怖い夢を見る、食事を適当に済ます…「ストレス耐性が低い人」の特徴と対策 #192

文・大久保愛 — 2022.12.21
年末、やるべきことが山積みでストレス過多になっていませんか。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、ストレスに負けないカラダを作るための心身の整え方を教えてくれます!

年末、ストレスが溜まっていませんか?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 192


今年の仕事ができる日も残りわずかになってきましたね。今年中に済ませておきたいことと、長期休暇中に備えておきたい仕事と、やることが山積みになってはいないでしょうか。

残り時間はどんどんなくなり、優先順位をつけていくのも一苦労に感じられるかたも多いと思います。そんなときに、私たちが感じるのがストレス。あれもこれも中途半端で、明日やることもたくさんある…という状態では、何かに追われるような悪夢を見てしまったり、睡眠の質を低下させるようなこともあると思います。

私たちは、忙しくなればなるほど、食事の内容や睡眠時間などをおろそかに考えてしまいがちですが、日中のパフォーマンスを上げて、仕事をすぐに処理するためにもカラダ作りが大切になります。そこで、今週は心とカラダを整えてストレスに負けないカラダを作るための食薬習慣を紹介していきたいと思います。

今週は、ストレスがたまったとき食薬習慣

毎日、あわただしく寝る直前までやるべきことに追われていると頭は夜中までフル回転し、睡眠の質が落ちてしまうこともあるのではないでしょうか。

寝つきが悪くなったり、朝方目が覚めてしまったり、リアルな怖い夢を見てしまったりすることもあると思います。ただ、この怖い夢は日常のストレス耐性を上げるための予行練習だともいわれています。怖い夢を見た時には、カラダがストレスに対して負けないように準備してくれているものだと考えてみましょうね。

また、ストレスが多い時には、カラダの基本として亜鉛や鉄などのミネラルやビタミンB群の補充と腸内環境を整えることが大切になります。これらの栄養が不足していてストレスに弱くなっている状態を『血虚』といいます。さらに、短期的なストレスに負けている状態を『気滞』といいます。これ関しては、香りが高いものを取り入れるとよいとされています。

そこで、今週は突発的なストレスに備えて『気』の巡りを改善する食薬を紹介します。食べるとよい食薬は、【セリと塩昆布の混ぜごはん】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:セリと塩昆布の混ぜごはん】

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作り方は簡単です。炊いたごはんに、みじん切りにしたセリ、塩昆布、ジャコ、ゴマなどを混ぜるだけです。セリは生でも食べることのできる野菜です。セリの香りを楽しむことでリラックス効果を期待していきます。

【セリ】

セリは、漢方で『水芹』とよばれ、冬のトラブルに役立つ野菜とされています。オイゲノールやピラジンという成分が、『気』の巡りを改善したり、解毒や鎮静、血栓予防、肝機能強化などに役立ちます。

【塩昆布】

旨味が強い塩昆布は、心とカラダがバテてしまっているときにおすすめな調味料です。カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富であったり、腸壁を強化する食物繊維が含まれています。

忙しいときには、食事に対する意識が下がってしまいがちですが、忙しくて効率を上げたいときほど栄養バランスを整えることの必要性も上がります。最近、食事を適当にしているなと感じる方は、最後の踏ん張りがきくカラダを作るためにも食薬を取り入れていきましょうね。ほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもがカラダに影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人のカラダも約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。


Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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『1週間に一つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。
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『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)
体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。


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