低い姿勢のポーズで気持ちを落ち着かせて。
ヨガの本場インドに伝わる伝統医学“アーユルヴェーダ”では、この世のあらゆるものは、空、風、火、水、地の5つのエレメントの組み合わせで成ると捉える。インドでアーユルヴェーダを学んだサントーシマ香さんによると、睡眠は水や地のエレメントとの関わりが深いそう。
「水や地には、重量感、落ち着かせる、といった性質があります。若い年代ほど水や地のエレメントが多いので、横になるとすぐ寝ついて朝までぐっすり。ところが年を重ねると、軽さやザワつきといった性質のある風の要素が多くなるので、なかなか眠れない、睡眠が浅くなることが増えるのです」
思い当たる人は、この後のポーズで、風のエレメントを調節して。
「床に近いところで行うポーズは、気持ちを落ち着かせて体の緊張をゆるめ、呼吸を深めるので睡眠の前におすすめ。考えすぎたり、痛みが出ると逆効果。気持ちよければなんでもOKなつもりで、気楽にトライしましょう。まずは全身のこわばりをほぐす、基本の5ポーズからスタートします」
基本の呼吸法
ポーズを取る余裕がないときは、吐く息にフォーカスした呼吸だけでもリラックス効果が。意識せず基本の呼吸ができるようになったら、ポーズを行いながら取り入れてみて。
基本の呼吸法1:息を吐くメソッド
床にあぐらをかいて目を閉じて、両手をお腹に。そのまま深く息を吐いたら、自然に楽に吸い込む。吐くときは苦しくなるまで頑張らず、お腹を背骨に近づける気持ちで。意識を吐く息に集中させる。
基本の呼吸法2:4‐7‐8 呼吸
不安な気持ちを和らげたいときにおすすめ。ゆっくり4つ数えながら鼻で息を吸ったら、呼吸を止めて7つカウント。唇をすぼめて、8つ数えながら口から息を吐く。4回繰り返す。
基本のサイクル
眠る前に1サイクル行いたい5つのポーズ。各ポーズとも、姿勢を維持したまま5回呼吸をすること。無理をせず、気持ちよく体を伸ばすことが目的。
STEP1:子犬のポーズ
床に両手と両ひざをつけて四つん這いになる。両手は肩幅、両ひざは腰幅くらいに広げて。次に、お尻を引いて両手を前に出す。手は、大きくパーの形に開いて床を押しやるように。肩と頭を床に近づけ、腋の下、胸、お腹、腰をストレッチ。
STEP2:ローランジのポーズ
足を前後に開いて腰を落とし、後ろ脚のひざを床につける。両手を上げて腋を伸ばし、視線は前方に。両手は、そろえていても離れていてもOK。上半身を少し反らせて胸を開く。胸が開くと、呼吸が自然と深くなる。逆の脚も同様に。
STEP3:合蹟(がっせき)のポーズ
あぐらをかいて床に座り、両足の裏を合わせる。両ひざは、床から浮いていても大丈夫。次に、両手を前に出して床につけ、上半身を前に倒す。このときに無理をせず、心地よい位置で止めるのが重要。太ももの内側から股関節がじんわり気持ちよく伸びるのを感じて。
STEP4:橋のポーズ
床に仰向けで寝転がり、両ひざを曲げる。足は、腰幅を目安にやや開き、両腕は伸ばして体の横に。次に、お尻を床から離して持ち上げて肩と両足で体を支え、肩甲骨を背骨に寄せながら組み手で床を押す。座り仕事で固まった腰をほぐし、丸まった背を伸ばそう。
STEP5:仰向けでねじるポーズ
4のポーズから、お尻を床に落として両手は頭の上に。両足をお尻に軽く近づけ、腰を右に少しずらしてから両ひざを左に倒す。最後に、左足のくるぶしを右脚のひざ上にのせて少し負荷をかけてもOK。顔は、右側に傾けて。腰や背中を伸ばしてひねると、呼吸が楽になる。反対側も同様に。
サントーシマ香さん ヨガ講師、アーユルヴェーダ・セラピスト。アメリカやインドでヨガを学ぶ。スタジオやオンライン上でヨガ講座を開催。『疲れないからだをつくる夜のヨガ』(大和書房)など著書多数。
※『anan』2022年8月31日号より。写真・土佐麻理子 ヘア&メイク・nagisa(W) 取材、文・風間裕美子 撮影協力・PROPS NOW
(by anan編集部)