パン大好き、抗生剤をよく飲む…「おりものに異常が出やすい人」の特徴と対策 #207

文・大久保愛 — 2023.4.7 — Page 1/2
生活や環境がガラリと変わることが多い今の時期、おりもののにおいや色がいつもと違うということはありませんか? 中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生によると、カラダの不調がおりものの異常として現れることも多いのだそう。そういった場合は生活習慣を見直すことが必要。そこで、愛先生が対策とNG習慣を教えてくれます。

最近、おりものの色やにおいに異変を感じていませんか?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 207


4月がスタートし、怒涛の毎日を送っている人は多いのではないでしょうか。忙しくてあれもこれもしないと…と思っていると、一番初めに手を抜き始める部分といえば、食事や睡眠、運動の時間ではないでしょうか。生活に支障がないように恥をかかないようにと大量のタスクをこなしていくために、健康管理がおろそかになってしまうことってありますよね。

ただ、一時的と思ってた生活の乱れをそのまま引きずってしまうと、5月にうつうつとした気分になってしまったり、肌トラブルや便秘、体重の増加などに悩んでしまったりすることもあるでしょう。そんなときに、カラダの状態を確認することができるポイントがあります。それは、便、おりもの、舌の苔などさまざまな分泌物です。それぞれ、健康管理に気をつけましょうね! というカラダの合図をいち早く教えてくれる部分でもあります。そこで、今週はおりものの状態が気になる人のための食薬習慣を紹介していきます。

今週はおりものが気になるときの食薬習慣

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ただ、乱れた毎日も長期化するとさまざまな何となく感じる不調の種となってしまいます。漢方医学では、体調のチェックをするために、おりものの状態をチェックすることがあります。基本的に半透明から白っぽい色で、少し粘り気がある状態は正常です。また、月経周期によってある程度質的な変化が生じるものでもあり、膣内でデーテルライン桿菌という善玉菌がカンジダや大腸菌などの雑菌が繁殖しないように働いてくれています。

抗生剤をよく飲んだり、膣内を過度に洗いすぎることも膣内環境を乱し、バリア機能を低下させてしまうことがありますが、小麦製品や精製糖などが多いときにもおりもののニオイや色、質に違和感を感じることが増えます。食事がダイレクトに影響する腸内細菌と膣内環境はお互いに関連していることもあり、おりものシートやデリケートゾーン用のソープなどにたよってばかりいても根本的な原因を絶つことにはなかなかつながりません。漢方では、黄色みが強く、ニオイがきついおりものがでるとき慢性炎症の原因になる『湿熱』がたまっていると考えます。

そして、『湿熱』を放置しているとアレルギー症状や肌トラブル、口臭や体臭などさまざまな迷惑な症状へと進展していくと考えるため、おりものの指標を確認したときには生活の見直しが必要と考えます。ということで、今週食べるとよい食薬は、『湿熱』対策になる【キャベツとオレンジのサラダ】です。逆にNG行動は悪玉菌の餌となり『湿熱』を生じる【朝のパン習慣】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食薬:キャベツとオレンジのサラダ】

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時間がない時、そしてストレスがある時には、甘い物や揚げ物などちょっとジャンクなものが食べたくなりますよね。ですが、そういった食材は体調を整えるためにはプラスに働きません。そこで、食物繊維が多く、抗酸化力があったり、血糖値の安定に役立つことでメンタルの安定にもつながる『湿熱除去』サラダがおすすめ。

おすすめ食材であるキャベツには胃の働きを助けるキャベジンや腸の働きを助ける食物繊維、炎症を抑え解毒作用のあるスルフォラファン、抗酸化作用のあるビタミンCを含むキャベツ。ストレスや肌トラブルに対してもオールマイティにサポートしてくれます。また、オレンジも粒マスタードに含まれる香り成分にも、『気』の巡りを促しストレス緩和につながるため、突発的にイライラした日のメニューにもぴったりです。

レシピはこちらです。

<キャベツとオレンジのサラダ>
<材料>

キャベツ    4枚(千切り)
オレンジ    1個(薄皮はとらず輪切りに)
オリーブオイル 大さじ1
粒マスタード  大さじ1
塩・レモン汁  お好みで

<作り方>
ポリ袋に材料を入れて、よくなじませたら完成。

NG行動【朝のパン】

朝は時間がないからパンに決めているということはないでしょうか。たまに、パン屋さんの美味しいパンを味わって食べるのであればよいですが、毎日の日課になっていたら腸内環境や膣内環境の悪化につながる可能性があります。また、『湿熱』を作り出す食材でもあるので、おりものに異変を感じているときには小麦製品と精製糖は控えめにすることが、おりものだけではなく全身的な健康管理につながります。忙しい時ほど、和食をチョイスするようにしてみましょうね。

おりものの変化は、食生活の見直しの合図である可能性も考え、ほかの不調が増える前にチェックして行動を変えてみましょうね。ほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。

近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。

ですが、古代とは違い現代ではさまざまな研究が進み明らかになっていることが増えています。『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。


Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン®』の開発運営や『食薬アドバイザー®』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち®」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/
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