【猫の日】プリケツが自慢だよ!…人見知りしない猫さまのお得意ポーズとは。

取材、文・Manabu Matsunaga — 2023.2.22
フランス在住のカメラマン、松永学さんによる、フランスの猫さま紹介! 第109回目は白茶トラのトム(Tom)さま。

半野良からイエ猫になった猫さまの物語

【フレンチ猫さま】vol.109
猫さまの話をもっと聞かせて! 
トムさまは5歳の男性猫さまです。


猫 保護猫 フランス


トムさまが語ります。

朝、飼い主達が起きるまでじっと待っています。飼い主が起きたらご飯を食べ、二度寝して、窓辺で鳩を観察します。それから、遊んで寝て、毎日毎日飼い主とこの家の息子に撫でられまくり、幸せに暮らしています。


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1日2回くらいは家中を暴走します。寝る時は、飼い主か息子のベッドの足元が居心地良いので、気分に合わせて選んでいます。飼い主はもっと上まで来てほしいと言っていますが…。
食事は『ロイヤルカナン』のドライフードと、朝晩『Almo Nature』のウェットフード(マグロ)です。このマグロはとても美味しく、これが出てくる時は飼い主の言うことをなんでも聞きます。犬みたいに、おすわり・お手・おかわり・立ち・クルクルを毎回披露します。芸達者でしょう。でも、体重が6キロあって体格がいいので、食事には気を付けています。チャームポイントは、むっちりプリプリのお尻です~(洋ナシ体型)!
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大好きな居場所はベッドの上、キャットタワー最上階です。冬は暖房の前の猫用ベッドの中に陣取ります。大好きなおもちゃは“カシャカシャブンブン”。ぬいぐるみなどは全く興味がありません。猫じゃらし系でよく遊びますが、少しすると飽きてしまうので、次のおもちゃをいつも要求しています。
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知らない人でも駆け寄ってゴロゴロすりすり。誰が来てもピンポンが鳴れば玄関にお出迎えに行きます。郵便配達や電気工事のおじさんにも愛嬌を振りまいています。本当に人間が大好きで、他の犬も猫も好きです。
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友達のトラーは今までにお試し期間の1泊を入れて3回、バカンス時に一緒に生活しました。僕は優しい性格なので、すぐにトラーを受け入れました。でも、ここのテリトリーは僕のもの。「親分顔」になりトラーが少しでも僕のお気に入りの場所に入ったりすると、仁義なき戦いのテーマと共に現れ、首根っこを咥えて教育的指導をしました…。猫界の掟も守らなきゃいけません。年齢的にも体重的にも僕が上なので、トラーは大人しくしています。僕がトラーの毛づくろいをずっとしたり、世話役になっているので、お互いの飼い主は安心しているでしょう。オス同士は関係性が難しいとみんな言っていますが、トラーが素直な性格をしているからだと思います! また遊びに来てほしいと、バカンス時が待ち遠しいのです。
飼い主から見たトムさま

猫を飼うのはトムが初めてです。先代犬が亡くなって、私も当時11歳の息子も無類の動物好きのため、寂しくて保護猫のアノンス(掲示板)でトムを見つけました。2019年に亡くなった先代犬がジェリーだったので『トムとジェリー』から名付けました。


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飼う条件は、アパート暮らしが苦ではない、子どもが苦手ではない、犬に対して恐怖心を持たない(犬の匂いが家にまだ残っていると思ったため)等でした。すぐにトムが見つかり、アソシエーションまで会いに行き、あれよあれよという間に即決でした。ご縁ですね。トムが1歳2か月の時でした。トムは飼い猫として生まれたはずなのに、何らかの理由でお家に入れてもらえず半野良となり、寂しくて道端で通りがかりの人に愛情を求めてずっと鳴いていたのを保護されました。私が引き取る5か月ほど前のことだそうです。当時のトムの写真を持っていますが、今と全く違って本当に寂しそうに見えます。その写真を見るたびに、胸が締め付けられます。身勝手な人間のせいで辛いめにあったのに、人間を嫌いにならないでいてくれて感謝の気持ちしかありません。
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忘れられないのが、我が家に来て一晩経った翌朝、私のベッドに来て顔中ずっと舐めてくれたこと。まぶたあたりは痛かったのですが、まるで「ありがとう」と言ってくれているようでした。しかし外での生活がトラウマになったようで、今でも外が怖いようです。アパート暮らしなのでその点は不幸中の幸いとなっています。
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トムと私は脳天気なところが似ていると思います。トムが私のことをどう思っているかは、いつも話しかけると目を細めてうっとりしてくれるので少しは愛されていると信じています。一緒にいるともう毎日が楽しくて…、つい一緒にダラダラしてしまいます。犬のほうが感情表現が豊かだと思っていたのですが、猫もこんなに表情が豊かだとは思っていませんでした。時々しきりに「ニャーニャー」何かを訴えてくるのですが、私が分からないと「だめだこりゃ」という感じですごすごと去っていくのが面白いです。
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あと写真にもありますが、おじさんみたいに座っているポーズが得意で笑えます。ジャンプに失敗したときなど、まるでなにもなかったかのように「いや、別にジャンプしたかった訳じゃないし」とでも言いたそうに毛づくろいしているときなど、息子と笑いをこらえています。
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17歳半まで生きた愛犬を看取った時のように、もちろんトムも最後まで責任を持って1日でも長く一緒に暮らしていきたいと思います。家族でもある動物の死はとても辛いものです。しかし、同時に命とは何かを考えさせてくれ、そして彼らが生前に人間に与えてくれたことの大きさに気づきます。そういった経験をさせてくれる動物達に感謝したいと思います。
この先トムが老いて、介護が必要であろうとオムツ生活になろうと、傍にいて彼の猫生を最後まで見届けたいと思っています。
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―――前回この連載#106に登場したトラーさまもスポット参加です。バカンス中にお互いの猫さまを預かりっこの良い関係を築いています。もともと犬派だった飼い主もトムさまの魅力にメロメロですね。半野良を体験したトムさまはここに来たお陰で、毎日がイキイキとしていて満足そうでした。

取材、文・松永学