アイス大好き、昼食後に猛烈な眠気…「睡眠の質低下でぐっすり眠れない人」の特徴と対策

文・大久保愛 — 2023.7.21 — Page 1/2
寝苦しい夜が多く、睡眠の質の低下など眠りにまつわる問題を抱えている人が増えているよう。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、良質な睡眠を妨げるNG習慣と対策を教えてくれます!

最近、睡眠の質が落ちていませんか?

睡眠 不眠 質 低下 悪い 眠れない 寝付けない 寝苦しい 熱帯夜 夏 快眠 対策 方法 改善 解消 解決 漢方 食薬

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 223


最近、よく眠れていますか? 湿度が高かったり、汗でパジャマや枕がべとついたり、不快な夜は睡眠の質が低下してしまいますよね。除湿器をかけたり、エアコンの風向きを調整したり、タイマーをかけたり、空調設備の調節に苦戦しますよね。

この時期は、エアコンの電気代よりも睡眠の質を下げない環境維持の方が価値が高いものとなるかもしれません。夏の疲れは、長期的に続き、だるさや風邪、秋の不調まで続いてしまうことがあるからです。そんな夏のダメージをいち早くリセットしてくれるのが、良質な睡眠です。

ということで、睡眠の質が悪いのに寝る直前まで動画を見ていたり、寝酒をしたり、週末に寝だめをしたりと睡眠の質をさらに低下させるような行動をとっていたりしないか振り返ってみましょう。今週は、この時期の元気に欠かせない睡眠のリズムを整える食薬習慣を紹介します。

今週は、睡眠のリズムを整える食薬習慣

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                        
集中力が低下したり、昼食後猛烈に眠くなったり、横になりたいほどだるい日があったり、休日は昼まで起きることができなかったりすることはないでしょうか。思い当たる人は、もしかすると睡眠の質が低下しているかもしれません。暑いからとお風呂につからずにシャワーですませたり、食事をパンや麺、お惣菜などで簡単にすませたり、寝る前にアイスを食べたり、お風呂上りに冷たい水分をがぶ飲みしたりと間接的に睡眠の質を低下させる原因となる習慣が身についてしまっているかもしれません。思い当たる人は、注意しましょうね。

漢方医学では、睡眠の質が低下しやすい人を栄養状態が悪い『心血虚』や『肝血虚』とよびます。暑さが厳しくなればなるほど、私たちは偏食になりやすく、栄養状態が悪くなりやすいので、暑い時ほど納豆や玉子、豆腐、枝豆、シーフードミックスなど手軽に糖質や脂質以外の栄養補給できる食材を常備しておきましょう。

ということで、今週は『心血』や『肝血』などを補うことのできる食薬がおすすめです。今週食べるとよい食薬は、【梅干し納豆】。逆にNGな習慣は、『気血両虚』の原因となる可能性のある【寝る前のアイス】です。

食薬ごはん【梅干し納豆】

睡眠 不眠 質 低下 悪い 眠れない 寝付けない 寝苦しい 熱帯夜 夏 快眠 対策 方法 改善 解消 解決 漢方 食薬

睡眠に必要なセロトニン、メラトニンの材料となるトリプトファンや記憶力を高めるレシチン、脳の血流を促すナットウキナーゼなどを含む納豆に疲労回復に役立つクエン酸やマグネシウムなどのミネラルを含む梅干しを組み合わせて睡眠サポートをしていきましょう。作り方は簡単! まぜるだけです。

<材料>
納豆             1個
梅干し            1/2個(包丁でたたく)
すりゴマ・あおさなど     適量
オリーブオイル・アマニ油など 適量

<作り方>
材料を混ぜたら完成。

NG行動【寝る前のアイス】

まず、睡眠の質を高めるためには睡眠の2~3時間前に食事を済ませていることが推奨されています。さらに、胃腸を冷やすほど冷たく、血糖値を急上昇させてしまうような甘い食べ物は、睡眠の質を向上させたいときには避けるのが無難です。暑苦しくて、アイスが食べたいと気が向くままに行動してしまうと、結果的にカラダを疲れさせてしまう行動が習慣化されてしまうこともあるかもしれません。

疲れたな、肌荒れしたな、やる気がでないな、頭痛がするな、むくんだなと様々な不調を感じた時には、やはり寝るのが一番のクスリとなりますよね。良質な睡眠がよいとわかってはいるけど、呼吸のように当たり前になりすぎて、その質を見直すタイミングが減ってしまっていることもあるのではないでしょうか。つらい夏ほど、睡眠の質を見直すことで不調を遠ざけていきたいですね。

そのほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。

近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。

ですが、古代とは違い現代ではさまざまな研究が進み明らかになっていることが増えています。『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。


Information

29da7aba42636f3ec47ee8cc1f4c6813

<筆者情報>
大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン®』の開発運営や『食薬アドバイザー®』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち®」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売1か月で7万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/
心と体を整えるCROWDSALON

book

『1週間に一つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。
購入はこちら

『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)
体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。


©ayakono/Gettyimages
©Kathrin Ziegler/Gettyimages