受け止め方を変えれば心に余裕が生まれる!?
会話が噛み合わなかったり、何気ない発言に傷ついたりすると、この人とは「気が合わない」と感じて、距離を置きがち。
「こういった人間関係の悩みのほとんどの原因がコミュニケーションギャップによるもの。自分と相手の感覚が同じとはかぎりません。性格や価値観、世代の違いなどにより齟齬が生じることもあるし、同じ言葉でも人によっては感じ方や受け取り方が異なるということを、まず認識することが大切です」
と話すのは、16年間でのべ12万人のデータを解析し、性格統計学を基にしたコミュニケーション法を体系化した稲場真由美さん。稲場さんによれば、性格は4つのタイプに分類される。そして、自分のタイプを知り、言葉の受け止め方を変えれば、人間関係のストレスは激減する。
「自分の性格や、どんな言動にストレスを感じやすいのか傾向を理解して、受け止め方を変えれば、嫌な思いをすることが少なくなり、心が楽になります」
そこでまずは下のテストで自分の性格タイプをチェック。
稲場さんによると性格タイプは大まかに4つに分類される。タイプによって2コマ目の心の声もこんなに違ってくる。
テスト
下の2つの質問の答えを表に当てはめて、自分のタイプを導き出して。
Q1. 朝に「晩ごはんはカレーだよ」と聞いていましたが、帰ってみるとメニューがハンバーグに変更されていました。あなたはどう感じますか?
【A】「あれ、カレーじゃなかったの」とちょっとがっかり
【B】「ハンバーグになったんだ。ふーん」とあまり気にしない
Q2. 友達とレストランに来ました。あなたはもう食べたいものは決まっていましたが、そのレストランには「2人で同じメニューを頼まなければならない」という変わったルールがありました。あなたはどうしますか?
【a】相手が食べたいものを聞いて合わせる
【b】自分が食べたいものを伝えて相談する
Q1【A】Q2【a】…ピース・プランニング
Q1【A】Q2【b】…ロジカル
Q1【B】Q2【a】…ピース・フレキシブル
Q1【B】Q2【b】…ビジョン
診断結果
ピース・プランニング
人を思いやりながら、自ら計画して進めるのが得意。
【性格】責任感が強く、誠実な人。計画性と粘り強さが持ち味。
人に喜ばれるなど、誰かの役に立つことで自分の存在意義を見出し、自己肯定感が高まっていくタイプ。責任感が強く基本的には他人軸。また、何かを始める際は、期限とゴールだけでなく、背景や経緯を把握して、目標と計画に沿って進めることが得意。本質を追求する姿勢を大事にし、どんなことにも筋を通したいと思う頑固さがあり、「なぜ?」「何のために」など理由や意義を問う質問が多い。人の話も経緯を最初から知りたいという思いが強い。
【ストレスに感じること】あいまいな指示を受けると、意図が汲み取れず、動けない。
責任感が強く、任されたことはしっかりやり遂げたいという思いが強いため、「とりあえずやっておいて」や「任せたよ」など、丸投げの指示を受けるとストレスに。周りに気を遣いすぎて本音を言えず、ひとりでため込んでしまうことも。相手軸ではあるが、融通が利かない頑固な一面があり、筋の通らない話や、理由や経緯がわからない話はストレス。「なぜ?」と尋ねたのに「決まってるから」など、答えてもらえず不満を感じることもしばしば。
ロジカル
自分のペースを守り、納得することが何よりも大事!
【性格】目的を明確にして、しっかりと計画のうえ実行に移すタイプ。
自分自身の納得を何よりも重視するタイプ。全体像を理解し、ゴールと期限を明確にして計画的に進みたい性格で、あいまいな指示では動けない。シミュレーションを行い、「できる」と判断できれば、確実に実行に移していくしっかり者でもある。ルーティンワークなど、自分のペース、タイミングで物事をきっちり進めるのが得意。話は結論から聞きたい。自分の努力や成果に対して、具体的に褒めてもらえるとうれしい。
【ストレスに感じること】自分の計画を乱されたり、無駄に感じることを嫌う。
自分のペースを大切にする性格ゆえ、急な予定変更や、計画性のない行動、「適当にやっておいて」などといったざっくりとした指示が大の苦手。「今ちょっといい?」と言われるのもストレスに。効率重視というわけではないが、時間、お金、労力などのあらゆる無駄を嫌う傾向が。感情的な言動、適当な発言、要領を得ない会話、結論の見えない長い話はタブー。急かされたり、無駄に自分の時間を削られるとイライラしやすくなる。
ピース・フレキシブル
臨機応変に、相手の気持ちを察して動くことが得意。
【性格】「ありがとう」の言葉が原動力。急な変更ごとにも柔軟に対応。
「ピース・プランニング」同様、人に喜ばれたり、人の役に立つことを好み、「ありがとう」の言葉がやる気の原動力に。相手の意見を優先したり、その場の状況に合わせてフレキシブルに物事を進めていくのが得意なので、潤滑油的な役割も多い。目立ちたくないけど、忘れられたくない。癒し系の愛されキャラで、話しやすい安心感を与える半面、言葉や表情から相手の気持ちを必要以上に感じ取るため、気を遣いすぎて疲れきってしまうことも。
【ストレスに感じること】人前で意見を求められたり、何かを選ばされるのが苦手。
ひとりで黙々と決められたことをこなすようなルーティンワークは不得手。「みんなで共に進めたい」という思いが強いため、人に迷惑をかける言動、悪口や言い争いを聞くと大きなストレスに。人前で自分の意見を言うことに抵抗があるため、会議などで「○○さんはどう思う?」「どっちかいいか決めて!」と判断を迫られるのも極度のストレス。また、一生懸命に取り組んだのに、「ありがとう」の言葉がないと、相手への信頼度が下がる傾向が。
ビジョン
変化、混乱に強く、思うがまま行動に移せる自由人。
【性格】自分のひらめきや感性を大切にする天才肌タイプ。
直感的なひらめきをもとに、頭の中であれこれ思い描きながら話したり、自ら判断してアクションを起こせる未来志向型の感覚派。一を聞いて十を察する勘の良さがあり、誰の指示を受けずとも可能性があるものに関してとことん追求。予定は変わるものと思っている傾向が強く、完璧な計画にこだわらず、実際に手を動かしながら目標以上の成果を出せる帳尻合わせの天才。影響力のあることや人を好み、オーバーに褒められるとヤル気が出るタイプ。
【ストレスに感じること】束縛を嫌い、あれこれと細かく聞かれるのが苦手。
ピンときたら動いてみる感覚派のため、理由を聞かれることが大の苦手。「なぜ、これを選んだの?」と聞かれると否定されたと感じる傾向が。褒められ、任されることで伸びるため、細かい指示や、褒めずにダメ出しされるのもストレス。気が利かない人や、リアクションが薄い人に苦手意識を感じやすい。また話が飛びやすく、展開が早いため、主語を省略する傾向がある。「今、何の話?」と相手からいちいち指摘されることもストレスに。
稲場真由美さん 人間関係研究家。性格統計学の実践支援アプリ「伝え方ラボ」を開発し、個人や法人に対して研修やコンサルティングを行う。著書に『性格が合わないんじゃなくて話がかみ合っていないから』(WAVE出版)など。
※『anan』2024年3月6日号より。イラスト・ながしまひろみ 取材、文・鈴木恵美
(by anan編集部)