貫禄のあるお腹がお見事!…食後の猫さまの迫力あるお姿とは

取材、文・Manabu Matsunaga — 2023.4.16
フランス在住のカメラマン、松永学さんによる、フランスの猫さま紹介! 第126回目はスコティッシュストレートのブブ(Boubou)さま。

先代の生まれ変わり? 猫さまの物語

【フレンチ猫さま】vol.126
猫さまの話をもっと聞かせて!
ブブさまは2歳の男性猫さま。


猫 保護猫 フランス


ブブさまが語ります。
僕はパリ9区にあるアパルトマンの4階(日本では5階)に住んでいます。朝7時半に起床し、餌をもらうためにベッドの下をひたすらガリガリします。そして、1カップ弱の量のカリカリをぺろっと平らげます。天気がいい日は、携帯に反射する光が壁に当たるのを見つけるや否や、一生懸命捕まえようと必死になって遊びます。そして疲れてちょっと昼寝をします。飼い主たちのお昼ご飯を羨ましそうに横目で見つつ、デザートにヨーグルトなどの乳製品があると、蓋についた部分のおこぼれを貰えるので愛想良く振る舞います。飼い主たちが⻝べ終わったヨーグルトのカップにも興味がありますね。
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ここの家の愛娘の部屋のベッドで夕方まで昼寝をします。娘が学校から帰ってくるとベッドから追いやられるので、仕方なく別の場所を探します。夜ご飯は7時半からなのに、6時から「ミャーミャー」とお腹がへったアピールは欠かせません。でもここは我慢、我慢。夜ご飯のカリカリもあっという間に⻝べ終えると、飼い主たちの夕⻝を横目で観察しつつ、デーンとカーペットに仰向けになり、消化かつリラックスタイムを過ごします。この時、「ブブは音楽が好きなんだよね〜」と飼い主が音楽を聴かせてくれます。ヨーグルトの蓋のおこぼれなどを舐めたり、娘にキツく抱っこされる時に必死に爪を出さないよう我慢するのは僕のお仕事です。
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そうこうしているうちにあっという間に娘の就寝時間になります。彼女が寝た後の束の間の時間は、僕にとってホッと一息できる貴重なひと時。飼い主2人からのなでなで攻撃に、ひとり息子の僕は余韻に浸ります。飼い主たちの就寝時間になると、僕は猫トイレに近い自分の寝床で就寝です。
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いつもは『ロイヤルカナン』のSatietyというちょっと体重が気になる猫さま用のカリカリを⻝べています。特別な日のごはんは、夕⻝に鶏肉やお魚が出て、飼い主たちの機嫌がいい時はおこぼれがもらえます。
居心地がいいのは、ここの娘のベッド、または猫タワーのてっぺん。そこから外を観察するのが大好きです。人が歩いていたり、鳩が飛び立ったりするたびに一喜一憂しています。先に茶色い羽が付いているピンクの針金のおもちゃでよく遊びます。予想外の動きをするのがお気に入り。スーパーボールも好きです。それから回っている洗濯機を見るのも好きなんです。
飼い主から見たブブさまとは。
2001年にパリに来て、13区で一人暮らしを始めた時に飼い始めたのは、初代「きのこ」。当時、ジュンク堂書店の目の前にクロネコヤマトがありました。その店先に「子猫譲ります」という掲示板があり、早速連絡したのがきっかけです。当時、私がきのこのような髪型だったため、元彼が付けた名前が「きのこ」。雑種で、毛の色は茹で上がる前の海老のような黒とグレーと茶色のシマシマでした。15年間立派に生きた末、腫瘍ができてそのまま動物のお医者さんに注射をする事を勧められ、安楽死しました。
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2代目の猫は「ユキオ」。真っ白な雪のようなふわふわの毛を身に纏った白猫です。娘とたまたま入った赤十字のヴィンテージのお店の入り口にあった「子猫売ります」と書かれた白い子猫の写真付きのポスターに2人ともすぐに⻝いついて、その足で飼い主と白猫に会いに行きました。会った途端に、娘と「もう飼うしかない!」と決めて即座に家に連れて帰りました。目の周りが黒くなりやすく、不妊手術後に家に戻って来て傷を舐めていたと思ったら、血が出てしまい、そのまま止まらなくなってしまったため、緊急で動物病院に連れて行きました。お医者さんから輸血が必要と診断され、頭に浮かんだのはご近所の猫のトム(通称トムチョ)。ご主人に理由を説明したらふたつ返事で承諾してくれ、トムチョは家族と郊外の動物病院へ駆けつけてくださいました。トムチョからの輸血のおかげでユキオは3か月延命しましたが、病名不明の血が止まらなくなる病気を生まれつき持っていたらしく、結局死んでしまいました。
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悲しみにどっぷりと浸っていると、世間はコロナが蔓延。やっぱり猫が飼いたくなり、出会えたのが今の3代目、ブブです。ユキオに似て顔が平べったいので、ユキオが生まれ変わったと信じています。ブブとの出会いはフランスでは有名なリサイクルのサイト、『ル ボン コワン』の「子猫売ります」という情報。掲載した飼い主に連絡したのがきっかけです。
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バカンスになると、その間だけブブの世話をお願いしているお友達がいます。彼女の家まで猫用のリュックに入れて自転車でUber Eatsさながら、パリの街に繰り出します。彼女の家に着くと、「ご注文の品、お届けに来ましたー」とブブを預けます。春から夏にかけては、ピクニックがてらリュックに入れて一緒に公園デビューもしました。でも生まれながらの小心者で、あまりリュックから出ようとしません。徐々に慣れていってくれたらいいな、と思っています。
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ブブとの生活は家族の潤滑油になっていると思います。娘を諭さなければいけない時、夫とピリピリした時、ふとブブを見ると相変わらずデーンと横になって寝ているので気が抜けて笑ってしまいます。
最近ふと思いついて、もしもブブが死んでしまったら剥製にしたいと夫に希望を出したところ、「生きるものは全て灰になるんだからそんなの不自然だ」と言われたのでまだ考え中です。

――以前登場していただいたトムさま(フレンチ猫さま No.109:https://ananweb.jp/column/frenchchat/469102/)と以前飼っていた先代猫さまが輸血で繋がっている関係がありました。飼い主はミュージシャン(クミソロという名前で活躍)でもあり俳優業もしている日本人のチャーミングな女性です。とてもグルメなブブさまは仰向けになると迫力ありますね。今日はどんなご馳走にありつけたのでしょうか!


取材、文・松永学