識などから、“就活メイク”の動画をTikTokに上げてみたら結構話題になって。同世代の男子から『参考になります!』って言われて嬉しかったですね。もっと美容に興味を持つメンズが増えたら嬉しいと思ったし、本当は、メンズ美容の店やコミュニティをすぐにでも作りたかったですけど、経験も資本もない。それで、今日からすぐに始められる美容情報の発信をSNSでするようになりました」
ヤノさんにとって、メイクとは“自分を好きになる手段”。
「社会人になった今もそうですが、例えば仕事がうまくいかなかった時でも、自分の顔を鏡で見た時に“盛れてる”とか“カッコいい”と思えれば立ち上がれるし、そんな自分を好きになれる。この時代、自己肯定感を上げて生きていくことはすごく大事だと思うんですが、僕の場合はそれが美容なんです。仕上がりだけじゃなくて、その日によってメイクの色や見せ方を変えたりしながら、毎日違うパフォーマンスを楽しめる。すっぴんの状態からカッコよくなっていく過程も楽しいんですよね。そんな様子を発信していたら、自分自身も周りの人も、僕のことを好きになってくれて…。一体メイクって、一石何鳥? って感じ(笑)」
流行や気分によってメイクテーマを変えているそうで、最近のテーマは“セクシー”。
「最近好きな韓国アイドルはみんなセクシーに見えるからなんです。メイクでは、描きぼくろとリップに力を入れています。そしてセクシーに見せるためにはいろんな要素が必要だと思うので、最近は筋トレを始めたりもしています。新卒で社会人になって3年目ですが、一般的に見たらまだまだフレッシュな年齢。同世代はみんな黒髪でスーツを着ているけど、その中で僕は自分磨きをしながらメイクをして、自分なりにひと足先にセクシーでいたい。それは自分自身のためであり、それに、やっぱりモテたいですから(笑)」
この日のセルフメイクについて聞くと、バッグからコスメポーチを出し、次々とお気に入りのアイテムを見せてくれた。
「ベースとファンデーションで肌を作り、眉は形を整えた後マスカラで。アイシャドウはベージュピンクが好き。目がふっくらして見えるのと、下瞼の目頭にピンクを差すことで血色感が出てヘルシーに見えるんです。唇にツヤをのせて、目の下にほくろを描いたら、カラコンをしてできあがり。夢は、メンズのメイクアイテムやカラーをたくさん揃えたコスメのセレクトショップを持つこと。メイク好き男子が気軽にコスメに触れることができて、美容の情報交換ができるコミュニティを作りたい」
My Rule & Style
セクシーさを象徴するリップは毎日最低5本を持ち歩く。
リップケアは、ツヤ重視の「ファチュイテ ブライテスト リップエッセンス」、高い保湿力と自然なツヤが出る「ラネージュ リップグロウィバーム」のブルーベリーがメイン。その上から重ねるのは、最近お気に入りの「ジバンシイルージュ・アンテルディ・サテン111」ほかルージュやグロス。青みのあるピンクや赤が多いです。
ベース作りは毛穴対策を重視し成分にもこだわってチョイス。
下地は「ジバンシイ プリズム・リーブル・スキンケアリング・コレクター」のブルー。目の下や頬骨、口角の下、鼻の頭など高く見せたい場所、くすみを飛ばしたい場所に。ファンデは「ローラ メルシエ リアル フローレス ウェイトレスパーフェクティング ファンデーション」が優秀。美容成分が多く肌があれにくくなりました。
“美男子ヤノ”の代名詞、泣きぼくろは毎日描く。
もともと同じ場所にほくろがあって気に入っているんですが、ファンデを塗ると隠れちゃう。だから「AND SPACE ほくろメイク ポイントリキッドA」で毎日描いています。これが僕のメイクのポイント。SNSのフォロワーさんからも「セクシーですね」と褒められるので嬉しいです。セクシーさをアピールするのにおすすめですよ!
BIDANSHI YANO 美容系企業に勤めるコスメのバイヤー。初めは「美容男子ヤノ」と名乗っていたが、“ケアを怠らない肌の綺麗な男子”と“美容男子”の意味を兼ねて「美男子ヤノ」に。TikTokは@beauty_yano YouTubeは@bidanshiyano
※『anan』2024年9月25日号より。写真・Nae.Jay 取材、文・若山あや
(by anan編集部)