趣里「『ブギウギ』には、朝ドラヒロインらしさが詰まっています」

エンタメ
2023.09.30
新作の制作が発表されるたびに、主演が誰なのか、大きな話題を集める朝ドラ。10月2日スタートの『ブギウギ』で、ヒロインを演じるのは趣里さん。
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「決まった時の反応は、『まさか、そんなはずはない』と、一回携帯を置きました(笑)。だんだんと実感が湧いてくると、嬉しさと同時に身が引き締まる思いでした。『朝ドラのヒロインは大変』と聞いてましたけど、実際その通りです(笑)。でも、各部署のスタッフのみなさんも大変なのに、『やってやろう!』という心意気がすごく伝わってきて。これは、朝ドラの現場が代々受け継いできた伝統だと思うんです。そうしたみんなの熱い想いで作られてきたからこそ、長く愛されてきたのかなって」

ヒロイン・花田鈴子のモデルは、日本芸能史に燦然と輝く大スター・笠置(かさぎ)シヅ子さん。スタンドマイクの前に立ち、体を動かさずにバラードを歌うことが当たり前だった時代に、笠置さんは躍動的に踊りながら歌うスタイルで一世を風靡した。その人を演じるということは、芝居に加え、歌や踊りも避けられない。本格的にバレエを習っていた趣里さんに、ダンスの素地はあるけれど、歌は…?

「素晴らしい歌手を演じさせていただくので『頑張らないと』というのは、最初から思っていました。ボイトレの先生とは二人三脚で、普段の呼吸法からレッスンしていただき、だんだんと歌うことが楽しくなってきたところです」

“ブギの女王”と称され、ステージで太陽のように光り輝いていた笠置さん。しかし、革新的な衣装やメイク、パフォーマンスは、ついこの前まで敵国だったアメリカ的だと批判を浴びてしまう。

「ちょうど、その頃のシーンを今撮影しているんですけど、『舞台メイクが派手だ』『外国人みたいだ』って、ものすごく言われるんです。そこで、だいたいの人は負けそうになっちゃいますよね。でも笠置さんは、自分のスタイルを貫き、歌うんです。懸命に届けた歌でお客さんに喜んでもらうことが、ご自身の喜びになっていたのだと思います。私のお芝居も、誰かのためになっていたらいいなって」

鈴子はプライベートも、波瀾万丈な人生を送ることに。

「本当に大変なことがたくさん起こるんです。それでも、乗り越えて乗り越えて、前を向き、明るく生きていく。そんな笠置さんを描く『ブギウギ』には、朝ドラヒロインらしさが詰まっています」

笠置さんが世間からのバッシングや試練を乗り越えられた理由について、趣里さんは鈴子を演じながら感じることがあるそう。

「きっと音楽という確かな軸があったから頑張れたんだと、撮影をしながら感じます。笠置さんにとってすべての原点が音楽。音楽を愛し、愛された人なんです」

歴代の朝ドラで、趣里さんが惹かれたのは『おしん』だそう。

「前のマネージャーさんがすごくハマっていて、私も再放送を見たら、おしんも本当につらいことの連続で…。『つらいねぇ』と言い合いながら見ていたんですが(笑)、おしんを演じた田中裕子さんの声はとても儚いのに、貧しいながらも生きるエネルギーみたいなものが感じられて、引き込まれました」

60年以上も続く朝ドラ。新たに始まる『ブギウギ』でヒロインを演じる趣里さんが、愛してやまないタイムレスカルチャーとは?

「ビートルズです。私は15歳でイギリスにバレエ留学をしたんですが、その少し前にイギリス人の先生が弾き語りしてくれた『Let It Be』にすごく感動して! イギリスには、iPodにビートルズの曲だけを入れて持っていき、癒されていました。今聴くと、あの頃の情景がぶわっと思い出されます。バンドをやっていた伯父もビートルズ好きで、いろいろ教えてもらったり、日本のアーティストでもバンドに興味を持つきっかけになったり、ビートルズは、私にとって音楽の原点です」

朝ドラ

昭和、平成、令和と時を超えて愛される日本の朝の定番。
「連続テレビ小説(通称:朝ドラ)」の放送がNHKで始まったのは1961年。古くからそのほとんどが女性の一代記を描き、懸命に生きる姿は人々を元気づけ、昭和、平成、令和と時代を超え、“朝の定番”として、日本中から愛されてきた。旬のキャストや話題の脚本家などを積極的に起用し、放送開始から60年以上が経った今も多くの注目を集めている。近年は再放送や「NHKプラス」での見逃し配信など、“朝の時間”以外にも視聴する方法が増えたことで、若い世代を中心に、新たな視聴者層を獲得している。

しゅり 1990年9月21日生まれ、東京都出身。NHK連続テレビ小説は2016年の『とと姉ちゃん』に出演。’19年、映画『生きてるだけで、愛。』で第42回日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。主演ドラマ『東京貧困女子。―貧困なんて他人事だと思ってた―』(WOWOWプライムほか)が11月17日スタート。

シャツ¥69,300(3.1 フィリップ リム/3.1 フィリップ リム ジャパン customercare@31philliplimjapan.com) イヤリング¥2,468,400(ヴァン クリーフ&アーペル/ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク TEL:0120・10・1906) その他はスタイリスト私物

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連続テレビ小説『ブギウギ』
歌や踊りが大好きだった鈴子(趣里)が、やがて戦後日本を明るく照らすスターとなる。趣里さんが主題歌「ハッピー☆ブギ」を歌うことも話題に。10月2日より毎週月~土曜8:00からNHK総合にて、BSプレミアムとBS4Kは毎週月~金曜7:30から放送。その他、再放送あり。©NHK

※『anan』2023年10月4日号より。写真・川原崎宣喜 スタイリスト・中井綾子 ヘア&メイク・伴まどか 取材、文・小泉咲子

(by anan編集部)

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