じんわり哀愁漂う、言葉の奥行きを感じるラップ。
「オファーが減り始めた頃、“Twitterをしていると仕事に繋がるらしい”と聞いて始めたんです。ラップを呟いたり、ポエム調の内容をポストしたり、細々と続けていたところ、サイン会にお客さんが来ない“サイン会0人事件”が起きて。その状況を呟いたら“そういえばジョイマンっていたな”と思い出してもらえて、フォロワーが一気に増えました。『0人だったなんてよく言えたね』と周りの芸人からは驚かれたけど、その寂しい感じも含めて面白いと思ってもらえるTwitterがあったからかなって思います」
それを機にどこか哀愁漂うツイートが増えたという。
「一発屋のイメージがつき、世間から“消えた”と言われるようになった。それだったら徹底的に消えてやろうと思ったんです。写真を載せず、言葉だけの発信をしていたら“ジョイマンってどんな顔だっけ?”と思ってもらえるようになる。フォロワーには芸能人の方もいて、時々僕たちのことをテレビで紹介してくれます。Twitterは反応が早く、“これがウケるんだ”という時代の移り変わりもキャッチしやすい。文字だからできる表現もあるし、この世界観が自分には向いているんだと気づくきっかけにもなりました」
TURNING POINT
「哀愁路線」にシフトしたきっかけ。
2014年、本の出版を記念したサイン会を行ったところ、開始1時間経ってもお客さんが来ないという珍事が発生。「この状況をツイートしてから、“ジョイマンって今こんな感じなんだ”と面白がってもらえるように」
営業の帰りの新幹線で投稿することが多いです
「移動中は好きな作家の本を読んだり、音楽を聴いたり。それにインスパイアされて、“こんな言葉を使ってみたい”と、頭に思い浮かんだ内容をポストすることが多いです」
MY RULE
写真は添えずにシンプルに
「僕は見た目のイメージが強いので(笑)、言葉のイメージを邪魔しないように自分の写真は載せないようにしています。情報量が多い他のSNSに比べて、Twitterは言葉だけでも成り立つところに安心感を覚えますね」
“ラップの赤ちゃん”が生まれたらすぐに投稿
「ラップをひらめいたら、クオリティに関係なくすぐにポスト。それを“ラップの赤ちゃん”と呼んでいて、自分で“いいね”を押して、後から見返し、ネタで使えたらいいなと。Twitterはメモ帳代わりにもなっているんです」
ケンカはしない
「時々、リプライで絡んでくる人もいるけれど、返していたらキリがないので、スルーしています。面白い! と思ったものだけラップで返すくらい。ユニークなラップバトルを仕掛けられたら返すかもしれないですね」
たかぎ・しんや 2003年、池谷和志とお笑いコンビ「ジョイマン」を結成。ゆるやかなダンスとともに韻を踏む「脱力系ラップ」で一躍人気に。著書に『ここにいるよ ジョイマン・高木のツイート日記 2010‐2020』(ヨシモトブックス)など。
※『anan』2023年2月22日号より。取材、文・浦本真梨子
(by anan編集部)