フードライター・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回は、『Ukiyo』の季節のコースです。
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トンネルのようなアーチ型の天井に、絨毯敷きの空間。足を踏み入れるとほんのり現実から遠ざかっていくような空気感を放つレストラン。『Ukiyo』の魅力をこのささやかな枠内で語り切れるのか……と書いている時点で文字数を浪費してしまっているのだが、そう恐れてしまうほどに定型に収まらない魅力を放っている。7月に代々木上原に誕生した一軒で、目黒『Kabi』と姉妹店の兜町『caveman』から独立したチームが作り出す食体験。となると『Kabi』らしいニューノルディックのエッセンスと和食らしさが混在する料理を継承したスタイルを想起するが、『Ukiyo』の実像は異なる。

世界各国で経験を積んだシェフ・新井俊宣さんが作り出す料理はスパイスをふんだんに用いた炭火の調理が味わいの要を成しているが、そのスパイスがいわゆるスパイス料理と聞いて想起するようなクミンやカルダモンではないところが興味深い。ペンジャペッパーやウダポットなど二度聞き必須の未知なるスパイス(ちなみにこれらはどちらもアフリカ産)が主軸として用いられる。言うならば、オルタナティブスパイスガストロノミー。そこから生まれる味わいは刺激的だが決して素材を覆い隠すものではなく、素材に寄り添う形で新たな味わいを創出していく。その世界はカラフルで、好奇心に満ちたおいしさに溢れている。

10品ほどからなる季節の食材を使ったコース¥16,500(サービス料別)。すべての料理に通底してスパイスが用いられ、鮮やかなイメージを付与する。夏の料理には鹿、蛸、太刀魚などが登場(中央から時計回り)。アルコールペアリング¥9,900(サービス料別)。

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Ukiyo 東京都渋谷区上原1‐32‐3 CABO1F 19:00~24:00(22:00~24:00はワインバーとして営業) 火曜、不定休 詳細はインスタグラム(@ukiyo_tky)で。

ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードエッセイスト。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)など。

※『anan』2023年8月9日号より。写真・清水奈緒 取材、文・平野紗季子

(by anan編集部)

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「早く形にしたい」という強い想いがあっても、⼀歩引いて周りとの調和を⼤切にしたい時です。⾜踏みしているように感じて焦るかもしれませんが、今は⼤切な準備期間。無理を通そうとせず、準備を進めながら⾝近な⼈を⽀えることに専念してみましょう。静かに時を待つうちに、やがて暗闇を抜けて、希望の光が⾒えてきます。

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