パサつき、傷み、白髪…“髪に元気がない”ときに食べたい料理とは?

2020.5.12
中医学や養生法に詳しい櫻井大典さんによる「Daily(デイリー)養生」。今回のテーマは「髪の傷み」です。
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紫外線が強くなる季節、髪のパサつきが気になる人も多いのではないでしょうか。ということで、今回のテーマは髪。髪の不調のメカニズムとケア法を、中医学の視点でお伝えします。

髪が傷んだり、抜け毛や白髪が増えるのには、2つの理由が考えられます。まず1つめは、「血虚(けっきょ)」。中医学では髪は血の余り、「血余(けつよ)」でできているとされています。血には体に潤いと栄養を運んで温める役割がありますが、それが不足すれば当然、髪にも栄養が行き渡らなくなってしまいます。肌の乾燥や冷え、月経の乱れなども、血虚による不調。髪の傷みだけでなくこうした症状も見受けられるなら、足りていない血を養うことが一番の対策です。血は目の酷使や夜更かしで消耗します。パソコン作業中は時々目を休めるようにし、夜は早寝を心がけましょう。

1日10分は歩いて、腎をしっかり養って。

もうひとつ、腎の働きが低下する「腎虚(じんきょ)」も髪のトラブルの原因。中医学では髪を「腎の華」と表現しますが、これは髪が腎の健康を表すバロメーターであることを意味しています。

腎には水分を分配する「腎陰(じんいん)」と体を温める「腎陽(じんよう)」の2つの役割があるのですが、そのバランスが崩れることで、髪の傷み以外にもさまざまな不調が起こります。例えば、水分が足りずに熱がこもる「腎陰虚(じんいんきょ)」になると、のぼせやほてり、水分不足からくる便秘などの症状が見られるようになる。反対に水分過多で熱が不足する「腎陽虚(じんようきょ)」は、足腰が冷えてむくむのが特徴です。前者の場合は水分を多く含む野菜を温めて摂り、後者の場合はお腹まわりを冷やさずに温かい飲み物を摂ることが養生につながります。そしてどちらの場合にもぜひ行ってほしいのが、適度な運動。腎は、動くことで養われます。会社の行き帰りにひと駅歩く、仕事中も1時間に一度は立ち上がって軽くストレッチする。そんな小さな心がけが腎を強くして、髪を健やかに保つのに役立ちます。

最後に、「補血(ほけつ)」「補腎(ほじん)」のどちらにもよい食べ物をいくつか紹介しておきます。血を補うのにいいのは黒や赤の食材ですが、その中で腎をも補ってくれるのが、黒豆や黒きくらげ、鶏レバー、オイスターソースなど。何となく髪に元気がないな…と思ったら、ランチは中華料理店へ。血と腎を養う食材を、たっぷり摂りましょう。

さくらい・だいすけ 漢方専門家、国際中医専門員。完全予約制の漢方相談処「成城漢方たまり」で相談を行う。『体をおいしくととのえる! 食べる漢方』(小社刊)ほか、監修書、著書多数。https://yurukampo.jp/

※『anan』2020年5月13日号より。イラスト・原田桃子 文・新田草子

(by anan編集部)