寺島拓篤、杉田智和について「一筋縄ではいかない不思議な魅力がある方です」

写真・園山友基 文・田嶋真理 — 2024.4.2 — Page 1/2
今回、ご紹介するのは、TVアニメ『バーテンダー 神のグラス』。酒と人とがドラマを紡ぐ、大人のためのスタイリッシュ・BARストーリーです。主人公のバーテンダー・佐々倉溜を演じた寺島拓篤(てらしま・たくま)さんにお話をうかがいました。

「お酒を飲むこと自体が解放感につながります」


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【イケメンで観るドラマ&映画】vol. 177

原作・城アラキ氏、漫画・長友健篩氏による漫画『バーテンダー』。2004年から2012年にわたり、「スーパージャンプ」と「グランドジャンプ」(ともに集英社刊)にて連載された、発行部数360万部(2023年4月時点)超えの人気作です。

バーやお酒の知識欲を刺激するだけにとどまらず、バーで繰り広げられる人間ドラマが胸を打つ名作が、新たに完全新作アニメーション『バーテンダー 神のグラス』としてアニメ化されました。

主人公は、バーテンダー・佐々倉溜。彼は六本⽊で修⾏後に単身フランスへ渡り、ヨーロッパのカクテルコンテストにて優勝。それ以降、彼が作るカクテルは「神のグラス」と呼ばれるようになります。

パリの⼀流ホテルにてチーフバーテンダーを務めていた溜でしたが、理由は不明ながら日本に帰国し、プライベート・バー“イーデンホール”で働き始めます。バーにやってくるお客さんの様々な悩みや問題に対して、特別な⼀杯を提供する溜。

⼀方、東京に開業したホテル・カーディナルでは、オーナーの来島泰三がカウンターバーに立つバーテンダーの人選に拘り、相応しいバーテンダーが見つからずオープンできずにいました。

泰三の孫・美和を含む営業企画部のメンバーはバーテンダー探しに奔走。佐々倉に出会い、彼こそが相応しいとスカウトしますが、はぐらかされてばかり。はたして、カーディナルのカウンターバーはオープンできるのか、溜の決断とは……。

オープニングテーマは、「魔法の絨毯」がSNSで人気となり、ストリーミング累計3億回再生を突破、近年は俳優業も手掛けマルチに活躍している川崎鷹也さんによる「Stardust Memory」。

エンディングテーマは、数々のドラマや映画、舞台などに出演するなか、アーティスト活動も精力的に取り組んでいる上白石萌音さんによる「スピカ」。どちらも優しく癒される、心に寄り添う楽曲です。素敵な音楽とともに、心が癒される特別な時間を味わえる作品です。


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ーー人気声優、そしてアニメ通としても有名な寺島さんですが、本作の出演が決まったとき、どう思いましたか?

寺島さん まず、『バーテンダー』がまたアニメをやるんだな(※2006年にアニメ化されたことがある)というのが一番の驚きでした。この作品は、アニメやドラマなど様々な形でメディア化されることで、多くの人の心を動かせると思われているんだろうなと。

とても素敵な作品だと思っていましたが、自分の声とバーのイメージが合致していなかったので、まさか自分がその世界に入っていくとは思ってもみませんでした。

ーー佐々倉溜を演じる際に心がけたことは?

寺島さん 彼は不思議な人で、まるでお酒のようにその場の雰囲気で味わいが変わる人だと思います。バーテンダーをしているときは、声を張らずに落ち着いた様子を見せ、バーを離れると違った表情を見せる。抑えたトーンで演じるように心がけました。

後に収録に合流する白石涼子さんに「寺島くん、喋っていた!?」と言われたほどで(笑)。自分としてもここまで抑えた演技はあまりしたことがないので、面白い経験でした。


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ーー佐々倉溜に共感したところを教えてください。

寺島さん 彼はバーを出るとあっけらかんとして、声のトーンも明るいのですが、心のどこかに壁があるような印象を受けます。ところが、バーの重い扉を開けると、心も開く。僕も現場では仲良く喋るんですが、外ではあまり交流しないんです。

喋りたくないということではなく、単に自分のバイオリズムなんですが、そこは佐々倉溜と似ているような気がしました。

ーー収録現場では、どのようなお話をされていたのですか?

寺島さん お酒の話なので、やはりお酒の話がよく出ましたが、あまり大酒飲みがいない現場だったんです。


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ーー寺島さんご自身は、お酒がお好きですか?

寺島さん どちらかと言えば好きなほうで、たまに飲みに行きますが、お酒に関する知識は乏しいです。飲むのは、ビール、ストレートかロックのウイスキー、日本酒に偏っています。僕はこの作品を通して初めて目にするカクテルがたくさんあり、興味を持つようになりました。お酒をさらに深く味わえるようになったと思います。

体質的にお酒が飲めない方もいらっしゃると思いますので、普段触れる機会がなかったお酒を知ることができる点でも良い作品だと思います。

ーーお酒にまつわる、思い出深いエピソードはありますか?

寺島さん お酒と言えば、声優業界ではこの人、と言われている、森久保祥太郎さんという先輩がいて。僕が森久保さんのお宅にお邪魔したとき、おすすめのお酒を持っていたんですが、クセが強すぎたようで森久保さんがあまり飲まなくて、そのままボトルを置いて帰ってボトルキープ状態になったことがあります(笑)。

僕はお酒が強いほうではないのですが、クセの強いお酒が好きなようです。


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ーーお酒に癒された経験は?

寺島さん いっぱいあります。疲れたときやストレスを感じたときにお酒を飲みたくなります。お酒を飲んだ後は仕事も運転もできません。制限がかかっているからこそ、お酒を飲むこと自体が解放感につながっていくんです。

ーーお酒以外で癒される瞬間はありますか?

寺島さん 子どもを抱っこしているときや家族と一緒にいるときですね。圧倒的に癒されます。

ーーいいですね! 心がほっこりするコメント、ありがとうございます。最後に、本作の見どころをお願いいたします。

寺島さん 原作の素晴らしさをアニメにするにあたって、どのようにしているのか……オタク的な視点になってしまいますが(笑)。シリーズ構成が違っていて、アニメの本数でひとつのドラマとして観ることができ、原作をご存じの方もまた違った味わいで楽しむことができると思います。

まるでカクテルのように、原作の良さ、監督のエッセンス、絵を描く方、音を付ける方、いろんな素敵な要素が混ざり合ってできています。ひとりでも誰かと一緒でも、じっくりと楽しむことができる作品です。日々忙しい中、この作品で少しでもゆったりとした時間を提供できればと思っています。

インタビューのこぼれ話

オタク声優の道を切り開いてくれた恩人として杉田智和さん(『銀魂』の坂田銀時役や『涼宮ハルヒの憂鬱』のキョン役で知られる人気声優)のお名前を挙げていた寺島さん。「若い頃から、とてもかわいがっていただき、たくさん遊んでいただきました。杉田さんは個が強く、それをそのまま貫いて生きていらっしゃる。

杉田さんがいなければ、僕もオタクの趣味を人目を気にせずにオープンに喋ることはありませんでした。僕だけでなく、世間に与えた影響は大きいと思います。一筋縄ではいかない不思議な魅力がある方です。さきほど名前を挙げた森久保祥太郎さんと同じく、僕の中で強い印象を残している先輩です」(寺島さん)。

Information


『バーテンダー 神のグラス“』キービジュアル_横

TVアニメ『バーテンダー 神のグラス』
4月3日(水)24:00より、テレ東にて放送開始
Lemino、U-NEXT、アニメタイムズ、アニメ放題にて先行配信ほか、各配信プラットフォームにて順次配信
原作:城アラキ・長友健篩「バーテンダー」(集英社刊)
監督:倉谷涼一
シリーズ構成:國澤真理子
キャラクターデザイン・総作画監督:植田羊一
総作画監督:植田羊一、牛島勇二
プロップデザイン:中原清隆、jimao
美術監督:倉田憲一
色彩設計:漆戸幸子
撮影監督:國重元宏
編集:徳田俊
音響監督︓明田川仁
音楽:堤博明
アニメーション制作:リーベル
出演:寺島拓篤、南條愛乃、白石晴香、松井恵理子、白石涼子、古川慎、東地宏樹、内田直哉、麦人ほか

©城アラキ・長友健篩/集英社・Bar hoppers
公式サイト:https://bartender-anime.com/

写真・園山友基 文・田嶋真理