目に見えないからこそ、まずは自分の体を“疑う”ことから。
よく知られている子宮の疾患といえば、子宮筋腫と子宮内膜症。この2つ以外に、実はあまり知られていないけれど注意が必要な子宮の疾病が…。それは「子宮内膜ポリープ」。その認知度に比べ、anan世代でも治療を受ける方が多いという子宮内膜ポリープについて産婦人科医の竹元葉先生に伺った。
「受精卵の着床に向けて子宮内膜が厚くなっていき、着床がなければ剥がれ落ちる。これが生理の仕組みですが、その子宮内膜細胞が異常に増殖して“しこり”ができるのが子宮内膜ポリープ。子宮筋腫や子宮内膜症とは、でき方もできる場所も違います。また生理周期によって見えにくい時期があり、時期によっては比較的発見しにくく、さらに認知度が低いこともあって、そもそも検査しようという人が少ない病気です」
主な症状は不正出血や過多月経。何の症状も出ないという人もいるが、「生理が重い」と感じる人は一度検査を受けたほうがいいと勧める。
「検査方法はいくつかありますが、最初は超音波検査をおこなうのが一般的です。ただし検査のタイミングが大事。生理前は子宮内膜が厚く診断が難しいので、生理直後に受診するようにしてください」
ポリープということは、胃や大腸のようにがん化することもあるの? と不安を感じた人も多いのでは。子宮内膜ポリープの99%は良性とのことだが、ならば放っておいても大丈夫というわけでは決してない。
「子宮内膜ポリープが、過多月経などの原因になっていることもよくあります。そして将来妊娠を望んだ場合に、不妊の原因になる可能性もあるんです。できる大きさや場所によって着床障害を起こすこともあり、治療を始めて子宮内膜ポリープが不妊の原因だったと分かる人も。切除しても再発する場合もありますが、自然になくなることは少ないので、不安を感じるならば早めに婦人科を受診することをオススメします」
“婦人科を訪れるのはハードルが高い”と感じる人もいるだろうが、まずは自分の体を“疑う”目を持つことから始めてほしいと言う。
「子宮内膜ポリープに限らず、その他の子宮に関する病気にもいえることですが、目に見えない病気だからこそ、あるかないか知らないまま過ごすより、知った上で“どのように対処しよう”と考えたほうが絶対にいいはず。今は大丈夫だからと安心するのではなく、いつかの自分のためにぜひ知っておいてほしいです」
竹元 葉先生 順天堂大学産科婦人科学講座などを経て、2019年にsowaka women's health clinic開業。思春期から老年期まで全てのライフステージにおける身近な「かかりつけ医」を目指している。
※『anan』2024年7月24日号より。イラスト・二階堂ちはる 取材、文・山本奈緒子
(by anan編集部)