『BOOTLEG』以来、約2年半ぶりの米津玄師のアルバム『STRAY SHEEP』。2018年2月に公開された「Lemon」のミュージックビデオは、日本人アーティストとして初めて3億回再生を突破し、現在では6億回に迫る数字を記録しており、長きに亙る日本の音楽史を代表する曲となった。『STRAY SHEEP』には、その「Lemon」以降のシングルがすべて収録されている。「Flamingo」「TEENAGE RIOT」、Foorinの「パプリカ」のセルフカバー、「海の幽霊」――。

巨大な才能と才能が繋がり、時代を更新するアルバム。

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米津の10年来の愛読書であるマンガ『海獣の子供』を原作とした劇場アニメの主題歌として書き下ろした「海の幽霊」は、繊細で美しいアニメーションと、幽玄で深遠でシンフォニックな音像が高いレベルで融合した素晴らしいコラボレーションとなった。その後米津は、いったん燃え尽き症候群のような状態に陥ったという。そこからまた立ち上がり、ドラマ『ノーサイド・ゲーム』の主題歌として書き下ろした「馬と鹿」ももちろん収録されている。ストイックなビートとドラマティックなストリングスの中で、不屈の魂そのものが燃えるように歌われる“これが愛じゃなければなんと呼ぶのか/僕は知らなかった”“あまりにくだらない 願いが消えない/誰にも奪えない魂”というメッセージは、未だに胸を打ってやまない。

綾野剛と星野源の名バディぶりが話題で、そこに米津とも関係の深い菅田将暉までもが加わったドラマ『MIU404』の主題歌「感電」も聴ける。明朗なホーンに快活なコーラスが乗るとてもファンキーで艶っぽさもあるダンスナンバー。どこに流れ着くかわからない混沌とした世相が映し出されながらも、強く軽やかに生きていこうとする様がとても「今」を感じさせる。

ボカロP・ハチとしてネットシーンのカリスマとなった後、2012年に米津玄師として活動をスタート。以降、音楽シーンのみならず、カルチャー全体を呑み込み、刷新するような活動を続けてきた。もはや、楽曲にビッグタイアップが付くことは当たり前になっているが、それによって表現の純度が薄れるどころか、さらに特濃になり、コラボレーション相手の作品やアーティストにも米津の研ぎ澄まされたクリエイティビティが跳ね返る――そんなふうに、どんどん渦が大きくなっていくようなムーブメントが続いている。『STRAY SHEEP』には米津が強く影響を受け、今ではプライベートでも親交が生まれているRADWIMPSの野田洋次郎とのコラボ楽曲「PLACEBO」も収録されている。こうやって、巨大な才能と才能が深く繋がっていくことで、時代はアップデートされていく。

よねづ・けんし 2009年より“ハチ”名義でニコニコ動画へオリジナル楽曲を投稿し始める。'12年、本名の米津玄師名義でアルバム『diorama』をリリース。'20年7月、YouTube公式チャンネル登録者数が日本人アーティスト1位の500万人を突破。

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『STRAY SHEEP』。【おまもり盤(初回限定 CD+ボックス+キーホルダー)】¥4,500 【アートブック盤(初回限定 CD+Blu-ray/DVD+アートブック)】¥6,800 【通常盤(CD)】¥3,000(Sony Music Labels)

※『anan』2020年8月12-19日合併号より。文・小松香里

(by anan編集部)

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