意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「内閣総理大臣」です。

独裁を避けるため日本が選んだ内閣という組織。

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新型コロナウイルス感染症の対策をめぐり、世界各国のリーダーの違いを目の当たりにする機会が増えました。

政治のシステムは大きくわけて議院内閣制と大統領制があります。前者のトップは首相、後者のトップが大統領。日本は議院内閣制をとっており、安倍首相は内閣総理大臣。内閣という行政府の長です。大統領制にはアメリカ型とフランス型があり、アメリカは大統領個人が行政を担いますが、フランスは大統領が国家元首として外交や儀礼を担い、国内の政治は首相に任せます。ドイツも政治は国内外とも首相が担い、大統領は外交儀礼を行います。日本の元首は憲法で明文化されていませんが、儀礼や国会の召集などの元首的な役割は、ほとんど天皇が担っています。

イメージでは、大統領のほうが総理大臣よりも強い権限を持っているように感じるかもしれません。しかし、アメリカの場合、大統領に議席はなく、議会と大統領個人は拮抗する関係を保っています。大統領がいくら「こうしたい!」と言っても、議会がつっぱねて「予算を通さない」と揺さぶりをかけることができる。オバマ前大統領もトランプ大統領もそれで思うように政策を進められず苦労しました。そうやって大統領の独裁にならないようにバランスをとっているのです。

日本は太平洋戦争の過ちを繰り返さないため、総理大臣一人に権限を持たせず、内閣という国務大臣の集団で行政を進めるようにしました。問題がおきた場合は、「責任をとります」と内閣が総辞職をしますよね? 内閣総理大臣一人が辞めることはありません。ただ、内閣=ほぼ与党ですから、総理の意向が通りやすいという意味では、大統領よりも総理のほうが権限を持っていると言えるかもしれません。誤った道を進まないためには、与党のなかにさまざまな意見を持つ人がいることが大事になってくるのです。大統領選挙のように、国民が直接総理を選ぶシステムではありませんが、私たちは選挙で「与党」を選べます。内閣総理大臣は与党の党首が任命されることがほとんど。議員選挙が私たちの暮らしや将来に直接関係し、どれだけ重要か、自覚していただけたらと思います。

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堀潤 ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。3月に監督2作目となる映画『わたしは分断を許さない』が公開された。

※『anan』2020年7月1日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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