女性ホルモンへの理解を深めて、健やかな毎日を。
自分の体と向き合って正しい知見を広げて。
業界の第一線で活躍を続けてきたスタイリストの大草直子さん。家庭と仕事を両立しながら、女性特有の不調と向き合ってきたそう。
「私はPMSや生理痛のしんどさはなかったのですが、経血量が多いタイプだったのでロケのときは不安でしたね。ナプキンとタンポンを併用し、黒いパンツをはいて対策をしていたものの、経血漏れの心配はゼロではないので、普段に比べて仕事への集中力を欠くこともあったと思います。とくに大変だったのは海辺のロケ。頻繁にトイレに行けないので、生理が重なりそうなときはピルを飲んで時期を調整していました。婦人科へ行くことへのハードルの高さは感じていなかったので、不安はすぐ医師に相談していましたね。ピルのことを知ったのも婦人科の先生に教えてもらったから。私も娘たちには、婦人科は怖いところじゃないから、気になることがあれば相談しに行くようにと伝えていますし、実際足を運んでいるようです。私も検診やホルモン値の検査で婦人科にお世話になっていますが、検診を受けられている若い方が多くて驚きました。自分の体と向き合う意識が高まってきているのは素敵なことですね」
生理の日の洋服選び。大草さんは、おしゃれより体をいたわることを優先してほしいという。
「生理期間中は体温が上がったり、肌が敏感になったり、むくみやすくなったりと、なにかしら不調を感じやすい時期です。体のためにも、この期間中はおしゃれを“お休み”してもいいのかなと思います。体を締め付けると辛いので、スキニーデニムなどピタッとしたものは避けて、ワンピースなどゆったりしたものが◎。できるだけ肌にやさしい天然素材のものを選ぶと、よりいいですね。生理中の下着は、私は一番安心できる黒を着用していますが、最近はきれいな色や柄物も増えてきたから、ご自分の好みで選ばれるのがいいと思います。お腹を冷やさないよう、腹巻きや暖かいインナーパンツもお忘れなく。体に負担をかけないおしゃれを楽しんでください」
個性を出すなら、アクセサリーや色選びで遊ぶのが大草流。
「ボトムスに黒をもってきたら、トップスは色物を合わせたり。顔がくすみがちになるので、明るい色のリップも欠かせません。あとはやっぱり頼りになるのがアクセサリー。あちこちに散らすと印象が飛んでしまうので、リングを重ねづけするなど、手元にボリューム感を出すとキャッチーです」
知識として頭に入れておくと、安心できるのがホルモンのこと。
「一生の間に分泌される女性ホルモンの量は、たったのスプーン1杯程度といわれています。この女性ホルモンに、メンタルや体調が翻弄されているという人もきっと多いですよね。振り回されないためには、ホルモンの変化による心と体の波を知り、自分の身に何が起こるのか、知識を得ておくことが大切。とくにanan世代の方たちには、婦人科で自分のホルモン値を測っておいてほしいですね。数値を把握しておくと、心身のバランスが崩れたときに対処もしやすくなります。不調はホルモンのせいなので、自分のメンタルや努力でどうにかなるものではありません。自分を責めたりせず、甘やかしてあげてくださいね」
PROFILE プロフィール
大草直子
おおくさ・なおこ 1972年生まれ、東京都出身。スタイリスト、ファッションエディターとして活躍。最新著書『見て触って向き合って 自分らしく着る 生きる』(マガジンハウス)が発売中。