佐藤隆太「鳥肌が立つような奇跡的な瞬間に何度も出合った」 観客参加型の舞台が再演!

エンタメ
2023.08.06
これまで数々の名作、傑作ドラマに出演してきた佐藤隆太さん。その人が、「こんなに心底惚れ込んだ作品に出合えたことが幸せです」と語るのは、2020年に出演した舞台『エブリ・ブリリアント・シング』のこと。この作品は観客参加型で展開され、開演前、佐藤さんから番号入りのカードを渡された観客は、自分の番号が呼ばれたらカードに書かれた言葉を読み上げたり、ときには医者や父親役として佐藤さんと対峙したり。そこで紡がれるのは、ひとりの少年が大人になり、人生の苦みや喜びを知っていく物語だ。

観客と共に再び、世の中のあらゆるステキなものを探す旅へ。

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「毎日違うお客さんの反応があって、咄嗟に対応していかなきゃならないので、きっとアクシデントみたいなこともあるだろうと思って、幕が上がるまでは不安もありました。でも、こちらが何を求めているか、どういう空気にしたいのかを敏感に感じ取って、応えようとしてくださる方が多くて。すごく救われたし支えられたし、自分でも鳥肌が立つような奇跡的な瞬間に何度も出合いました。それは、他の舞台では味わうことのない感動だったんだろうなと」

とはいえ、回によっては想定外の反応に困惑したことも。

「だから毎回、めちゃくちゃ楽しいけれど、めちゃくちゃ大変でした。他の舞台の初日は手が震えるくらい緊張しても、初日を走り切ればいったんは落ち着ける。でも、この作品は毎日が初日みたいな感じだから、ずっとドキドキしてました。ただ、アメリカでこの作品をやられていた俳優さんと話したときに、『何があってもとにかく信じて前進することだ』とおっしゃっていて。自分が予想できないことが起こっても、そこで怯まずに進める。それでお客さんはノってきてくれるんです」

演出は、以前に舞台『いまを生きる』でご一緒した上田一豪(いっこう)さん。

「ご本人が柔らかくあたたかい方で、演出されるときも同じで、そうしたことを大事にされている。だから一緒にやっているこちらは安心感があるし、この作品にぴったりな方だと思いました。物語はなかなかヘビーではあるけれど、観終わったときにすごくあたたかい気持ちになるのがこの作品の持つ力です。人の痛みに優しく寄り添ってくださる方なので、一緒にそういう作品に仕上げていきたいです」

それは佐藤さん自身にも共通すること。劇場を訪れた人は、佐藤さんの笑顔に迎えられリラックスでき、渡されたカードに一度は戸惑っても、「大丈夫ですよ」の言葉に安心し、作品に身を委ねることができる。

「そう言っていただけるのは嬉しいんですけど、最初の方はこちらの緊張がお客さんにも伝わってたなと思います。大事なのは、いかにお客さんと近い距離感でいるかなんですよね。この作品では演者もお客さんも同じ目線であることを感じてもらいたいし、それが面白い体験になると思うんです。それには芝居が始まる前までの時間が結構大事なので、そこでとても神経を使いますし。観に来てくれた俳優仲間が『自分もやってみたい』と言っていて嬉しかったですが、一方で、これはめちゃくちゃ大変だからねっていう思いもありました(笑)」

大学在学中に宮本亜門さんの演出舞台でデビューし、そのすぐ後にドラマ『池袋ウエストゲートパーク』に出演し、注目を集めた。その当時から、誰に対しても朗らかで親しみやすい雰囲気は変わらないままだ。

「それはたぶん、僕自身がこの世界に憧れていた当時の感覚のままだからだと思います。いまだに俳優さん…ましてや女優さんと話すときに緊張しますし。こうしていることが不思議な感覚。でも振り返ると、自分のキャパシティを超えるくらい忙しかった時期に、ストレスを表に出してしまったこともあって、今考えると恥ずかしいし、人間力が足りなかった。だから年齢を重ねる中で、自分も少しずつでも成長していかなければと思っています」

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『エブリ・ブリリアント・シング~ありとあらゆるステキなこと~』 7歳のとき、自殺未遂をした母親をなんとか勇気づけようと、思いつく限りの「ありとあらゆるステキなこと」をノートに書き始めた主人公。やがて彼は成長し恋に落ち、結婚するが…。8月11日(金)~27日(日)池袋・東京芸術劇場 シアターイースト 翻訳・演出/上田一豪 出演/佐藤隆太 一般5500円(8月16日までは前半割一般5000円)ほか 東京芸術劇場ボックスオフィス TEL:0570・010・296 https://www.geigeki.jp 全国ツアーあり。

さとう・りゅうた 1980年2月27日生まれ、東京都出身。ドラマ『木更津キャッツアイ』『ROOKIES』『スカーレット』などの映像作品のほか、舞台出演も多数。9月よりU‐NEXTで主演ドラマ『MALICE』が配信開始に。

シャツ¥29,700 パンツ¥45,100 サスペンダー¥16,500(以上suzuki takayuki TEL:03・6821・6701)

※『anan』2023年8月9日号より。写真・土佐麻理子 スタイリスト・勝見宜人(Koa Hole inc.) ヘア&メイク・白石義人 インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)

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