過剰演出や普段と違う下着など“セックスの匂わせ”はしないほうがいい? 性愛コミュニケーションの育て方

ウェルネス
2024.08.11
自分とパートナーがより深くつながり、高まるセックスのために必要なのは、テクニックよりも相手と心身のコミュニケーションをとること。普段から取り入れられるテクニックを3人の性の賢者に教えてもらいました。

【Daily】日頃から自分の意見や気持ちを素直に伝えられる関係性を築く。

パートナーや友人に自分の意見をうまく伝えられず、なんだかモヤモヤした気分になるのは誰にでもあること。とくにセックスに関しては人によってマインドや向き合い方も大きく異なるため、日頃から自分の気持ちを素直に伝える習慣を持つことが、愛するパートナーとの“コミュ力”を高めるひとつの要素に。

「付き合いたてのカップルは、相手のことをよく知らないからこそ細かく意見を伝えあうことが大切。セックスでも日常生活でも、ほんの少し目をつぶれば我慢できることが一番伝えづらいんです。でも、その部分を普段からスルーせず、言葉で伝えることで、二人の関係性はより深まると思います」(セックスコラムニスト・アドバイザー・BETSYさん)

心満ちるセックスのために相手と意見を交換することから始めてみて。

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映画やドラマのラブシーンの気まずさを払拭する。
「パートナーとの間で性的な話をタブーにしないことも、言いやすい空気を作るポイント」(BETSYさん)。ラブシーンは、“お互いをその気にさせるスイッチ”の気持ちで。

「今日は気分じゃない」。でも「次回はしようね」の約束を。
理由もわからないまま相手に拒まれると、ひとは自信を失うもの。「一方的に突き放すのではなく、理由を伝えることも相手への愛情表現のひとつです」(日本女性ヘルスケア協会長・鈴木まりさん)

【Before Sex】シチュエーションを作り込むより、“環境整備”で相手の五感を自然に刺激。

セックスのマンネリ防止のためにも、時にはいつもと違う刺激を味わうためにも、シチュエーション作りが大切というのはよく聞く話。

「過剰演出をするよりも、夏であれば帰宅時間に合わせてエアコンのタイマーをセットして、部屋を快適にしておくなど、相手も自分もリラックスできる環境や空間を作ることがおすすめです」(富永ペインクリニック院長・富永喜代さん)

性愛コミュニケーションを育てるという意味では、セックスの匂わせはしないほうがいいという意見も。

「普段と違う下着をつける、キャンドルを灯すなどせっかくのムード作りも、直接誘われていないと相手も反応しづらい」(BETSYさん)

適度かつ、二人にとって心地よい環境作りを心がけて。

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1、夏や冬はあらかじめ室内も適温に。
「暑すぎる、寒すぎるではセックス欲求が起きにくい。室内は二人にとっての適温をキープ」(富永さん)

2、一緒にホラー映画を観賞する。
「心拍数が上がるのでホラー映画を観賞するのはおすすめ。苦手なひとはパニック系でも」(鈴木さん)

3、プチ小道具で温&冷感アプローチ。
「温かいタオルを相手のカラダにやさしく当てたり、逆に氷を這わせたりしても感度が上昇」(富永さん)

【Sex Communication】「愛しているなら察して」という“気づき待ち”の自分と決別する。

お互いが満足するためのセックスのはずなのに、気がついたらどちらかがイニシアティブを取っているということも。「好きなら察して」という自己欲求を捨てることも性愛コミュニケーションを育むための第一歩。

「普段から会話のキャッチボールをしているカップルは二人の世界観を作っていきやすいので、自然とセックスへの不満も減ります。相手まかせにせず、自分はこうしてほしいと伝えてみて」(鈴木さん)

日頃から相手と心でつながる“オープンコミュニケーション”こそ、心満ちるセックスの土台に。

「相手が百戦錬磨でない限り、察して待ちは通じません。伝える努力も愛情表現のひとつ」(富永さん)

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体位のリクエストは自分からやさしく。
「セックスに限らず相手に丸投げはNG。もっとこうしてほしいとか、好きな体位についてもソフトに伝えることで、二人だけのセックスを突きつめられるはずです」(富永さん)

快感ポイントをさりげなく伝える。
「ひとによって感じやすい場所は様々。愛撫されているとき、相手の耳元で感じる部分を伝えるなどサウンド効果も有効。いずれにしても言葉で伝えることはマスト」(鈴木さん)

【Sex Communication】一方通行のセックスにしないために、自分の“NO”はきちんと伝える。

コミュニケーションを深めるためのセックスは相手がいて初めて成り立つもの。信頼関係を築くために、時には「NO」を伝える勇気も必要。

「日本人は相手を褒めることと同様に嫌なことを伝える文化も弱い。性交に痛みを感じることがあるのは女性だけではないので、相手と自分の感じる部分をすりあわせる心を持ちたいです」(BETSYさん)

また、自分のカラダや性的欲求を受け止め、自己受容の心を持つことも性愛コミュニケーションに不可欠。

「20代の女性の6割以上が前戯や性交中に痛みを感じた経験が。そうした感覚に気づかないふりをするのをやめて、嫌なこと、したくないことは伝えましょう」(富永さん)

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前戯も性交中も痛みを感じたらソフトに中断。
「久しぶりのセックスの場合、性交痛を感じる女性がいるということを、実は男性の7割は知りません。痛みを感じたら、無理をせず相手に伝えて、休憩をはさんで」(富永さん)

主観を私に。「こっちのほうがもっと感じるかも?」
「セックスの痛みも、されたら嫌なことも個人で大きく違います。私は○○が好き! など、相手への要望の主語を“私”にすると、個性が伝わりやすいですよ」(BETSYさん)

鈴木まりさん 日本女性ヘルスケア協会長。西洋・東洋医学の観点から女性のカラダやメンタルなどの悩みを解消するカウンセラーやコラムニストとしても活動。『子宮とくびれを強化する春画ヨガ』(飛鳥新社)ほか著書も多数。

富永喜代さん 富永ペインクリニック院長。医学博士。新刊『女医が導く いちばんやさしいセックス』(扶桑社)ほか著書累計98万部。メディア出演多数。YouTube チャンネル「女医 富永喜代の人には言えない痛み相談室」も人気。

BETSY(べっつぃー)さん セックスコラムニスト・アドバイザー。雑誌やWeb でセックスにおけるコミュニケーションのとり方やセルフプレジャーテクニック、最新のフェムテック事情などを発信。著書に『新しいセックス』(扶桑社新書)が。

※『anan』2024年8月14日‐21日合併号より。イラスト・oyumi 取材、文・小寺慶子

(by anan編集部)

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