生理時の“当たり前”を見直すキッカケに。
生理期間中、バッグの中にナプキンをいくつも持って出かける“当たり前”がなくなるかもしれない。外出先で自由に生理用品を取得できるサービス「unfre. 〈アンフリ〉」の運営メンバーである岩瀬風香さんとananフェムケア委員会のわたなべ麻衣さんが、生理ライフを快適にする理想の社会について考えます。
わたなべ:unfre.は、どんなサービスなんですか?
岩瀬:商業施設や駅のトイレの個室内にディスペンサーを設置し、アプリを利用して生理用品を取得できるサービスです。基本的には無料で利用できますが、今後、一部有料のサービスを提供することも考えています。サービス開始に向けて準備を進めており、生理の自己管理を不要にするようなインフラを目指しています。
わたなべ:素晴らしいですね! 私自身、生理周期が定まっていなかったり、バッグも小さかったりして、いつ来るかわからない生理のためにナプキンを常に用意するのはハードルが高くて…。外出先で急に生理が始まって、慌ててコンビニに駆け込むことが、実はしょっちゅうあるんです。
岩瀬:わかります。私もそうでしたし、生理期間中の不自由さは多くの女性が感じているところですよね。弊社の代表は、生理時のモビリティを向上させたいという思いからサービスを企画しています。
わたなべ:これまで、開発段階で苦労されたことはありますか?
岩瀬:取引先や投資家の男性にサービスを説明する際、ニーズを理解してもらうのが難しかったと聞いています。女性のリアルな声を伝えながら少しずつ必要性を納得していただけるようになりました。
わたなべ:サービスを利用した女性たちはどんな反応でしたか?
岩瀬:生理用品を手にしているところを見られたくない人も一定数いて、個室内でナプキンを取れる点が好評でした。あとは先ほどわたなべさんもおっしゃったように、「ナプキンを持ち歩くのは面倒」という声がとても多かったです。
わたなべ:個人的には生理用ナプキンを「隠さなきゃいけないもの」とする風潮もなくなるといいなと思いますね。でもトイレットペーパーのようにナプキンも常にトイレにあって、持ち歩かなくてよくなったら本当に理想的です!
岩瀬:そうなるように設置先を増やしていくのが今の目標です。
わたなべ:学生さんや若い世代で、ナプキンにお金をかけられないから「なるべく替えない」という女性もいると聞いたことがあります。
岩瀬:そうですね。ゆくゆくはナプキンの提供に限らず、生活がもっと快適になるようなサービスの展開も考えていきたいです。
わたなべ:unfre.のような新しい仕組みを根付かせていくためには、男性が生理について学ぶ機会も必要不可欠! 生理のツラさや実態を男性が“知識”として知っているだけで、社会の対応も大きく変わる気がします。少しずつでも男女の意識の差を埋めていけば、女性の暮らしの快適さにつながっていくと思います。
右・岩瀬風香さん 1997年生まれ。ノルウェー・オスロ大学修士課程でジェンダーと紛争をテーマに研究を行う。unfre.の事業に共感し、在学時から参画している。修了後に入社し、メンバーとなった。
左・わたなべ麻衣さん 1989年生まれ。モデル、タレントとして多数の女性誌やテレビ、CMで活躍する。2019年にタレントのJOYさんと結婚し、翌年女の子を出産。インスタグラムは@mmaaiipp
unfre.ってどんなサービス?
専用のアプリを使い、トイレの個室内に設置されたディスペンサーから1つずつナプキンを取り出せる。過剰に取得されるなど盗難の心配がなく、必要な人に衛生的に提供できるという。
※『anan』2024年6月5日号より。写真・中島慶子 ヘア&メイク・加藤ゆい イラスト・二階堂ちはる 取材、文・熊坂麻美
(by anan編集部)