もっと早く知りたかった…! 「頭痛を和らげる」簡単な方法 #104

文・大久保愛 — 2021.4.15
低気圧が近づくと頭痛や体の不調を感じやすい…。そんな悩みを抱えているみなさんに、漢方薬剤師の大久保愛先生が、頭痛を和らげる簡単な方法をお伝えします。さっそく試してみてくださいね。

気圧の変化による頭痛に悩まされていませんか?

頭痛 気圧の変化 不調 漢方 食薬 

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 104


強い風に気圧の変化、暑かったり寒かったりで体調が安定しづらくなっていることをよく耳にします。気圧の変化から頭痛や胃腸の調子が悪くなったり、むくんだり、寒暖差から膀胱炎になったりと、春の気候は陽気なイメージとは裏腹に意外にもダメージを与えるものです。あなたの体はバテていませんか? あれこれとタスクを詰め込みいっぱいいっぱいになっていたとしたら、一度休憩しましょうね。

春は、自律神経が乱れやすく睡眠の質が低下しやすいため、疲労も毎日リセットできず、疲れが蓄積していくこともあります。心身ともにリラックスする時間を意図的に作り、気候に負けない体を作りたいですね。今週は、気圧の変化で頭痛を感じてしまう人のための食薬習慣を紹介します。

今週は、気圧の変化で頭痛を感じてしまう人のための食薬習慣

頭が痛い、目が疲れる、首や肩が痛いなど、肩よりも上部の不調を感じることはないでしょうか。漢方ではこの時期「肝」が弱り、体の上部に痛みなどの不調を感じやすくなるといわれています。

頭痛の原因のひとつに体のエネルギーを作り出している器官であるミトコンドリアの働きが不十分であることがあげられます。ミトコンドリアはエネルギーを作りますが、不良なミトコンドリアが多く存在すると、活性酸素を副産物として大量に発生し頭痛や疲労感、思考の低下などにつながります。

さらに、耳や首周辺の血流が滞っていると、気圧の変化を耳の中にあるセンサーが敏感に感知してさらに頭痛を感じやすくさせてしまうこともあります。これらの原因を回避するためには、漢方では血行を促す「活血」と自律神経を整え気の巡りを促す「理気」が必要と考えられています。

そこで今週は、「気血」の巡りを改善し頭痛をやわらげる食薬習慣を紹介します。食べるとよい食材・メニューは【ルッコラとアーモンドのサラダ】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:ルッコラとアーモンドのサラダ】

頭痛 気圧の変化 不調 漢方 食薬 

ルッコラに細かく刻んだアーモンドとレモンオリーブオイルと塩をかけて作るサラダがおすすめです。アーモンドは、包丁で刻んでもビニール袋に入れてすりこぎなどで叩いて潰しても大丈夫です。

ルッコラ

「気」の巡りを改善する野菜です。香りの成分であるアリルイソチオシアネートが「気」の巡りを改善しつつも活性酸素を除去してくれます。そして、他にも抗酸化作用のあるビタミンC、βカロテン、ビタミンEも含んでいます。ストレスが多い時には選んでほしい野菜です。

アーモンド

頭痛の原因にもなるミトコンドリアの働きを支えてくれます。ミトコンドリアに必要なビタミンB2やマグネシウムを豊富に含みます。さらに「血」の巡りを改善するビタミンEを多く含む代表的なナッツです。頭痛に悩む日のおやつにはアーモンドがおすすめです。ただ、脂質が多いので胃もたれ、カロリーオーバーに注意です。

春は苦手だなと思っている人は多いと思います。ただ、そう思った時には窓の外を眺めてみてください。こんなにきれいで色鮮やかな植物が咲き乱れるのは春のおかげです。緊張の糸がピーンと張ってきている時には、深呼吸しながら外を眺めてみてくださいね。

ほかにも自律神経を整えるレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

Information

29da7aba42636f3ec47ee8cc1f4c6813

大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

kaba-

『1週間に一つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。
購入はこちら

『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)
体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。


©Westend61/Gettyimages
©Jamie Grill/Gettyimages
©guvendemir/Gettyimages