意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「IPEF(アイペフ)」です。

緩やかな枠組み。でも、対中政策に必要な繋がり。

Entame

IPEFとは、Indo‐Pacific Economic Frameworkの略で「インド太平洋経済枠組み」のこと。バイデン大統領の声がけで、5月下旬にアメリカ、日本、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリアの13か国が参加を決めました。経済連携の枠組みはいろいろありますが、最後の一文字により形態が変わります。「WTO(世界貿易機関)」はオーガナイゼーション=機関。貿易のルールを決め、逸脱すれば対抗措置もある強固な枠組み。TPP(環太平洋パートナーシップ)やRCEP(東アジア地域包括的経済連携)はパートナーシップ=連携ですから、機関ほど強固ではありませんが、ルールを作り、守ることが前提です。

これらに対してIPEFのFはフレームワークなので、さらに緩やかな枠組み。4つの柱、(1)デジタル経済を含む貿易(関税引き下げは除く)、(2)半導体などのサプライチェーンの強化、(3)クリーンエネルギーや脱炭素に対して、質の高いインフラ作り、(4)マネーロンダリングや脱税対策、公正な経済を促すための対策を掲げていますが、できる範囲でOKというスタンスです。

アメリカはトランプ政権の時にTPPから離脱しました。外国からの輸入品に高い関税をかけ、国内産業や雇用を守る政策に変えたのです。実は、バイデン政権でもその軸足は変わっていません。その一方でアメリカはいま、インフレに苦しんでいます。関税を下げてモノを安く供給したいけれど、TPPのような枠組みだと政策転換になってしまう。そこで、IPEFを提案。そこには今秋の中間選挙を見据えたアメリカの事情も見えます。

ただ、中国抜きにアジア太平洋地域がまとまり、関税の引き下げや撤廃という議論なしで融通し合うというのは、中国と絶妙な関係にあるインドや、中国からプレッシャーをかけられているオーストラリアにとっても大きな意義があります。日本にも、IPEFでアメリカを繋ぎ止めながら、TPPやRCEPをより安定した枠組みにしたいという思惑があるんですね。

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堀 潤 ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。

※『anan』2022年6月29日号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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