普通のゲームとの違いは? プロ選手になるには? eスポーツの基礎知識

エンタメ
2023.05.13
コロナ禍を経てますます注目されているeスポーツ。最近では初めて大会を観戦しに行くという初心者さんも増えていると話すのは、さまざまなゲームイベントで実況やMCを務めるゲームキャスターの岸大河さん。
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「YouTubeのストリーマーやVTuberのほか、山田涼介さんのような芸能界の方もゲームを配信されるようになったことで、いままでとは違うルートからゲームを知る人が増えました。こうして、ゲームを知り、それを『技術を競う競技』として楽しむeスポーツや選手の存在を知り、さらに世界大会といった新しい世界が広がっていることに触れた人たちが、eスポーツの大会に足を運んでくれているのだと思います」

そんなeスポーツについて、「普通のゲームとの違いは?」「何から観るべき?」といった基本を知りたい人向けに、岸さんに“超基礎”をご指南いただきました。

eスポーツを知ろう。いまだから知りたいeスポーツ「基本のキ」。

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Q. eスポーツって何?

A. ビデオゲームを使って対戦するものは、すべてeスポーツ!
eスポーツと聞くとプロの競技シーンのみを想像される方も多いと思いますし、定義も人によってさまざまですが、僕は「決められたルールのもとでビデオゲームを使って対戦すること」と、フワッととらえています。体を動かすスポーツも、体育の授業からプロ選手の試合まで全てスポーツと呼びますよね。それと同じです。ゲームタイトルにも、「このタイトルはeスポーツ、これは違う」という区別はなく、例えば本来は対戦ゲームではないゲームも時間に制限を設ける「タイムアタック」という競技要素が加われば、eスポーツと呼んでよいのではないでしょうか。また、スポーツに多様なジャンルや競技があるようにeスポーツにも「FPS」「格闘ゲーム」などいろいろなジャンルがあり、そのなかの個別のゲームごとに競技シーンがあります。

【eスポーツ(例)】
FPS(ファーストパーソンシューティングゲーム)
VALORANT、フォートナイト

対戦型格闘ゲーム
ストリートファイターV、鉄拳7

MOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)
リーグ・オブ・レジェンド、Dota 2

Q. 大会って何? ルールはどう決まるの?

A. 選手が技術を競う場。ルールの大枠は、開発企業が作ります。
eスポーツの大会は、大きく分けて公式大会と非公式大会の2種類あります。公式大会はゲームを開発した企業自身が主催する大会で非公式大会は第三者の企業が開発会社の許諾のもとで開催する大会や、プレイヤーコミュニティが非営利で開催する大会などが含まれます。ルールについては基本的には公式大会で開発会社が設定したものがベースとなり、非公式大会のルールはそれをそのまま使ったり、アレンジしたものになることが多いですね。こうしたルールの内容はゲームや大会によってさまざまですが、使えるキャラクターやアイテム、マップ、ゲームのバージョンなどが決められています。例えば、普段遊ぶときには使えるアイテムが、eスポーツの大会では使えないといったこともありますね。

Q. プロ選手になるにはどうしたらいいの?

A. 実はeスポーツにおける「プロ選手」の定義はあいまいなんです。
明確な定義はないものの、日本には「プロライセンス」を発行する団体(日本eスポーツ連合:通称JeSU)があるので、それを取得すればプロを名乗れます。ただし、ライセンスがなければプロではないというわけではなく、次の質問で説明する「プロチーム」に所属して給料をもらっていたり、大会に出場して賞金を稼ぐことを生業としている人もプロ選手です。プロチームに入る人は、別の選手から推薦されたり、アマチュアチームからスカウトされたりすることが多いですね。チームの新規募集に応募するという方法もありますが、募集がかかること自体が稀なので珍しいケースだと思います。

Q. チームって何をするの?

A. 試合の内外で選手をサポートする組織。そのあり方は多様です。
これも明確な定義はなく、ゲームタイトルやチームによって大きく異なりますが、基本的にプロチームは選手の試合内外でのサポートやマネジメント、プロモーション、スポンサー獲得などを幅広く行う組織です。最近ではプロチームが年齢制限付きの大会に出場できない高校生などを集め、「アカデミーチーム」として鍛えるケースも見られます。ひとつのチームに複数のゲームタイトルの選手が所属していることも多いほか、動画クリエイターや配信者が所属することもあります。またプロチームだけでなく、有志が集まったアマチュアチームもまた、eスポーツチームの一形態だといえますね。

試合の見どころや興奮を言葉に落とし込む、キャスターの仕事。

野球やサッカーの実況と同じで、試合の動きを言葉で説明するのがゲームキャスターです。ゲームの実況というと自ら遊びながら配信するストリーマーを思い浮かべる人もいると思いますが、キャスターの仕事は自分ではゲームに触れず、状況を客観的に言葉にすること。いかにゲームの内容や戦略、個人の能力といった知識をふまえて試合を言葉に落とし込めるかがカギになります。また試合の盛り上がりどころを作るのも、キャスターの重要な役割ですね。

体を動かすスポーツとの大きな違いは、焦点がひとつに定まりにくいという点です。球技ならばボール、格闘技ならば選手など見るべき場所がある程度は決まっていますが、例えば5対5のゲームは10人全員がそれぞれテニスをしているようなもの。それぞれが違う行動をし、さらにその行動の一つひとつが影響し合うので、どこに着眼して観客に伝えるのかもキャスターの腕の見せどころです。

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自らもゲームをするからこそわかることもあると岸さん。「ときには選手たちのスーパープレイに声を荒げることもあります」@YossyFPS

岸 大河さん 1989年生まれ。FPSタイトルの元トッププレイヤーであった自身の経歴を活かした、選手の目線の実況が人気。eスポーツ番組『eGG』(日本テレビ系)に出演中。

※『anan』2023年5月17日号より。写真・土佐麻理子 Getty Images 取材、文・川鍋明日香

(by anan編集部)

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