ポジティブマインドは腸で作られる!? 腸が“第二の脳”と呼ばれるワケ

2021.7.21
以前から話題になっている「腸活」。実はこの夏こそやるべきインナーケアなんです! というのも、生活が変化した今の「免疫力を上げたい」「在宅ワークで太り気味」「肌荒れが気になる」「気分が落ち込みがち」といったお悩みにアプローチできるから。

腸が整うと健康、美容、メンタルが上向きに。

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「コロナ禍において男女3000人に調査をしたところ、半数以上がお腹の調子を崩していることがわかりました。そのうち4割の症状は“便秘”で、リモートワークによる生活習慣の変化が原因。運動不足、オンオフの切り替えができず緊張状態が続くことや、間食が増えたことなどによるものです」(医学博士・江田証さん)

お腹の不調の原因は不規則な生活や乱れた食生活、ストレスなどから起こる腸内環境の悪化。腸内で悪玉菌が増加したり腸内細菌の多様性が失われることで、便秘のほかに不眠、むくみ、冷え症、生理痛、肌荒れなどを引き起こすという。ひどい便秘は、心筋梗塞や脳卒中のリスクも高まるというから要注意! さらに、気持ちが落ち込んだり強い不安にかられたりと、マインド面に影響を及ぼすのも、実は腸内環境の不調によるものだという。

「“脳腸相関”という言葉があるように脳と腸の関係性は想像以上に密接で、心のバランスにまで深く関わっています。たとえば緊張している時に便秘や下痢を引き起こしがちなように、脳と腸は常に情報交換をして相互に作用している。つまり、腸の環境を良くすることで、脳はポジティブな思考に変わることができて、その結果マインドを変えることもできるのです」(脳腸セラピスト・桜華純子さん)

不規則な生活になりがちで、閉塞感を覚えがちなコロナ禍の今こそ、腸活に力を入れるべきなのです。

腸は脳の司令塔! 心の乱れは腸の乱れ。

腸の不調は放っておくと、全身に支障をきたすことになるという。

「腸には約1億個の神経細胞があり、これは人体では脳に次いで多い数なんです。腸が独自に体の機能を操作する力もあり“第二の脳”とも呼ばれています。腸の調子が悪いとそれが“脳腸相関”という双方のネットワークにより脳へ届き、あらゆる臓器へ伝達されます。そして便秘や下痢などをはじめ、肌荒れや肥満だけでなく、心筋梗塞や脳卒中などの深刻な病気を引き起こす原因になる可能性も出てきます」(江田さん)

“腸は脳の司令塔”ともいわれているが、ストレスフルな今の生活にとくに必要不可欠で、注目したい物質が“セロトニン”。

「セロトニンは“幸せホルモン”と呼ばれていて、その9割は実は腸に存在しています。セロトニンとは心を穏やかに保つ神経伝達物質で、ポジティブな気持ちや幸福感をもたらしてくれるもの。ところが腸内環境が悪化してしまうと、セロトニンを作り出すことができずに、イライラなどメンタルの不調の原因に。また代謝も落ちるため、肌や髪、爪の潤いまで鈍ることに」(桜華さん)

腸を正常に機能させる腸活がもたらす効果をチェックしてみよう!

腸を“超”知る! カラダ、ココロ、美との関係値

栄養を全身に運ぶ、消化・吸収の臓器

「腸の基本構造は、大きく小腸と大腸の2つに分けられます。小腸では主に消化・吸収を行い、大腸ではそのカスを発酵させて便を生成。肛門までつながる腸の日本人の平均的な長さは小腸が6~8m、大腸が約1.5mで、内部の総面積はテニスコート1面分にも相当します」(江田さん)。

腸は身長の約5倍の長さと、大きな面積で、栄養素を効率よく消化・吸収し、全身へと運ぶ役割を担っている。

最近、何かとよく聞く! 免疫力は腸が鍵。

「腸内にいる約1000種類100兆個にも及ぶ細菌が、バランスよく生息することで腸内環境が整えられています。そして、腸内を良い状態にキープしておくことで腸の粘膜上皮にある、防御機能を持つネバネバとしたムチン(粘液)が働き、腸は最大の免疫臓器になります」(江田さん)。悪玉菌を抑えて善玉菌を増やすことで細菌バランスは整い、免疫力がアップ。病気や細菌への感染から体をガードしてくれる。

幸せホルモンの90%は腸で作られる!

「幸せホルモン=セロトニンは、脳内神経伝達物質。脳の中には2%、血液に8%、そして大部分の90%が腸に存在します」(江田さん)。「セロトニンがたくさん出ることで情緒が安定して何事にも意欲的に取り組めるようになります。つまり、自分らしく輝く人生を手に入れるには、必要不可欠な物質なのです」(桜華さん)。腸活は腸内をキレイにするだけではなく、幸せを生み出すことにもつながる!

美肌、美髪の源は腸にあり。目指せ、腸美人。

腸内環境が整っていて、便通がスムーズになると、肌や髪は必ず今よりもキレイになるという。「規則正しい排便により毒素を体から排出することで肌質を整えてくすみやむくみなどをケアし、顔の血色もアップ。また潤いとツヤのある髪も手に入れられます。理想は1日1回以上の排便ですが、状態のいい便をすっきり出せれば問題ありません」(桜華さん)。毎日、排便があるかを改めて意識することが腸活の第一歩。

腸を整えれば、太りにくいカラダに!

高脂質、高カロリーな食事が続くと悪玉菌が増殖し、さらに食欲を増大させてしまうそう。「栄養バランスが偏りがちな食事は悪玉菌の大好物。腸内に悪玉菌が増えすぎると、当然エサも必要に。無性に揚げ物が食べたい、という衝動は実は悪玉菌に操られている可能性も!? 腸内細菌は同じ種類のものばかりにならないよう、バランスよく生息させることで腸内環境が整い、ダイエットにつながるのです」(江田さん)

江田 証さん 医学博士、江田クリニック院長。全国から患者が訪れる腸のスペシャリスト。著書に『新しい腸の教科書 健康なカラダは、すべて腸から始まる』(池田書店)などがある。

桜華純子さん 脳腸セラピスト、マインドフルネスカウンセラー。腸ケアサロン『サロン・ド・エンジェル・エンジェル』主宰。著書に『幸せになりたかったら、腸を整えなさい』(フォレスト出版)。

モデル/加治ひとみ
かじ・ひとみ 1987年8月26日生まれ。東京都出身。女性誌にて美容企画や、モデルとして活躍。ドラマ『サレタガワのブルー』に出演中。『かぢボディ。腸活こそ、最高の美容液』(光文社)、『Splash! 加治ひとみ』(宝島社)が発売中。

オフショルダービキニセット¥27,500(ViX/フリドメール東京店 TEL:03・3400・5599) ピアス¥66,000 ネックレス各¥16,500(以上バージュエリー/ジェムプロジェクター TEL:03・6418・7910)

※『anan』2021年7月28日号より。写真・三宮幹史(TRIVAL) スタイリスト・中根美和子 ヘア&メイク・岡田知子(TRON) 取材、文・若山あや

(by anan編集部)