飼い主のしつこさには辟易…それでも猫さまがゴロゴロのどを鳴らすときとは?

取材、文・Manabu Matsunaga — 2023.6.24
フランス在住のカメラマン、松永学さんによる、フランスの猫さま紹介(今回はフランス生まれ、現在は東京在住)! 第146回目は白グレーのハチワレ、ミャウ(Miau)さまの登場です。

フランスから飛行機で日本にきた猫さまの物語

【フレンチ猫さま】vol.146
猫さまの話をもっと聞かせて! 
ミャウさまは5歳の女性猫さまです。


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ミャウさまが語ります

私はフランスのエクス・アン・プロヴァンスで生まれました。今は東京の西のほうにある小さな庭つき一軒家に住んでいます。
朝6時ごろ、飼い主の顔付近を歩き回りながらゴロゴロします。飼い主を無理やり起こしたところで自分は二度寝。10時ごろまで暖かい場所でひなたぼっこまたは昼寝をします。庭に出してもらってパトロールをし、午後はまた昼寝。夕方ごろ、地域猫がごはんをもらいにやってくるので、庭に出て猫たちを監視します。夜は布団でふみふみ。合間にときどきごはん、お水、トイレをすませます。


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主食は『ロイヤルカナン』の「室内で暮らす長毛猫用」。ときどき大好きな「ちゅ~る」ももらいます。ウェットフードは、表面の液体だけ舐めてあとは残してしまいます。ヨーグルトやクリームなど乳製品はちょこっと舐めることが許可されています。好きな居場所はベッドカバーと布団の間や、庭が見渡せるテラスのカゴの中。おもちゃは小麦粉の袋を留めるための棒に紐をつけたもの。フランスの小麦粉の袋についていた赤くて細い棒が好きで、日本に持ち帰りました。好きなのはスポンジ遊び! フランスに住んでいた頃、外にも自由に出ていたのですが、どこかの家のキッチンから盗んできたスポンジをコレクションしていました。


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相当なびびり屋ですが、ときどき大胆にもなります。特技はPC作業をする人の脚の上にバランスをとって乗り眠ることと木登り。フランスにいたころは庭の木を登り、日本に帰ってからは、室内に木を立ててもらいました。
飼い主は相当しつこいですが、私はいやなことをされてもすぐに忘れる性格です。
飼い主から見たミャウさまとは
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私が赤ちゃんの頃、家にパンダ柄の猫がいました。小学生になってからも近所の公園で拾った猫を飼ったりと、実家を出るまでずっと猫がいたような気がします。母は地域猫の餌やりにも熱心で、母が道を歩くと猫がどこからか現れる、そんな人です。実家を出てからは一人暮らしが長く、なかなか猫を飼うことに踏み切れませんでした。結婚し、フランスに住み、フランスの住環境が猫との暮らしにも良いと感じたので、一緒に住む猫を探し、ミャウに出会いました。家がまあまあ広かった、大家さんの理解もあった、周辺にも猫が多く外に出しても安全そうだった、旅行中も世話をお願いできる人がいた、などの理由です。
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シェルターで他の猫にびくびくしながら、隅のほうをこそこそ歩いてトイレに行っていたのが当時7か月だったミャウです。抱っこするとすぐにゴロゴロ言ってくれてその瞬間好きになっていました。いま思えば、シェルターから連れ出してもらうための策略? ゴロゴロの安売りだった? 
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スポンジが好きすぎて、どこからかスポンジを拾ってきて、3日連続うちの玄関に落ちていたことがありました。盗まれた人には申し訳ないですが…。南仏の田舎だったので、窓を開けっ放しにしている家が多かったり、あとは庭のプールサイドの小屋(?)的なところからとってきていたのかなあと思います。
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ミャウと一緒にいると、養うためにもがんばって働かねば、と思わせてくれます。一生ぬくぬく安心して暮らしてもらうために、そして、もっと猫も人も快適な家をつくるためにも。
ーーフランスから日本までの移動についても聞いてみたところ、エアフランスの便で、キャビンに一緒に乗って帰国したとのこと。満席だったのでミャウさまは座席下のスペースでカゴの中で過ごしました。マルセイユからパリ経由で東京まで、緊張で飲まず食わずトイレもせず…。騒ぐこともなく、たった一度だけ小さく「にゃー」と鳴いただけだったと。それを思い出すだけで切なくなる記憶。こんなにつらい思いをさせたのだから、日本では思い切り甘やかしてあげなくては、と改めて思ったそうです。
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今ではフランスの生活を懐かしむと同時に、これからもっと快適な住まいを求めているとのこと。飼い主の話を聞くとミャウさまはとても幸せですね。

著者情報

松永学
猫さま好きフォトグラファー。雑誌、webなど多くの媒体で活躍。猫歴、実家に通っていた野良を含めると10匹以上、パリには2匹の猫さまを連れて移住、現在は保護猫3匹と暮らす。どこへ行っても通りで見かけた猫さまに挨拶は忘れません!