スポーツ飲料をよく飲む、おしっこの色が濃い…「“隠れ脱水”かもしれない人」の特徴と対策

文・大久保愛 — 2023.8.3 — Page 1/2
暑い日が続き水分摂取を意識している人は多いでしょう。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、やってはいけない水分の摂り方と脱水対策を教えてくれます!

最近、水分を適切に摂っていますか?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 225


とろけそうなほど暑い日が続きますね。外出時には、太陽が低い位置に降りた夕方に、ようやく本来の自分を取り戻すかのように元気がでてきます。真夏の紫外線、高温多湿の気候には、圧倒的なパワフルさを感じますよね。カラダにこもった熱をさまし、干からびそうなカラダを潤すように水分摂取を行うことが必須となります。

そんな環境の中、少しでもすぐに楽になろうと一目散にジュースをがぶのみしたり、アイスを食べたり、キンキンに冷えたビールを一気飲みすることもあるかもしれません。ただ、飲み方や内容も水分を補充するうえで大切な部分となるため、キンキンに冷えた甘い飲み物をがぶ飲みして、糖質過多になってしまうような飲み方は良いとは言えません。

適切に水分を補うことができなければ、脱水症をおこしてしまうこともあります。頭痛、足がつりやすくなる、だるさなどを感じることがあり、ひどい場合には意識障害を起こしてしまうこともあります。ということで今週は、脱水の予防となる食薬習慣を紹介していきます。

今週は、脱水の予防となる食薬習慣

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     突然ですが、直近の尿の色はどんな色でしたか? いつもより色が濃いなと感じたり、頻度が減ったと感じることはないでしょうか。トイレの回数が減ったり、尿の色が濃くなっていたりする場合には、かくれ脱水を起こしている可能性も。尿の色を一つの指標にしつつ、喉が渇かなくとも頻繁に少しずつ水分を摂るようにすると対策になります。

また、喉が渇いたときには、がぶ飲みしたくなりますが、大量に水分を摂るとカラダの電解質のバランスが乱れてしまうことがあったり、キンキンに冷えた飲料で臓器の働きを低下させることもあるので、常温程度の水分を喉が渇く前に小まめにとることが理想。

また、熱中症になりやすい人には根本的に脱水しやすい特徴を持っていることがあります。血液検査で“アルブミン”という名前を見たことはないでしょうか。アルブミンは、たんぱく質が不足していると低い値となりますが、アルブミンは水分を血管内に保持するために必要な物質です。

そのため、夏に麺類やスイカやアイスなど糖質ばかり食べて、その分タンパク質の摂取が減ってしまっている人も注意が必要です。漢方では、水分を保持できない状態を『陰虚』とよび、見た目としては、舌の状態が赤みが強くなったり、亀裂が入っている状態であることが多いです。そこで、今週はタンパク質やミネラル、水分摂取に気を配ることで『補陰』することがすすめです。今週食べるとよい食薬は、【梅肉入り豚の生姜焼き】。逆にNGな習慣は、『内熱』を生じさせる【スポーツ飲料のがぶ飲み】です。

食薬ごはん【梅肉入り豚の生姜焼き】

タンパク質やビタミンB群、ミネラルを多く含む豚肉にニンニクと玉ねぎのアリシンを合わせることで『陰』を補う効率をアップ。また、生姜焼きのアクセントに梅干しを使うことで、クエン酸やミネラル、抗酸化物質も一緒に補うことができるので、夏の不調におすすめです。

<材料>
豚肉       200g
生姜       2片(みじん切り)
玉ねぎ      1/2個(スライス)
梅干し      1個(包丁でたたく)
大葉       4枚(刻む)
酒・みりん・醤油 各大さじ1

<作り方>
生姜と玉ねぎと梅干しを炒める。そこに、豚肉と調味料を加え、全体が絡まりあうように炒める。大葉をちらしたら完成。

NG行動【スポーツ飲料のがぶ飲み】

夏はそうめんや冷やし中華、スイカなどを食べて糖質過多になりやすい時期。そのため、水分補給としてスポーツ飲料など甘い飲み物を過剰に摂ってしまうことは、血糖値を上昇させ、それによってさらに喉が渇きやすくなり、再び甘い飲み物を飲むというサイクルに入り、糖質過多でだるさをより強調させるペットボトル症候群とういう健康障害に該当してしまうことも。スポーツ飲料は適切な量を取り入れましょう。また、飲み物の量、頻度、内容にも気をつけて摂取していきましょうね。

これからお盆休みもあり、楽しいことがたくさんあると思います。真夏の日差しの中でも疲れを引きずらずに楽しむことができるように日ごろから食薬をとりいれていきましょう。そのほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。

近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。

ですが、古代とは違い現代ではさまざまな研究が進み明らかになっていることが増えています。『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。


Information

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<筆者情報>
大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン®』の開発運営や『食薬アドバイザー®』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち®」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売1か月で7万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/
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©Kagehito/Gettyimages