バスケットボール・町田瑠唯「もっと女子バスケが広がってくれたらうれしいです」

エンタメ
2024.06.22
華麗なパスで敵を翻弄し、味方を生かすアシストで会場を沸かせる。WNBA挑戦やWリーグでの優勝を経て、見据えるはパリ五輪。ますます目が離せないポイントガードへと成長した、町田瑠唯選手に迫ります。

町田瑠唯(バスケットボール/富士通レッドウェーブ)

町田瑠唯

“パスの名手”と呼ばれる町田瑠唯選手がWリーグの富士通レッドウェーブに入団したのが高校卒業後の2011年。それから13年が経ち、4度目のファイナル進出の末、16年ぶりのリーグ制覇へとたどりついた。町田選手にとっては初優勝。得意のスピード感あふれるゲームメイクで仲間を生かし、要所で得点を重ねてチームを牽引。ベスト5とアシスト王を受賞し、悲願達成にうれし涙を流した。

優勝までの道のりには危機もあった。年末の皇后杯では町田選手が負傷するアクシデント。その苦境を乗り越えたのは、バックアップ選手の成長があってこそ。プレーオフでは敗れた試合があっても「オーバーコミュニケーション」の合言葉のもと、一つずつ課題をクリアし、強固なチームディフェンスで最後まで粘り切った。

「今シーズンは、試合に出ているメンバーはもちろん、控えの選手たちも自分が何をすれば貢献できるかを考えてプレーできるチームに成長しました。自分が怪我で離脱していた時に頑張っていた選手たちを見てきたからなのか、その選手たちのためにも優勝したい気持ちが強くて、それがいいプレーとして出たのだと思います」

いつでも周囲のことを気遣う町田選手らしい優勝の感想だ。

3年前の東京五輪では銀メダル獲得の立役者となり、準決勝のフランス戦では18アシストを決めて、1試合最多アシストのオリンピックレコードを更新。町田瑠唯の名は、バスケを知らない人たちにも知れ渡り、女子バスケ人気に火がついた。

「街やお店などで『町田選手ですか?』と声をかけられることが多くなってうれしい半面、いまだに恥ずかしくて慣れないですね。でも自分のことが入り口でもいいから、そこからバスケを観て“推し”を作ってもらい、もっと女子バスケが広がってくれたらうれしいです」と、はにかんでみせる。

東京五輪での活躍は、世界最高峰リーグWNBAのワシントン・ミスティックス入団へとつながる快挙となった。町田選手の人生はチャレンジの連続だ。

「まさかWNBAからオファーが来るとは思っていなかったし、英語が得意じゃないから、もしオファーが来ても断るだろうと思っていたんです。でも、いざオファーをもらうと、ワクワクしてチャレンジしたい気持ちになりました」

と挑戦を決め、1シーズンをやり切った今では、「もう一回、行きたい気持ちはすごくあります」と胸中を明かす。

「1年目はアメリカのバスケのリズムや環境に慣れなかったけど、2年目ならもう少し余裕をもって自分のプレーにフォーカスできると思います。1年で終わるのは、ちょっともったいないかな」

気がつけば31歳――。富士通でのWリーグ連覇やWNBA再挑戦など、やりたいことはたくさんあるが、いま目の前にあるのはパリ五輪のメンバー選考。東京五輪後はWNBA参戦や負傷もあって、日本代表の活動から離れていたが、「パリを目指します」と覚悟は決まっている。富士通を16年ぶりの優勝に導いたように、やるべきことは同じ。スピードある展開で走り、得意のパスでチームメイトを生かすことだ。

「自分のプレースタイルは変わらないし変えたくない。日本代表でも自分らしさを出し、必要としてもらえる選手になります」

まちだ・るい 1993年3月8日生まれ、北海道出身。身長162cm。ポイントガード。Wリーグ富士通レッドウェーブ所属。2014年に日本代表入りし、’15、’17、’19年のアジアカップでは優勝に貢献。五輪は’16年リオ、’21年東京に出場。リオではベスト8、東京では銀メダルを獲得し、オールスター5選出。スピードとキラーパスを武器に、日本を代表する司令塔として活躍中。

※『anan』2024年6月26日号より。写真・Nae.Jay スタイリスト・岡本さなみ ヘア&メイク・大西あけみ 取材、文・小永吉陽子

(by anan編集部)

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